日本バリュー・インベスターズ、RS Technologies株式5.26%取得

ブースボーン

2025年6月2日、日本バリュー・インベスターズ株式会社(以下、NVI)は、株式会社RS Technologies(証券コード:3445)の株式を1,390,300株取得し、発行済株式総数に対して5.26%の保有比率に達したことを、大量保有報告書(特例対象株券等)で開示した。

報告義務発生日は5月30日であり、取得は市場外で一括して行われたと見られる。

保有目的は「投資一任契約に基づく顧客資産の運用」とされており、NVIがファンド運用の中で構造的に評価するテーマとして、RS Technologiesの事業性を高く見積もっている可能性がある。

日本バリュー・インベスターズとは

独立系バリュー志向のアクティブ運用会社

NVIは2005年創業の独立系投資顧問会社であり、「中小型バリュー株への中長期投資」を軸とする運用スタイルで知られている。代表は伊藤義彦氏。

企業価値と株価の乖離に着目しながら、企業との対話やアクティブ・オーナーシップも辞さない姿勢を持つが、一方で過度なアクティビズムを排し、企業との信頼関係の構築を重視する“穏健型バリュー投資家”の代表格でもある。

RS Technologiesとは?

半導体材料再生分野のニッチリーダー

RS Technologiesは、半導体製造工程で使用されるシリコンウェーハ(特にテスト用ウェーハ)の再生加工事業を中核に据える企業である。

この分野は「高い歩留まりを要求される工程で使用される一方、消耗が激しい」という特性を持つため、加工精度とコスト効率の両立が極めて重要であり、RS Technologiesはここで“技術的コモディティの非コモディティ化”を実現してきた稀有な企業である。

TSMCやサムスン、インテルなど世界の大手半導体ファブとの取引実績を有し、中国や東南アジアへの拠点展開も進む。

なぜ今、NVIはRS Technologiesを選んだのか?

4つの仮説

  1. バリュエーションと成長のギャップ:PBRやPERが相対的に割安である一方で、中長期的な半導体市況の回復期待が強く、評価の上振れ余地が大きいと判断。
  2. ROIC・営業CF構造の安定性:設備産業でありながら、資本回転率・営業キャッシュフローの効率性が高く、資産効率での魅力が大きい。
  3. ESG・循環型モデルとしての評価軸:再生加工という事業モデルは、環境負荷の低減という点でESG型運用に親和性があり、ファンドのESG比率維持にも貢献。
  4. 中小型株市場の流動性回復と需給ギャップ対応:2025年以降、グロース市場を中心に需給回復の兆しがあり、NVIが先んじてポジションを取った可能性。

素材と装置のあいだ”を狙う静かな選別投資

日本バリュー・インベスターズによるRS Technologies株の5.26%保有は、同社の独特な技術力と市場ポジションに対する「中長期的確信表明」と見るべきだ。

素材でもない、装置でもない──その中間に位置する「プロセス素材再生」という領域で成長する企業に対して、国内系バリュー投資家が明確に評価を示した意義は大きい。

今後は、NVIがどこまで同社との対話を深めるか、そしてRS Technologiesがその評価に応えるような開示・事業展開を見せられるかが、次の焦点となる。

おすすめの記事