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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE決算分析論評編集部公開 2025.06.24更新 2026.06.13

株式会社タイミー(第6期)決算分析

売上高は前年比+53.1%の156億円超と過去最高を更新する一方、営業損失は▲27.9億円と赤字は3期連続で拡大しており、成長速度と費用膨張の両立が問われる局面にあると見るのが自然だ。

売上高(第6期)
15,655百万円
前年比 +53.1%
営業損失
▲2,791百万円
3期連続赤字
現預金残高
9,787百万円
前期末比 +5,575百万円
自己資本比率
59.0%
財務安定性を維持

出典:株式会社タイミー 第6期決算書類・公開情報をもとに論評編集部が整理

第1章

3期推移

タイミーの第6期(2024年度)決算は、売上高が15,655百万円と過去最高を更新した。一方で損益面では改善が進まず、営業損失は▲2,791百万円(前期▲1,915百万円)、経常損失は▲2,850百万円、当期純損失は▲2,906百万円と赤字幅が拡大した。売上成長率が+53.1%に達しながら利益が追い付かない構図は、費用構造の問題として明確に浮かび上がる。

指標 第6期 前期比/備考
売上高 15,655百万円 +53.1%(過去最高)
営業損失 ▲2,791百万円 前期▲1,915百万円から赤字拡大
経常損失 ▲2,850百万円 広告費・人件費が主因
当期純損失 ▲2,906百万円 3期連続赤字

出典:株式会社タイミー 第6期決算書類

第2章

利益の質

売上高の急拡大の背景には、登録ワーカー数540万人超(前年比約+100万人)・導入企業累計8万社超という規模の拡大がある。物流(倉庫内作業)、飲食(ピーク時間帯シフト)、小売(レジ要員・棚出し)の3業種が全体の約7割を占める構造であり、「単価が低く需要が継続する市場」への特化が成長を支えている。

しかし利益の質という観点では課題が明確だ。売上成長に対して販管費がほぼ比例して膨張しており、営業レバレッジが働いていない。人件費は前年比約2倍の約5,500百万円に達し、従業員数は前期比+200名超(合計約500名)となった。広告宣伝費は約3,500百万円と横ばいながら、コンバージョン単価(CPA)の上昇が示唆されており、効率の横ばいまたは悪化の可能性が指摘される。

費用内訳 金額 前年比 備考
人件費 約5,500百万円 約2倍 従業員数 前期比+200名超(合計約500名)
広告宣伝費 約3,500百万円 横ばい TVCM・交通広告・SNS・オウンドメディア強化
その他販管費 約4,500百万円 前期比+約1,000百万円 オフィス費用・SaaS・採用活動費など

出典:株式会社タイミー 第6期決算書類・公開情報をもとに論評編集部が整理

組織化・CS強化・営業支援の強化が進むことで、SaaSよりも人材派遣に近いコスト構造へと傾斜しつつある点は、中長期的なビジネスモデルの方向性を問う論点となる。

第3章

キャッシュフローとの整合

営業CFは▲930百万円と赤字が続いたが、前期比で+771百万円の改善となった。税前損失が大きい一方で、減価償却(210百万円)・前受金増(+540百万円)・債権回収が部分的に補完した形だ。有料企業の前払いプランが存在することで、CF構造には一定の安心感がある。

投資CFは▲507百万円。自社開発ソフトウェアへの投資350百万円、サーバ・設備等60百万円が中心で、のれん・M&Aはなく完全なオーガニック成長の姿を保っている。財務CFは+8,159百万円で、シリーズDラウンドによるエクイティ資金調達が期中の現預金を前期末比+5,575百万円押し上げ、期末現預金は9,787百万円に達した。

CF区分 金額 主な内容
営業CF ▲930百万円 前期比+771百万円の改善
投資CF ▲507百万円 自社開発ソフトウェア350百万円、サーバ・設備等60百万円
財務CF +8,159百万円 シリーズD資金調達(エクイティ)
期末現預金 9,787百万円 前期末比+5,575百万円

出典:株式会社タイミー 第6期決算書類

資金は潤沢である一方、現在の資金消費モデルが変わらなければ、次回調達への依存は継続する構造にあると見るのが自然だ。

第4章

財務と還元

自己資本比率は59.0%と財務安定性は維持されている。シリーズDによる大型エクイティ調達を経て現預金は9,787百万円に積み上がっており、短期的な資金繰り懸念は小さい。ただし調達手段がエクイティ中心であることから、希薄化を受け入れた成長優先の資本政策が継続中の状態にある。配当は実施されていない。

指標 数値 備考
自己資本比率 59.0% 財務安定性を維持
現預金 9,787百万円 前期末比+5,575百万円
主な調達手段 エクイティ(シリーズD) 希薄化を受け入れた成長優先の資本政策

出典:株式会社タイミー 第6期決算書類・公開情報をもとに論評編集部が整理

第5章

論点の整理

第6期の決算分析を通じて、以下の3点が構造的な論点として浮かび上がる。

第一の論点は、営業レバレッジの不在である。売上が+53%成長する中、販管費もほぼ同率で膨張しており、スケールメリットが利益に転化されていない。人件費増加率を売上成長率以下に抑えられるか、また1ワーカー当たり売上(ARPU)や法人側手数料率をどう改善するかが、黒字化への分岐点となる。

第二の論点は、ビジネスモデルの性格の変化である。組織化・CS強化・営業支援の強化が進むにつれ、コスト構造はプラットフォーム型よりも人材サービス型に近づきつつある。「即日雇用マッチング」という業態の特異性が、スケールに伴うコスト構造の重厚化によって希薄化するリスクは、注視が必要な点だ。

第三の論点は、調達依存からの脱却と黒字化の時間軸である。シリーズDで積み上げた現預金9,787百万円は当面の資金繰りを支えるが、現在の損失ペース(当期純損失▲2,906百万円)が続けば、次回調達の必要性が生じる。IPO審査において黒字化の見込みが重視される傾向がある中、次期決算で利益構造の転換シグナルが示されるかどうかが、事業の持続性を測るうえで重要な指標となると見るのが自然だ。

論点 → 質問状

次期決算で確認すべき3点

①人件費増加率が売上成長率を下回る局面が到来したか。②ARPU・法人手数料率の改善により粗利構造に変化が生じたか。③営業CFが黒字転換またはそれに近い水準へ改善されたか。これらを次期開示時に企業カルテへ反映する。

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