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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE大量保有報告論評編集部公開 2025.10.31更新 2026.06.13

ハイツ・キャピタルがクオンタムソリューションズ株37.09%を保有

ハイツ・キャピタル・マネジメントは、新株予約権2本とCB1本を組み合わせた第三者割当により、クオンタムソリューションズの潜在株ベース37.09%を取得した。転換・行使価格と契約条項の設計を見れば、資金供給と同時にオプション収益のポジションを確保した構造型投資と見るのが自然だ。

保有割合
37.09%
潜在株含む
保有株式数(潜在株)
27,200,000株
3種類合計
報告種別
新規報告
義務発生日:2025年10月14日
保有目的
純投資(記載ベース)
第三者割当による取得

出典:大量保有報告書(報告義務発生日2025年10月14日、提出日2025年10月21日)、クオンタムソリューションズ株式会社(証券コード2338、東証スタンダード)

第1章

サマリー

報告者
ハイツ・キャピタル・マネジメント(Heights Capital Management, Inc.)
対象銘柄
クオンタムソリューションズ株式会社(2338、東証スタンダード)
報告種別
新規報告
報告義務発生日
2025年10月14日
提出日
2025年10月21日
保有割合
37.09%(潜在株含む)
保有株式数(合計)
27,200,000株
内訳①
第13回新株予約権:14,000,000株(行使価額355円)
内訳②
第14回新株予約権:10,000,000株(行使価額486円)
内訳③
第4回無担保転換社債型新株予約権付社債(CB):3,200,000株(転換価額646円)
取得方法
2025年10月14日付第三者割当
保有目的(記載ベース)
純投資

出典:大量保有報告書(2025年10月21日提出)

第2章

提出者・ハイツ・キャピタル・マネジメントとは

ハイツ・キャピタル・マネジメントは1996年設立の米国系投資会社で、登記上の所在地はデラウェア州ウィルミントンのOne Commerce Center, 1201 North Orange Street, Suite 715。

同社は転換社債・パイプ投資(PIPE)・ストラクチャードファイナンスをグローバルに専門とし、米NASDAQ市場でも中小型株への「ハイブリッド・キャピタル投資」を得意とする。具体的には、新株予約権(ワラント)とCBを組み合わせた資金供給モデルと、転換時の価格調整機構(リセット条項)によるリスクコントロールが同社の運用上の特徴として挙げられる。

日本では、テック系ベンチャーやブロックチェーン関連企業を中心に、流動性確保を目的とした「資本提携型ファイナンス」に関与してきた実績がある。

今回の取得は、ハイツがケイマン籍ファンドであるCVI Investments, Inc.との間で投資一任契約を締結し、同ファンドの運用資金を使って実施した形式をとっている。CVI Investmentsは、スイスのCredit Suisse傘下で活動していたConvertible Arbitrageファンドの流れを汲む機関投資家として知られており、ハイツが実質的な運用代行を担う構図となっている。

出典:大量保有報告書(2025年10月21日提出)記載の提出者情報

第3章

取得の構造

今回の資金供給額は総額約2億1,655万円で、全額がCVI Investmentsの運用資金(借入なし)によって拠出されている。取得はすべて2025年10月14日付の第三者割当によるものであり、市場での買い付けは含まれない。

クオンタムソリューションズは2023〜2024年にかけて資金繰りが悪化し営業赤字を継続しており、今回の第三者割当は経営再建とWeb3事業拡大のための資金確保を目的としたものとされる。発行済株式数4,613万8,593株に対して潜在株式2,720万株という規模は、既存株主の持分に対して相応の影響をもたらしうる水準にある。

取得した新株予約権・転換社債の主な契約条項として報告書には以下が記載されている。

証券種別 数量(株換算) 行使・転換価額 主な契約条項
第13回新株予約権 14,000,000株 355円 譲渡時に取締役会承認が必須
第14回新株予約権 10,000,000株 486円 譲渡時に取締役会承認が必須。発行者による特定取引が一定条件を満たす場合、CVI側がブラック・ショールズ価格での買戻しを要求できる条項付き
第4回CB(転換社債型新株予約権付社債) 3,200,000株 646円(転換価額) 特定事由発生時には発行者が残存分を時価で償還する義務

出典:大量保有報告書(2025年10月21日提出)添付の取引条件概要

これらの条項は投資家保護とリスクヘッジを目的とした契約上の防衛設計である一方、企業側にとっては資金調達後も経営の自由度が制限される可能性を内包している。ハイツ側は転換権行使やワラント行使によって流動的なポジションを管理できる設計となっており、市場リスクを契約構造でコントロールする形式が取られている。

第4章

論点の整理

今回の大量保有報告から浮かび上がる論点は、大きく3点に整理できると見るのが自然だ。

【論点1】ストラクチャード・ファイナンスの性格規定
報告書上の保有目的は「純投資」とされているが、ワラント・CB・ブラック・ショールズ条項という設計の実態は、金融工学的スキームによる資金供給とオプション収益確保を組み合わせた複合型の投資といえる。「純投資」の記載が実態を十分に表しているかどうかは、継続的な確認を要する論点となる。

【論点2】潜在株比率と経営支配の境界
発行済株式数に対して潜在株ベースで37.09%という比率は、全ワラントおよびCBが行使・転換された場合に既存株主の持分が大きく希薄化することを意味する。ワラント行使の集中によって経営主導権の所在が実質的に変化しうる点は、既存株主および市場参加者が注視すべき構造的なリスクとなる。

【論点3】ブロックチェーン関連企業の資本調達構造
日本では暗号資産関連企業への銀行融資が依然として難しく、海外ファンドによるハイブリッド型ファイナンスへの依存が続く構造にある。今回のケースは、ベンチャーキャピタルが撤退し銀行融資も得られない局面において「構造型資本」が最終的な資金源となる実例として、日本の新興企業の資本調達環境の一断面を示している。

論点 → 監視

この保有を、どう追うか

変更報告・追加取得の有無を継続して記録する。新株予約権およびCBの行使・転換の動向、ならびに保有目的に変化の兆候があれば、企業カルテに反映する。

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