インタートレード(3747)決算検証

「黒字維持」の裏で進む静かな縮小

Web3投資は再成長の核となるか

インタートレードの2025年9月期決算は、一見すると「堅調」に映る。

売上高は1,836百万円と前期比微減にとどまり、営業赤字はわずか8百万円。財務体質も自己資本比率72.6%と高水準を維持している。

しかし、数字を一枚ずつ剥がしていくと、この決算は成長ではなく「守り」と「選択と集中」の色合いが濃い。

本稿では、①業績の実態、②キャッシュフローと投資構造、③Web3投資の評価リスク、④株主・投資家が見るべき論点を整理する。

「横ばい決算」の中身

2025年9月期(連結)の主要数値は以下の通りだ。

  • 売上高:1,836百万円(前期比▲0.7%)

  • 営業損失:▲8百万円(前期は営業利益80百万円)

  • 親会社株主に帰属する当期純損失:▲145百万円

  • 自己資本比率:72.6%

  • 期末現金及び現金同等物:711百万円(前期比▲313百万円)

最大の特徴は、営業段階ではほぼトントンでありながら、最終損益が大きく赤字化している点だ。

その主因は、営業外で計上された持分法による投資損失203百万円にある。

セグメント構造

事業別に見ると、コントラストははっきりしている。

金融ソリューション事業

  • 売上高:1,473百万円(前期比+2.0%)

  • セグメント利益:393百万円(前期比▲5.6%)

証券ディーリングシステムや取引所対応案件が下支えし、売上は微増。

ただし、高粗利のライセンス収入が減少し、ハードウェア比率が上昇したことで、利益率は低下している。

ビジネスソリューション事業

  • 売上高:258百万円(前期比▲13.5%)

  • セグメント損失:▲30百万円

経営管理システムの追加開発案件が減少し、人件費負担が利益を直撃
「安定収益源」とされてきた事業が、固定費構造の重さを露呈した格好だ。

ヘルスケア事業

  • 売上高:104百万円(前期比▲0.6%)

  • セグメント損失:▲51百万円(前期と同水準)

機能性表示食品の届出取得という成果はあったものの、収益化には依然時間がかかる
赤字体質からの脱却は見えていない。


最大の論点

Web3投資が損益を飲み込む構造

この決算で最も注目すべきは、持分法適用会社(デジタルアセットマーケッツ、AndGo)に関する投資構造だ。

  • 持分法による投資損失:203百万円

  • 一方で、持分変動利益:63百万円

  • 差し引き、最終損益を大きく押し下げる結果に

特にデジタルアセットマーケッツについては、投資有価証券261百万円のうち**約214百万円が「のれん相当額」**とされている。

監査報告書でも、こののれん評価が「監査上の主要な検討事項」として明示されている点は重い。

現時点では減損不要とされているが、

  • 事業は依然として大幅赤字

  • 売上規模も縮小傾向

  • 2025年11月には13億円の大型増資を実施

という状況を踏まえると「減損は時間の問題ではないか」という疑念を完全に払拭することはできない。

キャッシュフローが示す経営判断

キャッシュフローを見ると、会社の姿勢はさらに明確になる。

  • 営業CF:▲12百万円

  • 投資CF:▲252百万円(投資有価証券取得が中心)

  • 財務CF:▲47百万円

  • 現金残高:1,024百万円 → 711百万円

つまり、
本業は現金をほぼ生まず、投資で現金を削っている状態だ。

借入依存は抑えられており財務は健全だが、この構造が続けば「守りの財務」と「攻めの投資」のバランスは崩れやすい。


投資家目線の論点

この会社はどこへ向かうのか

インタートレードは、

  • 既存の金融システム事業では安定収益を維持

  • しかし成長率は低い

  • 成長ドライバーとしてWeb3領域に賭けている

という構図にある。

問題は、そのWeb3投資が「将来の利益」ではなく「現在の損失」として先に顕在化している点だ。

もしこの投資が実を結ばなければ、

  • のれん減損

  • 純資産の毀損

  • 投資家の評価低下

という連鎖は避けられない。


論評

安定企業から「賭ける企業」へ

2025年9月期のインタートレード決算は、安定企業が、次の成長を求めてリスクを取り始めた転換点と位置付けられる。

本業は崩れていない。

だが、成長もしていない。

そのギャップを埋めるためのWeb3投資が、果たして「次の柱」になるのか、それとも「将来の減損要因」になるのか。

来期以降、この一点が同社の企業価値を左右する。

Web3関連投資の収益化進捗と、のれん評価の変化を最大の監視ポイントとして、引き続き注視したい。

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