FILE SYSTEM ACTIVE
LAST UPDATE 2026.06.25 10:37
NO INVESTMENT ADVICE
論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE決算分析論評編集部公開 2025.04.30更新 2026.06.13

株式会社アールプランナー【決算分析】

株式会社アールプランナーの2025年1月期は、分譲住宅の販売棟数急増が牽引し売上高・経常利益ともに過去最高水準まで回復した。一方で自己資本比率19.6%という資本構造と、不動産市況・金利動向への感応度は引き続き構造的な論点として残ると見るのが自然だ。

売上高(2025年1月期)
40,185百万円
前期比 +25.3%
経常利益(2025年1月期)
2,002百万円
前期比 +460.1%
ROE(2025年1月期)
28.7%
前期比 大幅回復
自己資本比率(2025年1月期)
19.6%
前期比 改善傾向

出典:株式会社アールプランナー 2025年1月期 有価証券報告書

第1章

5期業績推移

株式会社アールプランナーは2003年10月設立、2021年2月に東証マザーズ市場(現・東証グロース市場)へ上場した不動産プラットフォーム企業である。「注文住宅」「分譲住宅」「土地」の3事業をワンストップで提供し、名古屋を中心に首都圏へ事業エリアを拡大している。主力ブランドは注文住宅「アールギャラリー」「Fの家」。事業セグメントは「戸建住宅事業」と「中古再生・収益不動産事業」に分かれ、戸建住宅事業が売上高の大部分を占める。

5期の売上高・経常利益・当期純利益の推移は以下のとおりである。

決算期 売上高(百万円) 前期比 経常利益(百万円) 経常利益率 当期純利益(百万円) 純利益率
2021年1月期 22,012 523 2.4% 349 1.6%
2022年1月期 28,057 +27.5% 1,383 4.9% 960 3.4%
2023年1月期 31,244 +11.4% 506 1.6% 327 1.0%
2024年1月期 32,070 +2.6% 357 1.1% 221 0.7%
2025年1月期 40,185 +25.3% 2,002 5.0% 1,436 3.6%

出典:株式会社アールプランナー 有価証券報告書(各期)

5年間で売上高は約1.8倍に拡大した。2023〜2024年1月期は不動産市場の変動や原材料価格の上昇の影響で経常利益率が1%台まで低下したが、2025年1月期に分譲住宅の販売棟数が前期比35.6%増の594棟、注文住宅が同14.8%増の325棟、全体で1,053棟(同22.2%増)と大幅増となり、経常利益率5.0%・純利益率3.6%まで回復した。

総資産・純資産・自己資本比率の推移は以下のとおりである。

決算期 総資産(百万円) 純資産(百万円) 自己資本比率
2021年1月期 16,022 2,296
2022年1月期 22,555 3,926
2023年1月期 24,224 4,254
2024年1月期 25,404 4,355
2025年1月期 28,866 5,664 19.6%

出典:株式会社アールプランナー 有価証券報告書(各期)。自己資本比率は2025年1月期のみ旧記事に記載あり。

純資産は2025年1月期に前期比30.0%増と大きく積み上がった。総資産も5年間で約1.8倍に増加しており、事業規模の拡大を反映している。自己資本比率19.6%は改善傾向にあるが、不動産業界の文脈ではレバレッジの構造を継続して確認する必要がある。

第2章

セグメント構造

同社の事業セグメントは「戸建住宅事業」と「中古再生・収益不動産事業」の2本立てである。戸建住宅事業が売上高の大部分を占め、連結子会社の株式会社アールプランナー不動産が不動産仲介・中古不動産および収益不動産の取得・再生・販売を担う。

2025年1月期の販売実績では、分譲住宅594棟(前期比+35.6%)が成長の主力となった。注文住宅325棟(前期比+14.8%)も回復基調にあり、全販売棟数1,053棟(前期比+22.2%)と全セグメントで拡大した。

旧記事にセグメント別の売上高・利益の数値記載がないため、セグメント別財務比較は本稿では省略する。

出典:株式会社アールプランナー 2025年1月期 有価証券報告書

第3章

キャッシュフローとの整合

キャッシュフローの推移は、成長投資期から収益化フェーズへの移行を明確に示している。

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円) 現金期末残高(百万円)
2021年1月期 162 △290 444 2,443
2022年1月期 △2,456 △379 3,619 3,226
2023年1月期 △3,066 △468 3,101 2,793
2024年1月期 608 △213 18 3,206
2025年1月期 1,948 △323 289 5,121

出典:株式会社アールプランナー 有価証券報告書(各期)

2022〜2023年1月期の営業キャッシュフロー大幅マイナスは、土地仕入れや建設中物件への先行投資に伴う棚卸資産(販売用不動産・仕掛販売用不動産)の増加が主因と考えられる。不動産業では成長期に営業キャッシュフローが一時的に悪化することは構造的に起こりやすい。その分を財務キャッシュフロー(借入等)で補っていた点が2022〜2023年の財務CF拡大に表れている。

