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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE決算分析論評編集部公開 2025.04.09更新 2026.06.13

monoAI technology、有価証券報告書レビュー

売上高は前期比14.8%増と過去最高を更新した一方、販管費の拡大と2.9億円の減損損失が重なり、営業・純損失いずれも赤字幅が拡大した。財務基盤は無借金かつ自己資本比率83.2%と健全であるが、2期連続で営業損失と営業キャッシュ・フローのマイナスが続いており、収益構造の転換がいつ実現するかが最大の論点と見るのが自然だ。

売上高
14.3億円
前年比 +14.8%
営業損失
▲2.8億円
前年 ▲1.7億円
純損失
▲5.9億円
前年 ▲2.0億円
期末現預金
12.7億円
前年比 +3.6億円

出典:monoAI technology株式会社 第12期有価証券報告書(2025年3月31日提出)

第1章

3期推移:増収と赤字拡大の並走

第12期(2024年1月〜12月)の売上高は14.3億円と前期比14.8%増を記録した。増収の主因は「XR周辺サービス」(前期比+53.3%)および「メタバースサービス」(+19.0%)の拡大にある。しかし販管費が前期比+22.7%増加した上に、減損損失2.9億円が計上されたことで、各段階利益の赤字幅はいずれも拡大した。

指標 第12期 第11期(前年)
売上高 14.3億円 (前年比 +14.8%)
営業損失 ▲2.8億円 ▲1.7億円
経常損失 ▲2.8億円 ▲1.6億円
純損失 ▲5.9億円 ▲2.0億円
自己資本比率 83.2% 77.0%

出典:同社第12期有価証券報告書

第2章

セグメント:XR周辺サービスが急拡大

同社の売上は大きく3つのサービス区分で構成される。構成比で最大の「メタバースサービス」(約54%)は大企業・自治体向けのカスタマイズ型仮想空間・イベント構築で、大日本印刷(DNP)や三井不動産などが顧客として挙げられる。「XRイベントサービス」(同12%)は中小企業・大学等を対象とした簡易型パッケージで、年間116件(前期比+16%)のイベントを実施した。「XR周辺サービス」(同34%)はAR・AIソリューション、QA事業、ドローン・ロボット制御開発を束ねており、子会社であるモリカトロン(AI対話・QA)およびロボアプリケーションズ(制御系)が事業を担う。

サービス区分 売上構成比 成長率(前期比)
メタバースサービス 約54% +19.0%
XRイベントサービス 約12%
XR周辺サービス 約34% +53.3%

出典:同社第12期有価証券報告書。成長率は旧記事記載値をそのまま使用。XRイベントサービスの前期比成長率は旧記事に記載なし。

今期は「XR周辺サービス」が最も高い伸びを示しており、XR関連事業の多角化が着実に進展していることが読み取れる。

第3章

利益の質:減損と販管費拡大が圧迫

純損失5.9億円(前期▲2.0億円)への拡大は、主に2つの要因が重なった結果と見られる。第一に販管費が前期比+22.7%増加しており、売上高の伸び(+14.8%)を上回るコスト拡大となっている。第二に、減損損失2.9億円が計上されており、これが営業損失から純損失にかけての乖離(▲2.8億円 vs ▲5.9億円)を生んでいる。同社は現状を「投資フェーズ」と位置づけており、販管費増加の一部は成長投資として性格づけられるが、減損損失は資産価値の下方修正という性質のものであり、両者の区別を明確にすることが構造把握のうえで重要になる。

項目 第12期 備考
販管費増加率 +22.7% 売上高増加率(+14.8%)を上回る
減損損失 2.9億円 純損失拡大の主因
営業損失 ▲2.8億円
純損失 ▲5.9億円

出典:同社第12期有価証券報告書

第4章

キャッシュフローとの整合

営業CFは▲4.8億円(前期▲1.8億円)と悪化した。投資CFは▲0.7億円(前期▲2.9億円)とむしろ縮小している。財務CFは+9.1億円(前期▲0.02億円)で、DNPとの第三者割当増資(資本・資本剰余金それぞれ+5.0億円)が主な資金源となっている。結果として期末現預金は12.7億円と前期比+3.6億円増加した。

2期連続で営業損失と営業CFのマイナスが続いており、事業活動そのものがキャッシュを生み出せていない構造が継続している。現時点では財務調達によってキャッシュの水準を維持しているが、この構図が続く場合、次の調達タイミングと条件が財務健全性の鍵になると見るのが自然だ。

CF区分 第12期 第11期
営業CF ▲4.8億円 ▲1.8億円
投資CF ▲0.7億円 ▲2.9億円
財務CF +9.1億円 ▲0.02億円
期末現預金 12.7億円 9.1億円(推計)

出典:同社第12期有価証券報告書。前期現預金残高は「+3.6億円増」から逆算した推計値。

第5章

財務と資本構成

期末時点の有利子負債はゼロであり、自己資本比率は83.2%(前期77.0%)、流動比率は681.7%と高水準を維持している。DNPとの第三者割当増資により自己資本は積み増されており、純資産ベースの健全性は短期的に毀損していない。ただし、純損失の累積が続けば留保利益は減少していく構造にあるため、財務健全性の指標は今後の期ごとに注視が必要となる。

指標 第12期末 第11期末
自己資本比率 83.2% 77.0%
流動比率 681.7%
有利子負債 ゼロ

出典:同社第12期有価証券報告書。前期流動比率・有利子負債は旧記事に記載なし。

第6章

論点の整理

第12期の決算から導かれる構造的論点は以下の3点に集約される。

論点① 営業CFのマイナスはいつ解消されるか
2期連続で営業損失と営業CFのマイナスが続いており、事業モデル上の収益化経路が明確でない。XR周辺サービスの急拡大が利益率の改善につながるか、あるいはコスト先行が続くかが焦点となる。
論点② 減損損失の再発リスク
今期計上された2.9億円の減損損失は純損失拡大の主因であった。どの資産に対して計上されたか、同種のリスクが残存するかは、有価証券報告書の注記で確認が必要だ。
論点③ 第三者割当増資への依存構造
財務CFの+9.1億円はほぼ全額がDNPとの資本取引による。事業活動からの自律的なキャッシュ創出が実現するまで、追加調達の可能性とその条件(株式希薄化の規模・タイミング)を継続して確認する必要があると見るのが自然だ。

出典:同社第12期有価証券報告書をもとに論評編集部が整理

論点 → 質問状

この決算を、どう追うか

次期以降の営業CF転換の時期・条件、減損計上資産の詳細、第三者割当増資の追加有無を継続して記録する。セグメント別の収益性開示が拡充された場合には、企業カルテに反映する。

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