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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE決算分析論評編集部公開 2025.11.04更新 2026.06.13

【決算分析】カブ&ピース(第2期・中間)

売上高は前期比+155%と急拡大したが、営業損失は依然として▲1,121百万円規模で推移しており、システム開発費・株引換券引当金を中心とした「成長投資型の赤字構造」が継続している段階にあると見るのが自然だ。

売上高(当期中間)
3,378百万円
前期比 +155%
営業損失(当期中間)
▲1,121百万円
前期▲1,977百万円から改善
総利用者数(7月末)
約97万人(延べ)
累計利用金額 約24.7億円
自己資本比率
27.1%
前期末30.8%から低下

出典:カブ&ピース株式会社 第2期中間決算資料(2025年2月〜7月)

第1章

3期推移:急拡大する売上と残る赤字構造

カブ&ピース(2024年2月設立)の第2期中間(2025年2月〜7月)は、売上高が前期通期(2024年2月〜2025年1月)の1,324百万円に対し、半期で3,378百万円を計上した。一方、営業損失・経常損失・純損失のいずれも赤字が継続しており、財務指標は「拡大と損失の並走」を示している。

指標 前期(2024/2〜2025/1) 当期中間(2025/2〜7) 増減
売上高 1,324百万円 3,378百万円 +155%
営業損失 ▲1,977百万円 ▲1,121百万円 改善
経常損失 ▲1,977百万円 ▲1,104百万円 改善
純損失 ▲1,805百万円 ▲1,036百万円 改善
総資産 3,886百万円 5,235百万円 +34.6%
自己資本比率 30.8% 27.1% 低下
現金同等物期末残高 1,199百万円 1,030百万円 ▲169百万円

出典:カブ&ピース株式会社 第2期中間決算資料

売上は急拡大したが、営業赤字は1,121百万円規模で残存している。サービス拡張に伴う外注費・システム開発費が利益を圧迫している構図は変わっていない。

第2章

セグメント:サービス別の売上と利用者構造

同社は「KABU&」ブランドのもと、電気・ガス・モバイル・ひかり・ウォーター・ふるさと納税・カード・プラスの各サービスを展開する。2024年11月に主要サービスをリリース、2025年4月に「KABU&カード」を開始した。7月末時点の総利用者は約97万人(延べ)、累計利用金額は約24.7億円に達した。

各サービスの利用者数・利用金額・売上高の内訳は以下のとおりである。

サービス 利用者数(千人) 利用金額(千円) 売上高(千円)
KABU&モバイル 82 1,414,547 1,163,864
KABU&ひかり 14 380,461 446,545
KABU&ふるさと納税 222 5,129,729 262,986
KABU&プラス 290 796,087 796,087
その他サービス合計 361 16,976,766 709,009
合計 969 24,693,590 3,378,491

出典:カブ&ピース株式会社 第2期中間決算資料

KABU&モバイル・ひかり・プラスの3分野で全体売上の約7割を占める。通信・光回線・地域還元など消費に直結する分野で成長が目立つ一方、インフラ系(でんき・ガス)は提携企業に依存し手数料収入が中心のため、粗利は限定的にとどまっている。各事業は提携会社への依存度が高く、自立的な収益力は現時点で限られている。

第3章

利益の質:赤字の性格と引当構造

当期中間の営業損失▲1,121百万円の主因は、システム開発費(約10億円)とキャンペーン費(株引換券引当金約6億円)の先行計上にある。つまり赤字の性質は「成長投資型」であり、短期的な黒字化よりも利用者拡大とエンゲージメント形成を優先する構造を採っている。

株引換スキームでは、利用額に応じて"株引換券"が発行され、ユーザーはこれをカブアンド種類株式へ交換できる。この引当金が損益を押し下げる一方で、後述のとおりキャッシュフロー上は負債増加として一部相殺される構図になっている。

第4章

キャッシュフローとの整合

当期中間のキャッシュフローは以下のとおりである。

営業CF
▲380百万円:税引前損失1,103百万円、売掛金増912百万円などで流出。株引換券負債増加(+752百万円)が一部を相殺。
投資CF
▲1,185百万円:主にソフトウェア開発費(約11.8億円)の資本化。
財務CF
+1,396百万円:株式発行収入1,253百万円、借入1,400百万円による資金補填。

出典:カブ&ピース株式会社 第2期中間決算資料

事業拡大とともにシステム投資・外注費を前倒しする一方、代表者融資・第三者割当増資で資金を確保している構図が読み取れる。現金同等物期末残高は1,030百万円と前期末比▲169百万円となっており、財務CFによる資金手当てで営業・投資CFの流出を補う状態が続いている。

第5章

財務と資本構成:オーナー支配と種類株の構造

2025年7月末時点の発行済株式数は約34.2億株(普通株30億株、カブアンド種類株4.19億株)。普通株の議決権は代表者およびその関係会社で100%保有されており、内訳は代表者個人が61.4%、前澤ファンドが17.6%、グーニーズが8.8%で、実質支配率は約87.8%に達する。上場準備期としては典型的なオーナー企業体制といえる。

また、社員向けにストックオプション1.5億株超を発行している(行使価額3円、2040年満期)。上場承認を条件に行使可能とされており、報酬インセンティブとして設計されている。

出典:カブ&ピース株式会社 第2期中間決算資料

第6章

論点の整理

以下の3点が、同社の今後を見るうえで注視すべき構造的論点となる。

【論点1】株引換券の負債化リスク
株引換券は利用者への株式交換義務として計上される。累計利用金額が拡大するほど引当規模が膨らむ構造であり、将来の種類株式交換に伴う希薄化圧力と損益インパクトの両面を継続して確認する必要がある。

【論点2】ソフトウェア資産の減損リスク
投資CFの大半を占めるソフトウェア開発費は資本化されており、当期中間だけで約11.8億円が計上されている。事業縮小や戦略転換が生じた場合の減損リスクが潜在しており、資産の質の観点から注意が必要だ。

【論点3】ガバナンス構造の透明性
議決権ベースでのオーナー完全支配構造は、意思決定の迅速性をもたらす一方で、外部株主との対話性・透明性の確保が今後のフェーズで問われることになる。特に上場を視野に入れるならば、議決権の分散化や独立社外取締役の機能強化が不可欠な論点となると見るのが自然だ。

論点 → 質問状

この決算を、どう追うか

株引換券引当金の残高推移、ソフトウェア資産の減損テストの開示、種類株式の交換動向、および財務CFへの依存度の変化を継続して記録する。ガバナンス体制の変化があれば、企業カルテに反映する。

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