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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE大量保有報告論評編集部公開 2025.09.11更新 2026.06.13

清水建設にブラックロックの影

ブラックロック・グループ12社が清水建設株式会社の発行済株式5.02%を保有し、大量保有報告書を提出した。「純投資」を目的と記載しつつも、グループ横断の統合的な保有構造がどのようなエンゲージメントに結びつくか、継続して注視するのが自然だ。

グループ合計保有割合
5.02%
5%超・大量保有ライン越え
グループ合計保有株数
35,949,495株
12社連名
報告種別
大量保有報告書
初回報告
保有目的(記載ベース)
純投資
顧客・投資信託等の資産運用目的

出典:大量保有報告書(2025年9月3日提出、提出者:ブラックロック・ジャパン株式会社ほか11社)

第1章

サマリー

報告日
2025年9月3日
対象会社
清水建設株式会社(証券コード:1803)
提出者
ブラックロック・ジャパン株式会社を筆頭とするブラックロック・グループ12社
グループ合計保有株数
35,949,495株
発行済株式に対する割合
5.02%
報告種別
大量保有報告書(初回)
保有目的(記載ベース)
純投資(顧客および投資信託等の資産運用目的)

出典:大量保有報告書(2025年9月3日提出)記載ベース

第2章

【提出者】ブラックロック・グループとは

今回の報告書は、ブラックロック・ジャパン株式会社を筆頭に、計12法人の連名によって提出された。構成する法人は日本、米国(カリフォルニア州)、英国、アイルランド、カナダ、オーストラリア、オランダ、ルクセンブルグにまたがる世界各国のブラックロック拠点である。以下がその主要構成法人だ。

法人名 所在地
ブラックロック・ジャパン株式会社 日本
ブラックロック・ファンド・アドバイザーズ 米国(カリフォルニア州)
ブラックロック・インスティテューショナル・トラスト・カンパニー 米国
ブラックロック・アドバイザーズ 米国
ブラックロック・ファンド・マネジャーズ 英国
ブラックロック・アセット・マネジメント アイルランド/カナダ
ブラックロック・インベストメント・マネジメント オーストラリア/英国/オランダ
ブラックロック・ルクセンブルグ S.A. ルクセンブルグ

ブラックロックは、顧客・投資信託等の資産を一任運用するグローバル資産運用グループとして知られる。日本市場では、東レ、KDDI、NTTなど複数の大企業に対してもエンゲージメント(対話)を行ってきた実績がある。各法人の保有株式割合は単独では小規模であっても、グループ横断で集計することで5%超という開示義務の境界線を越えてくる構造が、今回の報告の本質的特徴だ。

出典:大量保有報告書(2025年9月3日提出)記載ベース

第3章

取得の構造

報告書に記載された主要3社の保有内訳は以下の通りである。この3社だけでグループ合計保有株数の70%以上を占めており、グループ内での実質的な保有の中心を担っていると見られる。

法人名 保有株数 保有割合
ブラックロック・ファンド・アドバイザーズ 6,421,100株 0.90%
ブラックロック・インスティテューショナル・トラスト・カンパニー 8,227,578株 1.15%
ブラックロック・ジャパン株式会社 11,612,800株 1.62%

保有目的は各社とも「純投資(顧客および投資信託等の資産運用目的)」と記載されており、個別企業の経営への直接関与を目的としたものではないとの立場が示されている。ただし、ブラックロックが運用資産の規模を通じてESGや資本効率に関するエンゲージメントを展開する手法は、世界的に広く認識されている実態でもある。

出典:大量保有報告書(2025年9月3日提出)記載ベース。3社合計は主要3社のみの集計であり、グループ合計35,949,495株(5.02%)に含まれるその他9社分は別途記載あり。

第4章

論点の整理

今回の大量保有報告が提起する構造的論点は以下の3点に整理できると見るのが自然だ。

論点①:「純投資」と「エンゲージメント」の境界線
報告書上の保有目的は「純投資」にとどまる。しかしブラックロックが過去に日本企業に対して行ってきた事例を踏まえると、ESG開示の強化、資本効率の改善要請、株主還元政策の加速といった対話が行われる可能性は排除できない。記載上の「純投資」がどのような行動に結びつくかは、今後の変更報告書や議決権行使の動向が手掛かりとなる。

論点②:グループ横断保有の構造的インパクト
12法人が連名で5.02%を保有するという構造は、単一の機関投資家が同一割合を保有する場合とは性質が異なる。各法人の意思決定がどの程度統合されているか、また議決権行使方針がグループ統一的に運用されるかどうかが、実質的な影響力の規模を左右する。

論点③:清水建設の資本構造との交差
清水建設は自己資本比率が高く、配当性向も安定している企業として知られる。こうした財務構造を持つ大手建設会社に対し、グローバル資本がESGや資本効率の観点からどのような対話を行うかは、建設・インフラセクター全体にとっても参照事例となり得る。サステナブル建設など新分野への経営資源配分についての対話も視野に入る。

論点 → 監視

この保有を、どう追うか

変更報告・追加取得の有無を継続して記録する。保有目的に動きがあれば、企業カルテに反映する。

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