gumi(3903)半期決算検証

暗号資産で稼ぎ、ゲームで失う

決算サマリー

gumiの2025年4月期・中間決算は、売上減・利益増という極めて歪な構図を示した。

売上高は前年同期比29.9%減の38.5億円まで落ち込んだ一方、経常利益は15.0億円、親会社株主に帰属する中間純利益は13.5億円と、利益水準はむしろ大きく改善している。

しかし、この利益改善は本業の回復によるものではない

営業段階では赤字に転落しており、最終利益は暗号資産評価益・売却益といった市況依存型収益によって押し上げられている。

この決算は、gumiが「ゲーム会社」から「暗号資産を抱える投資・運用色の強い企業」へと明確に軸足を移しつつあることを、数字で裏付けた内容だ。

財務分析

まず財務全体を俯瞰すると、損益と財政状態の方向性は必ずしも一致していない。

  • 売上高:38.5億円(前年同期比▲29.9%)

  • 営業損失:▲1.6億円

  • 経常利益:15.0億円

  • 中間純利益:13.5億円

  • 自己資本比率:64.6%

B/Sでは総資産が288億円まで膨張しており、その主因は暗号資産残高の急増(約76億円→約122億円)だ。

一方で現金及び預金は約61億円から約46億円へと減少している。

つまり、流動性は暗号資産に置き換えられ、現金は減っている

価格変動リスクを伴う資産構成へと、明確にシフトしている点は看過できない。

利益の内訳

gumiの利益構造を理解するうえで最も重要なのが、この章だ。

営業損益は赤字であるにもかかわらず、経常利益が15.0億円まで膨らんだ理由は明確で、

  • 暗号資産評価益:約16.8億円

  • 暗号資産売却益:約1.1億円

といった営業外収益が利益の大半を占めている

言い換えれば、暗号資産市場が好調でなければ、この決算は成立していない

本業で安定的に利益を積み上げた結果ではなく、評価益という“非連続的な利益”に依存している点は、再現性の観点から大きな不安材料となる。

事業セグメントの収益構造

モバイルオンラインゲーム事業

  • 売上高:26.9億円(前年同期比▲36.7%)

  • 営業損失:▲4.17億円

不採算タイトルの撤退、運営移管、子会社エイリムの株式譲渡など、構造改革の影響が直撃している。

広告宣伝費も増加しており、本業であるゲーム事業は完全に赤字体質だ。

ブロックチェーン等事業

  • 売上高:11.6億円(前年同期比▲6.8%)

  • 営業利益:2.54億円

一方で利益を生んでいるのがこのセグメントだ。

ただし、収益の源泉はゲーム型ブロックチェーン事業そのものというより、暗号資産の受領・評価・売却に依存している。

事業構造としては、「事業で稼ぐ」より「保有資産で稼ぐ」比重が高まっていると評価せざるを得ない。

キャッシュフローの流れ

キャッシュフローは、gumiの経営判断をより赤裸々に示している。

  • 営業CF:▲12.2億円

  • 投資CF:▲30.5億円

  • 財務CF:+28.9億円

  • 現金残高:▲14.6億円減少

営業活動では現金を失い、投資活動では暗号資産取得(約14.1億円)や無形資産投資が膨らんでいる。

この資金不足を補っているのが、短期借入金の大幅増(約35億円)と新株予約権の行使だ。

利益は出ているが、現金は減り、借入と希薄化で資金をつないでいる

この構造は、長期的には安定的とは言い難い。

株主目線での検証ポイント

株主の立場から見ると、検証すべき論点は明確だ。

  1. 暗号資産評価益が剥落した場合、本業だけで黒字を維持できるのか

  2. 短期借入金に依存した資金繰りは、どこまで許容されるのか

  3. 新株予約権行使による希薄化リスクをどう説明するのか

大株主にはSBIホールディングス(約33%)が名を連ねており、資本基盤は一定の安定感がある。

しかし、今後も暗号資産投資と事業投資を続けるなら、追加の資金調達=株主負担が避けられない局面も想定される。

論評

今回のgumiの中間決算は、「復活」でも「回復」でもない。
それは、事業モデルが明確に変質したことを示す決算だ。

ゲーム事業はもはや収益の柱ではなく、暗号資産市況が企業価値を左右する構造に近づいている。

このモデルが成功すれば高い収益性を誇る一方、市況が反転すれば一気に脆弱性が露呈する。

論評社としては、この決算を再生ではなく「転換点」と位置づけたい。

次に市場が問うのは、「暗号資産が好調でなくても、この会社は立っていられるのか」その一点である。

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