fundnote、エフアンドエム株を5.80%保有
fundnote株式会社が2025年10月15日を義務発生日として株式会社エフアンドエムの株式を5.80%保有していることが大量保有報告書で明らかになった。保有目的は「建設的な対話によるIR・資本効率・ガバナンスの高度化と企業価値向上」であり、重要提案行為への移行可能性も明記されており、今後の対話動向を注視するのが自然だ。
出典:大量保有報告書(報告義務発生日2025年10月15日、提出日2025年10月22日)をもとに論評編集部が整理。
サマリー:報告書が示す事実
出典:大量保有報告書記載事項をもとに論評編集部が整理。保有目的は報告書記載の文言ベース。
【提出者】fundnoteとは
fundnote株式会社は2021年8月設立。東京都港区芝のクロスオフィス三田に拠点を構え、金融商品取引法に基づく投資運用業および第二種金融商品取引業の登録を持つ独立系資産運用会社である。
運用スタイルの特徴は以下の3点に整理できる。第一に、ESGおよびスチュワードシップに基づく中長期運用として、単なる短期的な値動きではなく企業価値の内的成長を重視する点。第二に、IR・ガバナンス支援型投資として、経営陣と直接対話し、資本効率・IR体制・情報開示水準の改善を促す点。第三に、大企業よりも地方・中堅上場企業に焦点を当てた中堅企業対象の社会的投資を志向する点である。
同社は自らを「アクティビストでも従来型の運用会社でもない」と位置づけており、その中間領域に立つ新しいタイプの資本として事業を展開していると見るのが自然だ。
出典:大量保有報告書の提出者情報および公開情報をもとに論評編集部が整理。
取得の構造:Kaihouとの連携運用スキーム
今回の保有は、fundnoteが株式会社Kaihouの投資助言に基づき投資信託の信託財産として運用するスキームをとっている。Kaihouは企業価値評価と対話型アドバイザリーを専門とする独立系投資助言会社とされている。
このスキームにおける役割分担は次のとおりである。Kaihouが銘柄選定および経営対話に関する助言を担い、fundnoteが信託財産の実際の運用とスチュワードシップ活動の実行を担う。助言と実行を分離した構造により、投資判断の透明性と利益相反リスクの低減が図られているとされる。
対象企業であるエフアンドエムは、中小企業向けに経営・人事・財務支援サービスを提供する総合支援企業であり、主力事業として社会保険労務士事務所や会計事務所を対象としたアウトソーシング支援「F&M Club」およびクラウド型業務支援ツールを持つ。近年ではクラウド労務管理「F&M Payroll」の展開、中小企業のDX推進支援、士業連携によるデータプラットフォーム構築などを推進している。報告書の記載および公開情報からは、同社のIR活動や情報開示に改善余地があるとの認識がfundnote側にあることがうかがえる。
出典:大量保有報告書の保有目的欄および公開情報をもとに論評編集部が整理。
論点の整理
今回の大量保有報告から、以下3点の論点を提示する。
論点①:「重要提案行為」移行の条件
報告書は保有目的を「投資信託の信託財産の運用」としながら、場合によっては「重要提案行為を行う」へ変更する可能性を明記している。どのような局面でその移行が判断されるのか、具体的な基準は開示されていない。対話の進捗状況と企業側の応答姿勢が鍵となると見るのが自然だ。
論点②:地方・中堅企業アクティビズムの潮流
東京大企業を対象とする従来型アクティビズムとは異なり、fundnoteは地方・中堅上場企業に焦点を当てる。この動きは地域資本主義の再評価とも連動しており、類似のスキームが他の中堅企業に波及するかどうかは、今後の観察点となる。
論点③:スチュワードシップ・コードの「実践型」運用の評価
制度の形式的遵守にとどまらず、現場での経営改善を促す対話を主軸とする運用スタイルは、スチュワードシップ・コードの実践形態として注目に値する。ただし、その実効性は企業側との対話の中身によって判断されるべきであり、現時点では報告書記載の目的水準にとどまることを確認しておく必要がある。
出典:大量保有報告書の記載内容をもとに論評編集部が整理。
