田邊勝己、WHY HOW DO 株31.25%へ後退

3,000,000株分の新株予約権を処分

2025年7月18日、弁護士法人カイロス総合法律事務所の代表弁護士であり、個人投資家としても知られる田邊勝己氏は、THE WHY HOW DO COMPANY株式会社(証券コード:3823)の保有比率が32.85%から31.25%に低下したことを関東財務局に報告した。

わずか1.6ポイントの減少に見えるが、その中身は重要だ。

発行済株式総数に対して実に2.8%に相当する3,000,000株分の第15回新株予約権を処分しており、田邊氏の資本戦略における転換点を示す“静かなる一歩”といえる。


第15回新株予約権を市場外で譲渡

報告書によれば、田邊氏は2025年7月11日、保有していた第15回新株予約権3,000,000株分を市場外で0.01円という極端な安値で処分した。

この処分は、以下の事実と組み合わさることで意味を持つ

  • 予約権の譲渡には2025年5月27日に発行会社取締役会の承認を得た正式な譲渡契約が存在

  • 直前までの保有比率32.85%から1.6ポイント減の31.25%に縮小

  • 自己資金ベースの取得資金総額は約6.9億円(新株予約権含む)

これらは、田邊氏があくまで法的・制度的スキームの範囲内で“実質的な株式換金”を進めたプロセスであり、その性質は敵対的でも買収的でもない。むしろ、制度に適合した“静かな流動性確保”と見るのが妥当である。


THE WHY HOW DO COMPANYとは”

THE WHY HOW DO COMPANYは、オンライン教育コンテンツの制作・販売を主力とし、一部では情報商材的な商品構成で注目を浴びる銘柄である。

  • 主な事業:動画セミナー、サブスクリプション型講座、個人向け起業支援プログラム

  • 業績:黒字化・赤字転落を繰り返すボラティリティの高い収益構造

  • 株価水準:PBR2倍超、時価総額は低位安定

近年、IR戦略や経営体制を巡る不透明さが指摘されており、“市場の話題性を資本戦略に取り込むタイプの企業”として投資家からの警戒感も高まっていた。


田邊勝己氏とは──法律家でありながら“資本設計の実務家”

田邊氏は、カイロス総合法律事務所を主宰し、主に金融商品取引法・M&A・訴訟戦略を得意とする弁護士である一方、複数の小型上場企業に対して大量保有を行い、“資本家としての顔”を持つ人物でもある。

本件においても、THE WHY HOW DO COMPANY株式・新株予約権の大量取得・譲渡を通じ、弁護士としての制度理解と、個人投資家としてのキャピタルアプローチを融合させた投資行動を示している。


支配権を握る者”の振る舞いに市場が注目

保有比率31.25%は、依然として経営に対して強い影響力を持つ水準である。特別決議阻止ライン(3分の1)には届かないが、20%超の議決権で事実上の筆頭株主であり続けることが可能だ。

今後注視されるべきは:

  • 田邊氏がさらに株式・予約権の処分を進めるかどうか

  • 他の投資家・ファンドが株主構成に加わる動きがあるか

  • 同社が自己株式取得などで“資本再構成”に動くか

いずれも、“誰が主導権を握っているのか”が曖昧なまま放置されることで、市場の評価が一段とブレやすくなる構図だ。


“静かなる支配の撤退線”としての予約権処分

田邊勝己氏による3,000,000株分の新株予約権処分は、単なる保有減ではない。それは個人の手によって構築された支配構造の“撤退線”でもある。

しかもそのすべては制度内・合法的に行われている。

企業統治のあり方、資本構造の柔軟性、法と制度を用いた“株主としての自己実現”──このすべてが交錯する中で、THE WHY HOW DO COMPANYと田邊氏を巡る動線は、今後も市場に小さくない揺れをもたらすことになりそうだ。

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