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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE決算分析論評編集部公開 2025.07.01更新 2026.06.13

SBIグローバルアセットマネジメント 決算分析

SBIグローバルアセットマネジメントは13期連続増収・16期連続経常増益という数字を積み上げる一方、のれんが資本の約10%を占める構造と親子上場がもたらすグループ依存という二つの構造的論点を抱えており、理念と実態の整合性を問い続けることが自然だと見るのが自然だ。

売上高(2025年3月期)
11,568百万円
13期連続増収・過去最高
営業利益(同)
2,269百万円
2期連続増益・過去最高益
自己資本比率(同)
83.5%
高水準も純資産は前年比700百万円減少
のれん残高(同)
1,625百万円
資本の約10%・減損リスク内包

出典:SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 2025年3月期 有価証券報告書・決算短信

第1章

3期推移と業績の質

売上高は2025年3月期に11,568百万円を記録し、13期連続増収・過去最高を更新した。営業利益は2,269百万円で2期連続の増益かつ過去最高益、経常利益は2,565百万円で16期連続の増益となっている。親会社株主純利益は1,647百万円で、前年に発生した「モーニングスター」ブランド売却収入(9.3億円)という一時的押し上げを除けば実質ベースでの過去最高益に相当する。

指標 2025年3月期 コメント
売上高 11,568百万円 13期連続増収・過去最高
営業利益 2,269百万円 2期連続増益・過去最高益
経常利益 2,565百万円 16期連続増益
親会社株主純利益 1,647百万円 一時要因除き実質最高益
自己資本比率 83.5% 高水準も純資産は前年比減
のれん 1,625百万円 減損リスクを内包

出典:SBIグローバルアセットマネジメント 2025年3月期 決算短信・有価証券報告書

第2章

セグメント別構造

売上高の約84%(97.5億円)を占めるアセットマネジメント部門は、SBIアセットマネジメントを中核とした信託報酬モデルを軸とする。新NISAを追い風に公募投信残高は前期比30.7%増の3.5兆円に拡大し、私募投信(地方金融機関向け)は2.4兆円、米国Carret運用の海外資産は4,874億円となっている。「低信託報酬+インデックス拡充+高配当型」という商品構成が残高拡大を支えているが、残高が増えるほど平均信託報酬が低下する構造的矛盾を内包する。

残る約15.7%(18.1億円)を担うファイナンシャル・サービス(FS)部門は、ウエルスアドバイザー社が運営するWealthAdvisor端末(全国116,327台)の提供と投資信託の評価サービスが主体となる。同部門は中立的な評価機関としての位置づけを標榜するが、主要取引先にSBI証券・SBI新生銀行ほかSBI系列が含まれ、グループへの売上依存が「一定の割合で存在する」と報告書に明記されている。

セグメント 売上比率 売上額(概算) 主要指標
アセットマネジメント 約84% 約97.5億円 公募投信残高 3.5兆円(前期比+30.7%)
ファイナンシャル・サービス 約15.7% 約18.1億円 WealthAdvisor端末 116,327台

出典:SBIグローバルアセットマネジメント 2025年3月期 有価証券報告書(セグメント情報)

第3章

キャッシュフローとの整合

営業CFは+2,007百万円となり、前年の+8,762百万円から大きく縮小した。前年の高水準はモーニングスターブランド売却収入(9.3億円)という一時的要因によるものであり、今期は通常水準への回帰と見るのが自然だ。投資CFは+359百万円で、投資有価証券の売却益が支え、買収・設備投資は限定的にとどまった。財務CFは▲2,013百万円で、配当金1,950百万円が主因である。現金残高は4,008百万円を維持しているが、純資産は前年より700百万円減少している。

項目 当期 前期 増減
営業CF +2,007百万円 +8,762百万円 ▲6,755百万円(一時要因剥落)
投資CF +359百万円 ▲540百万円(概算) 改善(有価証券売却)
財務CF ▲2,013百万円 配当金1,950百万円が主因
現金残高 4,008百万円 流動性は維持

出典:SBIグローバルアセットマネジメント 2025年3月期 キャッシュ・フロー計算書

第4章

財務と資産の質

自己資本比率83.5%は財務健全性の高さを示すが、純資産が前年比700百万円減少している点は留意が必要だ。のれん合計1,625百万円は主に2系統から構成される。米国Carret Holdings / Asset Managementの買収に起因するのれんが954百万円、SBIアセットマネジメント関連3社統合に起因するのれんが671百万円である。のれんは資本の約10%を占めており、現時点では減損兆候は報告されていないが、Carretのアクティブ運用における定量的リターンは見えにくく、中長期的な減損リスクは構造的に内包されている。また、FS部門が掲げる「中立・客観的な評価」という姿勢と、グループ取引依存という実態の間には一定の緊張関係がある。

のれん発生源 金額 概要
Carret Holdings / Asset Management(米国) 954百万円 定量的リターンは見えにくい
SBIアセットマネジメント関連(3社統合) 671百万円 SBI系ファンド再編コストとして残留
合計 1,625百万円 資本の約10%を占める

出典:SBIグローバルアセットマネジメント 2025年3月期 有価証券報告書(注記)

第5章

論点の整理

本決算から浮かび上がる構造的論点は3点にまとめられる。

論点①:信託報酬モデルの構造的劣化
残高は3.5兆円(前期比+30.7%)と拡大しているが、低コスト・インデックス商品の比率拡大に伴い平均信託報酬は低下傾向にある。残高の拡大が収益の質的改善に直結しているかどうか、継続的な検証が必要だと見るのが自然だ。
論点②:のれん圧縮なき合併・買収戦略のリスク
米Carret買収(954百万円)と国内3社統合(671百万円)に起因するのれん計1,625百万円は資本の約10%に達する。現時点で減損兆候の報告はないものの、とりわけCarretのアクティブ運用の成果が不透明なまま推移する場合、減損が顕在化する可能性は残る。
論点③:親子上場とグループ依存の構造
SBIホールディングスの100%子会社が52.7%の議決権を保有する親子上場体制のもと、主要取引先・人材・オフィス賃借にわたりグループ依存が報告書に明記されている。FS部門が標榜する「中立・客観的な評価」という理念と、この構造的依存の整合性は問い続けるべき論点だと見るのが自然だ。

出典:SBIグローバルアセットマネジメント 2025年3月期 有価証券報告書・決算説明資料

論点 → 質問状

この決算を、どう追うか

①平均信託報酬の推移と残高構成比の変化、②Carret部門の単体損益開示の有無、③親子上場解消または資本政策の変更に関する開示を継続して監視する。のれん減損の兆候が報告された場合は、企業カルテに反映する。

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