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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE決算分析論評編集部公開 2025.07.29更新 2026.06.13

株式会社トゥエンティーフォーセブンHD 決算分析

「24/7Workout」を軸に5期連続の赤字が続くトゥエンティーフォーセブンHDは、第18期中間期において広告費の大幅削減を主因に赤字幅を縮小させたが、売上高は前年同期比26.6%減と急落しており、「費用削減による見かけの改善」と「事業構造の再構築」が混在する過渡期にあると見るのが自然だ。

売上高(第18期中間)
951百万円
前年同期比 ▲26.6%
営業損失(第18期中間)
▲117百万円
前年同期比 赤字縮小+207百万円
自己資本比率
17.4%
前年同期比 +3.3pt
現金等残高
559百万円
前年同期比 +64百万円

出典:株式会社トゥエンティーフォーセブンHD 第18期中間期決算報告書および第17期通期決算報告書をもとに論評編集部が整理

第1章

3期推移

減収と赤字縮小の構造

第17期中間から第18期中間にかけて、売上高は1,295百万円から951百万円へと344百万円(▲26.6%)減少した。一方、営業損失は▲324百万円から▲117百万円へと大幅に縮小。経常損失・純損失もそれぞれ縮小しており、表面上は「改善」と映る。しかし、この赤字縮小の主因は広告宣伝費の急減(前年同期386百万円→今期82百万円)にあり、集客コストを絞った結果として売上が急落しているという構造的矛盾を内包している。通期(第17期)と比較しても、改善の質については慎重に見る必要がある。

指標 前年同期(第17期中間) 今期(第18期中間) 増減幅 通期(第17期)
売上高 1,295百万円 951百万円 ▲344百万円(▲26.6%) 2,527百万円
営業損失 ▲324百万円 ▲117百万円 +207百万円(赤字縮小) ▲320百万円
経常損失 ▲324百万円 ▲110百万円 +214百万円(赤字縮小) ▲381百万円
純損失 ▲371百万円 ▲128百万円 +243百万円(赤字縮小) ▲436百万円
自己資本比率 14.1% 17.4% +3.3pt 14.4%
現金等残高 495百万円 559百万円 +64百万円 651百万円

出典:第18期中間期・第17期通期決算報告書(論評編集部整理)

第2章

セグメント

単一モデルからの分化戦略

当社は「24/7Workout」を主軸とするパーソナルトレーニング事業の単一セグメント企業であり、今期もセグメント別の開示はない。ただし、経営構造の変化を示す動きとして以下が確認できる。

第一に、低価格・短期型新コースを導入し価格帯の多様化を図っている。第二に、業態転換および新規展開として「24/7FiT」(フィットネス型、新規2店舗・業態転換2店舗)と「24/7Pilates」(パーソナルピラティス型、15店舗併設・1店舗単独開業)が立ち上がった。第三に、店舗数は直営88店舗・FC8店舗体制(前期末比+5店舗)となっている。

パーソナルジム単一モデルの限界を見据えた分化戦略が初動フェーズにある一方、各業態の収益貢献は現時点では開示されておらず、セグメント単位での損益検証は今後の課題となる。

出典:第18期中間期決算報告書(論評編集部整理)

第3章

キャッシュフローとの整合

資金繰りの延命構造

営業キャッシュフローは依然マイナスが続いているが、広告費抑制により赤字幅は前年同期の▲340百万円から▲200百万円へと縮小した。投資キャッシュフローは新規出店に伴う設備投資により▲38百万円と前年同期比で拡大。財務キャッシュフローは第三者割当増資および新株予約権行使により+145百万円を確保し、現金残高は559百万円へと増加した。

この構造は営業赤字を増資で補填しながら資金繰りを維持する延命モデルと整理できる。継続的な外部資金調達が途絶えた場合、再びキャッシュアウトに転じるリスクは残存する。

指標 前年同期 今期(第18期中間) 備考
営業CF ▲340百万円 ▲200百万円 税引前損失と前受金減
投資CF ▲12百万円 ▲38百万円 新規出店による設備投資
財務CF +115百万円 +145百万円 増資(第三者割当+新株予約権)
現金残高 495百万円 559百万円 CF改善で増加

出典:第18期中間期決算報告書(論評編集部整理)

第4章

財務と資本政策

増資依存と資産除去債務の重荷

今期は第三者割当増資と新株予約権行使により資本金・資本剰余金を合計145百万円増強した。しかし、増強した資本の大部分は累積損失の穴埋め(393百万円を欠損補填に使用)に充てられており、本質的な資本蓄積には至っていない

固定負債の中心は資産除去債務(28億円超)であり、店舗退去時の原状回復義務が長期的なリスクとして重くのしかかる。自己資本比率は14.1%から17.4%へと改善しているが、この改善は増資という外部注入によるものであり、事業そのものによる利益蓄積を伴うものではない。

株主構造については、いなよしキャピタルパートナーズ(39.6%)とNOVAホールディングス(16.4%)の上位2社が合計56.0%を保有しており、経営支配は親会社グループに依存した体制が継続している。財務支援の後ろ盾となる一方、独立性・ガバナンス面での論点ともなりうる構造だ。

株主名 持株数 持株比率
いなよしキャピタルパートナーズ 3,360,700株 39.6%
NOVAホールディングス 1,394,500株 16.4%
上位2社合計 4,755,200株 56.0%

出典:第18期中間期決算報告書(論評編集部整理)

第5章

論点の整理

延命から成長への転換は本当に可能か

今期決算が示す構造的な論点は、以下の3点に集約される。

第一に、広告費削減の持続可能性。赤字縮小の主因が広告費の急減(386百万円→82百万円)にある以上、この水準での集客維持が可能かどうかが問われる。新業態や低価格コースが口コミ・リピート主導の集客モデルへと転換できなければ、広告費を再び積み増さざるを得ない局面が訪れる可能性がある。

第二に、持株会社化とM&Aの実効性。2025年6月の持株会社移行と同時に、NOVAグループ傘下のサンシャインビル株式会社(スポーツ施設運営)を800千円で子会社化した。グループシナジーを狙った動きである一方、買収額の低廉さはグループ内資産の組み替えという側面も否定できず、外部少数株主の観点からは実質的な価値創造かどうかの検証が必要と見るのが自然だ。

第三に、増資依存体質からの脱却。財務CFが外部調達頼みである現状は、事業損失が続く限り継続する。月次黒字化が見込まれるとされるが、その後の利益積み上げペースが資産除去債務を含む固定負債の重さに見合うかどうかは、今後の通期開示を通じて継続的に検証されるべき論点だ。

論点 → 質問状

この決算を、どう追うか

新業態(24/7FiT・24/7Pilates)の収益貢献が開示されるか、通期での月次黒字化が達成されるか、および増資依存の資本政策に変化が生じるかを継続して記録する。持株会社移行後の子会社損益の連結開示有無についても注視が必要だ。

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