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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE決算分析論評編集部公開 2025.07.31更新 2026.06.13

【決算分析】協和コンサルタンツ

建設コンサルタント事業が全体利益を独力で支える一方、情報処理セグメントは赤字転落という構造的課題を抱える。公共投資・防災需要の追い風を受けてキャッシュ創出力は大幅に向上しており、財務の安定性は高水準を維持していると見るのが自然だ。

売上高(2025年5月期)
4,799百万円
前期比 +10.2%
営業利益(2025年5月期)
655百万円
前期比 +15.7%
営業CF(2025年5月期)
1,846百万円
前期比 +38.9%
自己資本比率
51.9%
借入圧縮と並行して改善

出典:協和コンサルタンツ 2025年5月期 決算開示資料をもとに論評編集部が整理

第1章

3期推移

協和コンサルタンツは東京都渋谷区に本社を置く建設コンサルタント企業であり、官公庁・地方自治体向けに道路・橋梁・河川・上下水道などの社会インフラに関する調査・設計・点検業務を主軸とする。国交省・防衛省をクライアントに持つことから、公共投資や防災・減災政策の動向に業績が強く連動する構造を持っている。

2025年5月期の業績は、受注高(4,966百万円)が前年同期比8.0%減となったにもかかわらず、売上・利益ともに二桁成長を達成した。大型案件の進捗と利益率改善、および販管費削減による構造的な改善が背景にある。

指標 前期(2024年5月) 今期(2025年5月) 増減率
売上高 4,355百万円 4,799百万円 +10.2%
営業利益 566百万円 655百万円 +15.7%
経常利益 563百万円 651百万円 +15.7%
純利益(親会社株主帰属) 384百万円 438百万円 +14.0%
営業CF 1,328百万円 1,846百万円 +38.9%
受注高 4,966百万円 前期比 −8.0%

出典:協和コンサルタンツ 2025年5月期 決算開示資料

第2章

セグメント

協和コンサルタンツは建設コンサルタント・情報処理・不動産賃貸管理の3セグメントを有する。収益構造の実態は「建設コンサルタント1本足」に近く、その1本が極めて高い利益貢献を示している。

情報処理セグメントは前期黒字から今期は赤字転落しており、官公庁向けITの採算悪化が構造的な課題として浮上している。不動産賃貸・管理は売上2百万円と規模は小さいが安定した黒字を確保しており、内部向け性格が強い。

セグメント 売上高 営業利益(損失) 備考
建設コンサルタント 4,047百万円 719百万円 主力。増収+12.7%・増益+16.9%
情報処理 749百万円 ▲8百万円 赤字転落(前期は黒字)
不動産賃貸・管理 2百万円 20百万円 黒字確保。内部向け性格が強い

出典:協和コンサルタンツ 2025年5月期 決算開示資料

第3章

利益の質

今期の営業利益率は13.6%に達しており、売上成長率(+10.2%)を上回る利益成長率(+15.7%)を達成している。費用構造の改善、とりわけ販管費削減が寄与した結果と旧記事では説明されている。

受注高が前年比8.0%減少するなかでも売上・利益が伸長した点は、既存受注の進捗管理と採算管理の精度が向上していることを示唆する。一方、情報処理セグメントの赤字転落は、全体の利益率改善とは逆行する動きとして注視が必要である。

出典:協和コンサルタンツ 2025年5月期 決算開示資料をもとに論評編集部が整理

第4章

キャッシュフローとの整合

今期の営業CFは1,846百万円と前期比+518百万円(+38.9%)の大幅増となった。この増加の主因は、売上債権の減少(▲6.8億円)および契約負債の増加(+3.9億円)であり、未収抑制と前受収入の拡大によって実質的なキャッシュが膨らんだ構造にある。

投資CFは▲15百万円(前期:▲5百万円)と軽微であり、財務CFは▲435百万円(前期:▲941百万円)と借入返済を進めた。短期借入金の返済を継続しながら現預金残高を46.7億円(前期比+13.9億円)へ積み増した点は、借入金に依存しないキャッシュ創出能力の高さを示している。

CF区分 前期(2024年5月) 今期(2025年5月) 増減
営業CF 1,328百万円 1,846百万円 +518百万円
投資CF ▲5百万円 ▲15百万円 −10百万円
財務CF ▲941百万円 ▲435百万円 改善+506百万円
現預金残高 46.7億円 前期比+13.9億円

出典:協和コンサルタンツ 2025年5月期 決算開示資料

第5章

財務と還元

自己資本比率は51.9%と過半を維持しており、借入依存度は低い。資本金は1億円と東証スタンダード上場企業としてはコンパクトな資本構成である。ストックオプションは発行されておらず、自己株式は約0.2%程度にとどまるため、希薄化リスクは極小と整理できる。

株主構成の筆頭はフリージア・マクロス(旧:フリージア・オフィスサービス)で45.18%を保有する。以降は三菱UFJ銀行2.39%、SBI証券1.90%、協和コンサルタンツ社員持株会1.45%と続く。グループ連携と受注安定を重視した保守的な資本構造と旧記事では説明されている。

株主名 保有比率
フリージア・マクロス株式会社 45.18%
三菱UFJ銀行 2.39%
SBI証券 1.90%
協和コンサルタンツ社員持株会 1.45%

出典:協和コンサルタンツ 開示資料(大株主欄)

第6章

論点の整理

今期決算から浮かび上がる構造的論点は以下の3点である。

論点① 受注減と売上増の乖離はいつまで続くか
今期は受注高が前年比8.0%減にもかかわらず売上が10.2%増加した。この乖離は既存受注の消化進捗によるものであり、受注残の水準次第では翌期以降の売上にしわ寄せが生じる可能性がある。受注残高の推移を継続して確認することが重要と見るのが自然だ。

論点② 情報処理セグメントの赤字構造をどう評価するか
官公庁向けITを担う情報処理セグメントは前期黒字から今期は▲8百万円の赤字に転落した。人材獲得競争の激化やシステム開発コストの上昇が要因として考えられるが、旧記事には詳細が示されていない。単年度のコスト増圧力なのか、構造的な採算悪化なのかを次期以降の開示で見極める必要があると見るのが自然だ。

論点③ 45%超の筆頭株主構造が事業方針に与える影響
フリージア・マクロスが45.18%を保有する支配的な株主構造は、資本政策・配当方針・グループ間取引の独立性に関する透明性の観点から注視が求められる。少数株主との利益相反リスクの有無についても、継続的な確認が必要と見るのが自然だ。

公共投資・防災需要・インフラ点検義務化といった追い風が継続する環境下では、建設コンサルタント事業の収益基盤は引き続き安定的に機能すると見るのが自然だ。ただし、情報処理の採算回復と受注残高の水準維持が、今後の業績安定性を左右する主要変数となる。

出典:協和コンサルタンツ 2025年5月期 決算開示資料をもとに論評編集部が整理

論点 → 質問状

この決算を、どう追うか

受注残高の推移、情報処理セグメントの採算回復動向、および筆頭株主との取引内容を次期開示で確認する。利益率・CFの持続可能性についても企業カルテへの反映を継続する。

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