継続的希薄化スキームの深化:King Cho、GFA株6.95%に増加

回転式支配”の実像と“共犯構造”疑惑の核心

2025年6月16日、香港の投資会社・景祥針織有限公司(King Cho Knitwear Company Limited、以下King Cho)は、GFA株式会社(証券コード:8783)の株式を574,896株保有し、発行済株式ベースで保有比率が6.95%に上昇したことを変更報告書で開示した。

一見すると保有比率の微増にすぎないが、報告書の詳細を精査すると、「CB(転換社債)→行使→市場売却→再取得」の回転式資本介入構造が浮かび上がる。

しかも、それは単なる資金調達の枠を超え、GFAの資本政策と市場信頼性を崩壊させる構造的リスクに直結している。

King Choとは何者か?

製造業を母体とする“資本戦略実行機関”

King Choは2009年設立、香港・将軍澳を本拠とする法人で、主業は「製造・小売」とされる。

しかし2023年以降、日本の小型上場企業に対して転換社債スキームを用いた間接支配型の投資活動を積極化させている。

CBを引き受け、低価格で株式を取得、短期売却を通じて回収と利益確定を図るスタイルは、日本のグロース市場において“悪名高い存在”として浸透しつつある。

GFAとは?

希薄化依存型の「継続企業ギリギリ」銘柄

GFAは不動産、エネルギー、イベント、デジタルマーケティングなどを事業とするが、いずれの分野でも収益性が極めて脆弱であり、持続的な営業キャッシュフローは存在しない。

過去にも複数の新株予約権・CBを発行し、外部資本への過度な依存で延命してきた歴史を持つ。

こうした背景下、King Choのような“ハイイールド資本”の反復的関与は、「企業のため」ではなく希薄化と回転売却による収益化を主目的とした構造ではないかという疑念を生じさせている。

報告書で読み解く“実態構造”

  • 4月~6月の投資挙動:2024年4月には約175万株のCB行使で普通株を取得し、130万株以上を即座に市場内処分。
  • 5月の株式併合(1:10)により行使余地を再設定し、6月には再び123,456株を取得して保有比率を6.95%へと増加させている。
  • 取得単価は極端に低く、1株あたりの資金コストは50円前後。これにより、価格下落リスクを事実上排除した希薄化前提戦略が可能となっている。

「怪しい」と言わざるを得ない資本政策

GFAを巡る動きには以下の“不自然な特徴”が目立つ。

  1. 希薄化が目的化:株式併合→再ワラント→市場売却という流れが制度的に許されていることを逆手にとって、企業価値創造ではなく株数操作が主目的化している構造が続いている。
  2. IRの説明責任の欠如:GFAはこの間、適時開示やIR説明をほとんど行っておらず、CBによる株式流通の爆発的増加にも沈黙を貫いている。
  3. 仕掛け的な材料流通と株価操作疑惑:SNSやネット記事で“提携観測”などが流布されたタイミングと、CB行使・売却タイミングが重なる例もあり、“情報操作的なマーケットアプローチ”の疑いが強まっている。
  4. 投資家不在の資本構造:既存株主の希薄化は毎度大きく、上場維持そのものが外資ファンドとの希薄化契約でしか支えられていないという末期的構図が現れつつある。

この資本スキームは「共犯構造」なのか

King Choの存在は一投資家にとどまらない。

発行体・外資ファンド・マーケットプレイヤーの間にある“暗黙の共犯関係”によって、CBスキームが繰り返されている疑念を否定できない。

今後、GFAが何を開示し、どう希薄化の影響に対応するか──それはもはや株価の問題ではなく、「市場ルールの正当性」が試されるステージに突入している。

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