ブラックロックと日本の新興AIベンチャー

PKSHA、HEROZ、エクサウィザーズの行方

新興AI銘柄への資本の目線

Appierのように5%を超えた事例とは異なり、PKSHA、HEROZ、エクサウィザーズといった国内AIベンチャーは、現時点でブラックロックによる大量保有報告(5%以上の保有)は確認されていない。

しかし、ブラックロックが運用するETFやインデックスファンドを通じ、小口での保有はほぼ確実に存在する

つまり、これらは「指数組入れに伴う受動的投資」の対象にはなっているが、現状では表面に出るほどの規模ではない。

とはいえ、新興株特有の流動性・成長期待を背景に、市場規模の拡大や株価の出来高増加を契機として、いずれ5%超に達し開示が出る可能性がある。

PKSHA Technology(3993)

企業概要

自然言語処理や画像認識などのアルゴリズム開発を強みとし、金融・自治体・通信など幅広い分野にAIソリューションを提供。自社LLMや対話エンジンの商用化にも積極的だ。

成長性

  • 受託開発からサブスクリプションモデルへの移行を進めており、ストック型収益の比率が拡大。

  • 国内大手企業との共同開発実績が多く、社会実装の裾野が広い。

ブラックロックとの関係

現時点では5%未満の保有に留まると見られるが、同社の安定した売上成長と指数採用に伴い、ETF経由で比率が高まれば開示対象となる可能性が高い。

HEROZ(4382)

企業概要

将棋AIで一躍名を馳せ、その強化学習技術を金融・建設・物流分野に展開。特にBtoB向けのAIソリューションに注力している。

成長性

  • 上場直後は「AI将棋ブーム」で株価が急騰したが、その後は成長鈍化が指摘されてきた。

  • 直近では、AI SaaS事業の強化と金融領域での応用が進んでおり、再成長フェーズに入る兆し。

ブラックロックとの関係

ブラックロックの運用商品に組み込まれている可能性はあるが、流動性が限定的であるため、まだ大口保有には至っていない。

今後、金融領域の案件拡大や黒字化安定が見えてくれば、指数資金の流入が本格化する。

エクサウィザーズ(4259)

企業概要

「AIを用いた社会課題解決」を掲げ、介護・医療・人材領域でのAIソリューションを展開。AI人材プラットフォームや生成AI活用サービスを積極的に打ち出している。

成長性

  • 2021年上場以降、赤字基調が続くが、AI人材サービスや生成AIソリューションの需要増を追い風にしている。

  • 政策的な後押し(医療DX、介護分野の効率化)を背景に、中長期の社会実装テーマを握っている。

ブラックロックとの関係

上場直後の新興株としてはボラティリティが大きく、現時点で5%超の保有は確認されていない。

しかし、テーマ性が強い企業であるため、長期的にはインデックスファンド組入れ比率が上がり、保有比率が可視化される可能性がある。

論点とまとめ

  • 現状:3社ともブラックロックの保有は5%未満とみられ、表面化していない。

  • 将来:指数組入れや株価の出来高増により、ETF資金流入で比率が上昇する可能性がある。

  • 期待値

    • PKSHAは安定成長+ストック型ビジネス化で「堅実銘柄」。

    • HEROZは再成長フェーズに入るかどうかが焦点。

    • エクサウィザーズは社会課題解決テーマと生成AI波及の「長期オプション銘柄」。

結論として、ブラックロックはまだ大口株主として姿を見せていないが、これらの新興AIベンチャーは今後の指数採用・資本流入のターゲットとなり得る。

Appierがそうであったように、「5%超え開示」が出た瞬間に市場での評価が一変する可能性がある。

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