
fundnoteとは?
「顔の見える運用」で個人と制度を架橋する独立系運用会社
fundnote株式会社は2021年に創業された、国内発の独立系資産運用会社である。
代表取締役は渡辺克真氏。創業以来、以下の3本柱を軸に投資運用を展開している。
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日本株の集中アクティブ運用
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上場前後企業を対象としたクロスオーバー戦略
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エンゲージメント(対話)を重視したスチュワードシップの実践
他のファンドとの決定的な違いは、「顔が見える運用」を掲げており、ファンドマネージャーの哲学・投資選定根拠・企業との対話内容までも積極的に開示する姿勢にある。
その姿勢は、個人投資家からの圧倒的な信頼と資金流入を呼び込み、同社の旗艦ファンド「Kaihou」は設定初月でネット資金流入ランキング1位を獲得するなど、異例の滑り出しを見せた。
旗艦ファンド「Kaihou」の投資スタイル
構造的割安銘柄への“エンゲージメント集中砲火”
■ Kaihouファンドの投資哲学(運用報告資料より)
特徴 | 内容 |
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投資対象 | 日本の上場企業(中小型株中心) |
投資戦略 | 本源的価値と株価の乖離に着目した集中投資 |
投資銘柄数 | 約20銘柄前後に絞り込み |
リサーチ重視 | フィールドリサーチ・IR面談・エンゲージメント対話を重視 |
目指すリターン | 絶対収益追求型(市場指数に依存しないリターン) |
ファンド哲学 | 「企業に投資するとは、企業の未来に参加すること」 |
このファンドは、1銘柄に対して最大20%以上の資産を投入することも辞さない高集中スタイルを採用している。その分、企業との対話(ESG、ROIC、資本政策)には深く関与する。
「議決権を使わない沈黙型ファンドではなく、対話を前提に企業価値を上げる“発言する少数株主”」(渡辺克真)
関与が確認された主要銘柄一覧(Kaihouファンド公開情報・EDINETより)
以下は、fundnote Kaihouファンドが関与・保有を報告している主要銘柄(2024年以降)
銘柄名 | 証券コード | 保有比率 | 特筆点 |
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豊和工業 | 6203 | 5.66% | 2025年提出の大量保有報告。IR強化・ROE改善を意図。 |
エア・ウォーター | 4088 | 非開示 | 公式インタビューにて「集中保有中」と明言。安定収益・統治強化。 |
中小型製造業A社(未公表) | 非公開 | 非開示 | ESG改善対話を継続中と報告資料で示唆あり。 |
ソフトウェアB社(上場直後) | 非公開 | 非開示 | IPO直後に「Kaihouで受け入れた」と開示。 |
※一部はEDINET報告に至らない比率で保有されており、「数%未満でも対話を行う」ケースも多い。
もうひとつの主力戦略
「あけぼの」ファンドによるIPOクロスオーバー投資
特徴概要(ファンドあけぼの・レポートより)
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未上場~上場直後企業に資金を供給する「プレIPO投資」
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IPO後に割安放置されやすい企業に長期資本で支援
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創業者IR支援・情報開示支援・企業価値評価の可視化など、資本だけでなくソフト支援も行う
fundnoteのこの戦略は、「スタートアップにおける“死の谷”を越える橋」として、多くの成長企業から支持されている。
fundnoteのスタンスはアクティビズムか?
“エンゲージメントの中間地帯”
fundnoteは自らを「アクティビスト」とは名乗らない。
だが、エンゲージメントを前提に、経営改善提案・IR改善要求・資本政策の可視化要求を行っている点では、制度内アクティビズムの担い手である。
彼らの哲学は明確だ。
「企業を敵視しない。だが、黙認もしない。」
この“中間地帯”こそ、これからの日本市場で機関投資家と企業の健全な関係を築く上で、最も注目される投資スタイルであろう。
総括
fundnoteは、従来のアクティビストと異なり、透明性と対話を基調とした“日本型アクティビズム2.0”とも言える投資運用モデルを築いている。
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「Kaihou」で中小型上場企業の価値を顕在化させ
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「あけぼの」で未上場企業に上場後の成長モデルを支援し
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複数の助言者(例:Kaihou社)と連携して、企業価値と株主利益の中間に立つ
今後、同社が関与する銘柄は、「対話可能な企業」と「沈黙する企業」に分かれ、その後の株主構成や株価パフォーマンスにも違いが出てくるだろう。