KLab株式会社(2024年度)有価証券報告書レビュー

赤字継続の中でもIP戦略とグローバル展開を軸に反転を模索

はじめに

KLab株式会社(証券コード:3656、プライム市場上場)は、2024年12月期の有価証券報告書を提出し、厳しい事業環境の中でもグローバルなIPタイトル戦略を軸に再成長の足掛かりを模索している姿勢を示した。

本稿では、同社の業績、財務状況、経営課題、成長戦略を「論評社」の視点で読み解く。

1. 業績概況と財務指標

2024年12月期の売上高は83.0億円(前年比22.5%減)と減収が続く一方、営業損失は▲13.4億円、経常損失▲12.8億円と、赤字が継続。特別損失として評価損や減損損失計上もあり、最終損益は▲27.8億円と赤字幅が拡大している。

  • 売上高:83.0億円(前年比▲22.5%)
  • 営業損失:▲13.4億円(前年▲12.2億円)
  • 経常損失:▲12.8億円(前年▲8.5億円)
  • 純損失:▲27.8億円(前年▲18.2億円)
  • 自己資本比率:65.6%(堅調)

なお、営業キャッシュフローは▲1.4億円、期末現預金は16億円程度と、資金繰りへの懸念はあるが即時の資金難に陥っているわけではない。

2. セグメント別の動向

ゲーム事業(コア事業)

売上高は82.3億円(前年比▲18.4%)、セグメント利益は11.8億円(同▲17.8%)。主力IPである『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』や『BLEACH Brave Souls』が堅調に推移した一方、米Electronic Artsと共同開発していた『EA SPORTS FC TACTICAL』のグローバルローンチが延期となり、成長機会の逸失が響いた。

また、IPコラボ案件の拡大や新作『ハイキュー!! FLY HIGH』の韓国配信などが売上下支えに貢献した。

その他事業

売上高0.7億円(前年比▲88.6%)とほぼ撤退状態。収益源としての寄与は限定的であり、今後も注力は限定的と見られる。

3. 財務の健全性とキャッシュフローの状況

同社の自己資本比率は65.6%と引き続き高水準を維持しており、財務体質は相対的に安定しているが、過去4期にわたる連続赤字および営業キャッシュフローの赤字が続く中、体力の消耗も進んでいる。

総資産は約158億円(前年177億円)と1割以上の減少。減少要因としては、評価損を計上した投資有価証券の減額(約12億円減)と、無形固定資産の償却・減損、加えて現金及び預金が約6億円減少したことが挙げられる。

一方で、財務活動によるキャッシュフローは5.5億円のプラス。

これは主に短期借入金(8億円)の実行と、新株予約権の行使収入(約15億円)によるものだが、同時に長期借入金の返済も進めており、財務レバレッジの縮小を意識した資金運用が行われていることがうかがえる。

営業キャッシュフローは赤字が続いているものの、前年(▲15.3億円)と比較すると改善が進み、▲1.4億円と大幅な持ち直しを見せている。運転資本の改善や広告宣伝費のコントロールが奏功していると見られる。

期末の現預金は約16億円と十分な流動性を確保しているが、大型タイトル開発やマーケティング費用への投下余力は限られており、引き続き慎重な資本政策と投資判断が求められるフェーズにある。

4. 経営課題と取り組み

主な課題:

  • 新作の開発リスクと延期の影響(EAタイトルの遅延)
  • 主力IPの売上に依存する事業構造
  • 人材確保と育成コストの高騰
  • 減損や評価損により自己資本の減少

これらに対し、同社は以下のような取り組みを進めている:

  • アクションRPGやスポーツシミュレーションといった得意ジャンルに特化した新規開発
  • 外部開発会社との提携強化(開発効率向上)
  • グローバル展開(中東・東南アジアなどの新興市場開拓)
  • ハイブリッドカジュアルゲームへの新規参入

5. 今後の展望と論評

KLabは、グローバルIPを活用したモバイルゲームに特化した事業モデルを軸に、新たな成長を模索している。

とりわけ、『僕のヒーローアカデミア』のIPタイトル開発や、ブロックチェーンゲーム領域への布石は、中長期的な注目点となる。

一方で、継続的な赤字、開発コストの肥大化、金融負債の増加といった課題は依然として重く、今後の業績改善と資金繰りには引き続き注視が必要だ。

“IP軸”で世界を狙うKLabにとって、2025年度は正念場の年となる。経営の柔軟性とキャッシュの戦略的活用、そして開発体制の再構築が、復活の鍵を握るだろう。

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