KANDB INVESTMENT、Birdman株を28.75%取得

新株予約権一括取得による戦略的ポジションの背景

2025年6月16日、ドバイを本拠とするKANDB INVESTMENT LLC(以下、KANDB)は、株式会社Birdman(証券コード:7063)の新株予約権52,500株を取得し、発行済株式数換算で保有割合28.75%に達したことを大量保有報告書で明らかにした。

本件は通常の株式取得ではなく、新株予約権(ワラント)を通じた資本参加であり、発行者であるBirdmanの将来的な希薄化リスクと、投資家による潜在的支配力の可能性が交錯する注目案件である。

KANDBとは何者か?

ドバイ発の“複合型投資主体”

KANDBは、2024年10月に設立されたばかりの法人であり、代表は畑瀬匡甫氏。事業内容としては「商業・技術・工業・農業・エネルギー・教育・観光・小売などへの投資および管理」とされており、その幅広さから、SPC(特別目的会社)やファミリーオフィス的な性質を備えていると考えられる。

報告書では保有目的を「純投資」としているが、出資時の契約条件や行使価格、転換タイミングに関する詳細は不明であり、“将来的な経営関与または再編布石”の可能性を排除できない構成だ。

Birdmanとは?

音楽・広告・XR領域のクリエイティブ集団

Birdmanは、アーティスト支援、広告制作、ブランディング、デジタルアート、XR(仮想現実)などを扱う東証グロース市場上場の企業であり、従来のエンタメ×IT領域に独自性の高いポジションを築いている。

一方で、事業の不安定さ、赤字体質、コンテンツ依存度の高さから、財務基盤の脆弱さが指摘されており、外部資本によるリキャピタルが喫緊の経営課題となっていた。

本件の構造的意義

3つの読み筋

  1. 希薄化前提の資本注入
    • 単価50円で新株予約権52,500株を一括取得しており、転換後の支配力と株主構成変動のインパクトは極めて大きい【473†source】。
  2. 業務提携型資本参加の布石
    • ドバイとの観光・広告・エンタメ分野での連携、または中東市場向けのXR・Web3展開を視野に入れた“資本を伴うアライアンス”の前段階である可能性も。
  3. 上場維持と再編準備の二面性
    • 新興市場企業にありがちな“上場維持目的の資金確保”と、“将来的な事業譲渡またはMBO(経営陣買収)”を見据えたシナリオも捨てきれない。

数字以上に重い「28.75%」の意味

KANDBによる新株予約権の取得は、単なる希薄化スキームではなく、Birdmanのガバナンス構造・事業戦略・上場意義を問い直すトリガーとなる可能性がある。

28.75%という比率は、単独で株主提案権を行使できる“準支配株主”ラインを超える水準であり、今後の取締役会構成や経営意思決定に対して、実質的に影響を与える立場にあると言える。

投資家は今後、この出資がどのような事業変化・市場再編・提携に結びつくのかを注視する必要がある。


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