株式会社ヘリオス 有価証券報告書(第14期・2024年度)

1. 企業概要

株式会社ヘリオス(HEALIOS K.K.)は、再生医療に特化したバイオベンチャー企業であり、幹細胞技術を活用した体性幹細胞再生医薬品およびiPSC再生医薬品の研究・開発・製造を主な事業としている。

ミッションは「『生きる』を増やす。爆発的に。」であり、難治性疾患に対する治癒と希望の提供を目指している。

本社は東京都千代田区に所在し、グローバルに子会社・提携機関を持ち、米国をはじめとする海外展開も積極的に行っている。

2. 2024年度の財務ハイライト

売上と利益の推移

  • 売上収益:5.60億円(前年:1.21億円、前期比 +361.6%)
  • 営業損失:▲28.43億円(前年:▲33.79億円、赤字幅縮小▲5.36億円)
  • 税引前損失:▲40.61億円(前年:▲36.26億円、赤字幅拡大▲4.35億円)
  • 親会社株主に帰属する当期損失:▲42.35億円(前年:▲38.23億円、赤字幅拡大▲4.12億円)
  • 自己資本比率:14.5%(前年:25.4%、▲10.9pt)

売上は大幅に増加した一方で、税引前・最終損益はいずれも赤字が拡大。研究開発費の負担が依然重く、収益化までの道のりが課題。

財務の健全性

  • 総資産:141.91億円(前年:151.55億円、▲9.64億円)
  • 純資産:20.84億円(前年:38.68億円、▲17.84億円)
  • 負債総額:121.08億円(前年:112.08億円、+8.20億円)
  • 現金および現金同等物:36.72億円(前年:67.22億円、▲30.50億円)

自己資本比率は前期の25.4%から14.5%へ急落し、バランスシートの脆弱性が懸念される。現金水準も前期比で大幅に減少。

キャッシュフローの状況

  • 営業キャッシュフロー:▲18.17億円(前年:▲28.22億円、赤字幅縮小▲10.05億円)
  • 投資キャッシュフロー:▲14.18億円(前年:▲11.21億円、支出増▲2.97億円)
  • 財務キャッシュフロー:+0.77億円(前年:+33.37億円、収入減▲32.60億円)

営業CFの赤字幅は縮小したものの、資金調達力が前年に比べ大幅に低下。資金繰りの柔軟性確保が喫緊の課題。

3. 事業内容とパイプライン

ヘリオスは体性幹細胞再生医薬品およびiPSC再生医薬品の2分野を中心に事業を展開。

体性幹細胞:HLCM051

ARDSおよび脳梗塞急性期を対象とした再生医療薬。

  • 日本では条件付き承認申請に向け準備中
  • 米国ではグローバル第Ⅲ相治験(REVIVE-ARDS)に向けてFDAと合意

iPSC分野

  • UDC(ユニバーサルドナーセル):免疫拒絶のリスクを低減する次世代iPS細胞
  • eNK®細胞:iPS由来のNK細胞によるがん免疫療法(Akatsuki社と提携)
  • 眼科・肝疾患:RPE細胞による加齢黄斑変性、肝臓原基による肝疾患再生治療

4. 資本政策と財務戦略

2024年度は継続的な赤字とキャッシュアウトを受けて、財務戦略の柔軟な見直しが進められた。

主な資金調達として、第三者割当増資と新株予約権の発行による資金調達を実施。

また、医療材料である培養上清の提供を通じて、AND medical groupと提携を結び、初回受注4.2億円および先払い2億円を確保。

さらに、アルフレッサ株式会社との業務提携によって16億円規模の社債発行契約を締結し、運転資金および研究開発資金を補填した。

これらの取り組みは、開発の遅延や資金難といったリスクに対する備えであり、ヘリオスの資本政策は、多面的な調達オプションを組み合わせた「選択と集中」の色合いが強まっている。

5. 経営課題とリスク

ヘリオスの最大の課題は、依然として継続する巨額の赤字と、それに伴う資金繰りリスクである。

営業赤字こそ前年より改善されたものの、自己資本比率の急落とキャッシュの急減は、今後の持続性に対する懸念を残す。

再生医療という市場自体が高い期待と不確実性を内包しており、規制の変更、知財の競合、薬価政策など、外的リスクも多い。

さらに、治験の進行状況や承認審査のスピード、パートナー企業との共同開発の成否によって、事業進捗が大きく左右される。

加えて、代表である鍵本CEOを中心とした人的リスクや組織運営上の依存構造も意識されるべきだろう。

6. 今後の注目点

今後の焦点は、HLCM051を用いたARDS治療薬の国内承認取得に向けたプロセスがどれだけ迅速に進むかである。

米国FDAとの第Ⅲ相試験デザイン合意を受けて、国内での条件付き承認を目指す動きが鮮明となっている。

一方、iPSC由来のeNK®細胞に関しても、Akatsuki社との共同研究を通じて治験入りの準備が整いつつある。

財務的には、業務提携を通じた収入多角化と、補助金・ライセンス契約収入の獲得が求められる。

キャッシュフローを安定化させるとともに、グローバルでの評価を高めることが、ヘリオスの次の成長の布石となるだろう。

 

株式会社ヘリオスは、世界を見据えた再生医療分野の先進的プレイヤーとして注目される一方で、財務基盤の脆弱さや損失継続という課題に直面している。製品の早期上市と収益化、資本政策の柔軟性が今後の鍵を握る。

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