2024年以降の営業キャッシュフロープラス転換は、販売棟数の増加による収益性向上と在庫回転率の改善が寄与していると読める。フリーキャッシュフロー(営業CF-投資CF)も2025年1月期には1,625百万円とプラスに拡大し、手元現金は前期比約60%増の5,121百万円に達した。

第4章

財務と還元

2025年1月期のROEは28.7%と高水準に回復した。EPS(1株当たり当期純利益)は270.13円、BPS(1株当たり純資産)は1,065.61円と記録されている。

配当は2023年1月期から開始され、2025年1月期には1株当たり45.00円(前期15.00円から3倍増)となった。配当性向は17.6%と比較的低水準であり、利益成長の果実を内部留保と株主還元のいずれに配分するかの方針が今後問われる局面となる。

項目 2025年1月期
EPS(1株当たり当期純利益) 270.13円
BPS(1株当たり純資産) 1,065.61円
ROE(自己資本利益率) 28.7%
自己資本比率 19.6%
1株当たり配当 45.00円
配当性向 17.6%

出典:株式会社アールプランナー 2025年1月期 有価証券報告書

自己資本比率19.6%は改善傾向にあるものの、事業規模の拡大に応じて借入依存度が高まりやすい構造は継続している。ROE28.7%の高さは利益回復の大きさと同時に、資本レバレッジの大きさを反映している側面もあり、資本構造の質を継続的に確認することが重要と見るのが自然だ。

第5章

論点の整理

以下の3点が、同社の構造を評価するうえでの主要な論点となる。

論点①:分譲住宅主導の成長の持続性
2025年1月期の業績回復は分譲住宅594棟(前期比+35.6%)の大幅増が主導した。分譲住宅は土地仕入れコストや市況変動に業績が連動しやすく、今後も同水準の販売棟数が維持できるかが収益の安定性を左右する。注文住宅の回復ペースとのバランスも注視点となる。

論点②:自己資本比率19.6%と金利環境への感応度
成長投資の原資を借入に依存する構造は、金利上昇局面において財務コストの増加という形で利益率を圧迫するリスクを内包する。自己資本比率の改善傾向は続いているが、首都圏展開の加速に伴い総資産がさらに拡大する場合、この構造的脆弱性がどう変化するかが問われる。

論点③:デジタルマーケティング依存と競合環境
同社の顧客獲得はデジタルマーケティングへの注力を強みとしているが、同様のアプローチを採用する競合が増加した場合の差別化維持が課題となりうる。また、オーナー向けアプリ「ARR PLANNER OWNERS CLUB」等を活用した生涯取引モデルが実際の収益貢献に結びついているかは、旧記事の数値からは確認できず、追加開示を待つ必要がある。

出典:株式会社アールプランナー 2025年1月期 有価証券報告書および旧記事記載の事実に基づく

2025年1月期のV字回復は数値上は明確だが、その構造が一過性の在庫解消によるものか、持続的な販売能力の向上によるものかを判断するには、次期以降の販売棟数・利益率・キャッシュフローの動向を継続して確認することが不可欠と見るのが自然だ。

論点 → 質問状

この決算を、どう追うか

次期の分譲住宅販売棟数・在庫水準・自己資本比率の変化、および配当方針の見直し有無を継続して記録する。首都圏展開の進捗と借入構造の変化があれば、企業カルテに反映する。

RELATED FILES

2026.06.17決算分析

プロシップ(3763)2026年3月期 決算分析

証券コード 3763 ・ 東証プライム ・ 情報・通信業 第57期〔連結〕2025年4月1日 〜 2026年3月31日 ・ 従業員 259人(外 平均臨時 16人) 総資産 …

公開 2026.06.17
2026.06.05決算分析

「ベクトル34期、営業利益91億・5期連続増益」

ベクトル(6058)の第34期(2025年3月〜2026年2月)有価証券報告書を分析。売上高637.9億円(+7.7%)、営業利益91.2億円(+13.5%)と5期連続増収増…

公開 2026.06.05
2026.06.05決算分析

明治座、第92期中間で売上25%増・経常利益56%増の過去最高更新

明治座(非上場)の第92期中間(2025年9月〜2026年2月)は売上高72.2億円・経常利益7.7億円と全セグメント増収増益。内装工事44%増収が成長を牽引するも、金利スワ…

公開 2026.06.05
2026.05.12決算分析

ビックカメラ中間決算、4指標で過去最高を更新

ビックカメラの第46期中間決算を分析。売上高5,084億円(前年同期比+6.0%)、営業利益187億円(+25.6%)と4指標すべてで中間期過去最高を更新。インバウンド需要・…

公開 2026.05.12