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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE決算分析論評編集部公開 2025.12.25更新 2026.06.13

HEROZ(4382)半期決算検証

HEROZの2025年10月期中間決算は、売上高・営業利益ともに前年同期を大きく上回り、コスト構造の改善が数字に表れた局面と言える。ただし、最終損益がなお赤字にとどまる点、のれん残高の重さ、非支配株主持分が純資産増加の主因となっている構造は、引き続き注視が必要と見るのが自然だ。

売上高(中間)
30.9億円
前年同期比 +9.6%
営業利益(中間)
2.59億円
前年同期比 +191.2%
中間純損益
▲0.14億円
前年同期 ▲1.18億円
自己資本比率
56.9%
中間期末

出典:HEROZ株式会社 2025年10月期第2四半期決算短信(連結)

第1章

3期推移と当期の位置づけ

2025年10月期中間(連結)の主要損益は以下の通りだ。営業利益は前年同期比で約3倍に拡大し、経常利益も2.13億円と前年同期比331.6%の伸びを示した。一方で親会社株主に帰属する中間純損失は▲0.14億円と、黒字転換には至っていない。営業段階での改善と、最終段階での赤字継続という二層構造が当期の特徴である。

指標 2025年10月期中間 前年同期比
売上高 30.9億円 +9.6%
営業利益 2.59億円 +191.2%
経常利益 2.13億円 +331.6%
中間純損益(親会社株主帰属) ▲0.14億円 改善(前年同期▲1.18億円)
自己資本比率 56.9%

出典:HEROZ株式会社 2025年10月期第2四半期決算短信(連結)

第2章

セグメント別の構造

HEROZの事業はAIX事業AI Security事業の2セグメントで構成されている。成長のエンジンとなっているのはAIX事業であり、AI Security事業は安定的ながらも相対的に成長率が低い。

セグメント 売上高 前年同期比 セグメント利益
AIX事業 16.8億円 +14.0% 3.06億円
AI Security事業 14.1億円 +4.8% 4.94億円

出典:HEROZ株式会社 2025年10月期第2四半期決算短信(連結)

AIX事業は生成AI・AIエージェント関連の需要増を背景に、BtoB領域が10.4億円まで拡大した。実証実験フェーズから本格導入フェーズへ移行する企業の増加が、数字に反映されている。AI Security事業はセキュリティBPOやマネージドサービスを中心に安定成長を維持しているが、成長率という観点ではAIX事業との差が広がっている。成長エンジンがAIX側にシフトしていることは、収益構造の変化として押さえておくべき点だ。

第3章

利益の質:コスト構造とEBITDA

営業利益の急伸は、売上増だけでなくコストコントロールの効きによるものでもある。売上総利益は13.7億円まで拡大し、販管費はほぼ横ばいに抑えられた。広告宣伝費の選別や効率的な人員配置が寄与した格好だ。EBITDAは前年同期比で約7割増となっている。

ただし、最終損益がなお赤字にとどまる点には注意が必要だ。営業利益・経常利益の段階では黒字を確保しているにもかかわらず、親会社株主に帰属する純損益はマイナスとなっている。この乖離の要因については、以降の章で確認する。

指標 当期中間 備考
売上総利益 13.7億円
EBITDA 前年同期比 約+70%

出典:HEROZ株式会社 2025年10月期第2四半期決算短信・決算説明資料

第4章

キャッシュフローとの整合

損益計算書上の改善がどこまで現金の裏付けを持つかを確認する。

区分 金額
営業キャッシュフロー +0.93億円
投資キャッシュフロー ▲1.53億円
財務キャッシュフロー ▲2.41億円
現金残高(中間期末) 28.4億円(前期末比▲3.0億円)

出典:HEROZ株式会社 2025年10月期第2四半期決算短信(連結)

営業活動では現金を生み出しているものの、研究開発投資・無形資産投資、そして借入返済によって現金残高は前期末比3.0億円減少した。成長投資を継続する企業としては自然な姿とも言えるが、営業キャッシュフローの水準が投資規模に見合っているかは、通期の数字を待って改めて検証する必要がある。利益の質が問われるフェーズに差し掛かっていると見るのが自然だ。

第5章

運転資本と資産の質:のれん問題

バランスシートで最も慎重に見るべき項目がのれん残高だ。中間期末時点でのれんは約18.4億円計上されている。総資産約80.7億円に対する比率として、軽視できない水準にある。

項目 金額
総資産 約80.7億円
のれん残高 約18.4億円

出典:HEROZ株式会社 2025年10月期第2四半期決算短信(連結)

のれんは将来収益の見込みを資産として計上したものだが、事業環境が想定を下回った場合には減損として損益に影響する。AI市場の成長が鈍化した局面、あるいは競争が激化した局面において、こののれんが「評価資産」から「リスク要因」に転じる可能性は常に存在する。M&Aの蓄積に由来するこの数字をいかに正当化できるか、持続的な営業キャッシュフローの拡大が試金石となると見るのが自然だ。

第6章

財務と株主構造

純資産は増加しているが、その主因は非支配株主持分の増加(約1.35億円)であり、親会社株主に帰属する利益剰余金の積み上がりは限定的だ。この構造は以下のように整理できる。

事業の状況
成長している
利益の状況
営業・経常段階では黒字化
株主への帰属
果実は必ずしも親会社株主に集中していない
自己資本比率
56.9%(中間期末)

出典:HEROZ株式会社 2025年10月期第2四半期決算短信(連結)

非支配株主持分が厚い構造の中で、親会社株主への価値還元をどう設計するかは、今後の経営課題として継続して注視すべき論点だ。

第7章

論点の整理

今回の半期決算は、HEROZがAI成長物語の入口段階を通過したことを示している。コスト改善と売上拡大が重なり、営業利益は大きく改善した。しかしM&Aの蓄積に由来するのれん、最終損益の赤字継続、非支配株主持分の問題という構造的な課題は依然として残っている。論点は次の3点に集約される。

論点①
AIX事業の成長が、一過性の案件収益ではなくストック型収益にどこまで転化できるか
論点②
のれんを正当化できるだけの持続的な営業キャッシュフローを生み出せるか
論点③
非支配株主持分が厚い構造の中で、親会社株主への価値帰属をどう高めるのか

出典:HEROZ株式会社 2025年10月期第2四半期決算短信および決算説明資料をもとに論評編集部が整理

通期での最終黒字化、営業キャッシュフローの拡大、そしてのれんを巡る説明責任——これらが揃ったとき、HEROZの事業構造評価は次のフェーズへ進む。本決算は楽観でも悲観でもなく、検証フェーズに入った決算と位置づけるのが自然だ。

論点 → 質問状

この決算を、どう追うか

通期の最終損益の着地、のれん残高の動向(減損の有無)、営業キャッシュフローの拡大ペース、および非支配株主持分の変化を継続して記録する。AIX事業においてストック型収益の比率が高まっているかについても、次期決算で確認する。

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