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論評RONPYOIndependent Research
OPEN FILE大量保有報告論評編集部公開 2026.06.03更新 2026.06.13

Long Corridorが借株でReYuu株14%超保有、複合貸借構造を解剖

取得資金ゼロで発行済株式の14.07%を即日確保する借株一括型スキームの典型例として位置づけられる。保有目的に「純投資」を掲げつつも、SEACASTLEが貸株元と新株予約権割当先を兼ねる二経路構造、バリューアップ・ファンドとの先行貸借契約との交差を踏まえると、単純なパッシブ投資の枠組みに収まらない複合的な資本参加として読み解くのが自然だ。

保有株券等総数
1,000,000株
全量借株・取得資金0円
株券等保有割合
14.07%
初報(直前割合なし)
報告種別
新規報告
金商法第27条の23第1項
保有目的
純投資
記載ベース/重要提案行為等:該当なし

出典:大量保有報告書(提出日2026年5月28日、EDINET)

第1章

サマリー

発行体
ReYuu Japan株式会社(証券コード:9425、東証スタンダード・情報通信業)
提出者
Long Corridor Asset Management Limited(香港法人、設立2018年2月28日)
報告義務発生日
2026年5月26日
提出日
2026年5月28日
根拠条文
金融商品取引法第27条の23第1項
発行済株式総数
7,106,900株(2026年5月26日現在)
保有株数
1,000,000株(全量が法第27条の23第3項第3号・投資一任)
保有割合
14.07%(直前報告書:該当なし、初報)
取得方法・資金
2026年5月25日、市場外、借株一括取得。取得資金合計0円
保有目的
純投資(提出者は投資一任契約に基づき投資権限を有する)——記載ベース
重要提案行為等
該当なし
投資一任ファンド内訳
LCAO(Long Corridor Alpha Opportunities Master Fund)740,000株、M246(MAP246 Segregated Portfolio)80,000株、BEMAP(BEMAP Master Fund Ltd.)180,000株
借株元(第1層)
SEACASTLE SINGAPORE PTE. LTD.(契約締結日:2026年5月19日)
担保契約等(第2層)
バリューアップ・ファンド投資事業有限責任組合(契約日:2024年10月31日、貸借期間:2025年4月15日〜2027年4月30日)LCAO 85万株・M246 15万株
連絡先
Long Corridor Global Asset Management(東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング9階)

出典:大量保有報告書(EDINET、提出日2026年5月28日)

第2章

提出者:Long Corridor Asset Management Limitedとは

Long Corridor Asset Management(LCAM)は2018年2月28日に香港のセントラル(Three Exchange Square)に設立された投資運用会社だ。実質的な運用の歴史はさらに長く、創業メンバーが2013年にNine Masts Capital内に設定した「Alpha Opportunities Fund」に遡り、2019年のスピンアウトを経て独立法人化した経緯を持つ。

国内拠点は東京・丸の内ビルディング内に「Long Corridor Global Asset Management」として設置されており、金融庁への登録を通じて日本株への制度的アクセスを確保している。資金は主にLCAO(ケイマン籍)・M246(Lighthouse系)・BEMAP(Blackstone傘下)という複数のファンド顧客資金で構成される。

日本における過去の主要な大量保有開示には、エス・サイエンス(5721)、Def consulting(4833・約19.94%取得)、グランディーズ、オンコセラピー・サイエンス(医薬品・11.51%保有)等が確認されている。スタンダード市場の小型・マイクロキャップへの継続的関与と、複雑な新株予約権・借株スキームの活用が投資スタイルの特徴として挙げられる。いずれの案件においても保有目的欄に「純投資」を記載しており、文言と実際の行動パターンの整合性については継続的な観察が求められる。

出典:大量保有報告書(EDINET)および過去の各大量保有報告書記載情報

第3章

取得の構造

本件最大の特徴は、発行済株式の14.07%に相当する100万株のポジションを、現金支払いを一切行わずに「借株」によって2026年5月25日の1日で形成した点にある。取得は市場外取引であり、取得資金欄はブランクで「取得資金合計0円」という異例の様式となっている。借株(株式貸借取引)による保有は法第27条の23の「保有」に含まれ、Long Corridorは議決権行使が可能な大量保有者として報告義務を負う。ただし返却義務が存在し、議決権の行使パターンや転売の動機が通常の株式取得とは構造的に異なる点に留意が必要だ。

年月日 種類 数量(株) 割合 市場区分 取得区分 単価
2026年5月25日 株式(普通株式) 1,000,000 14.07% 市場外 取得(借株) ─(借株のため単価なし)

出典:大量保有報告書(EDINET、提出日2026年5月28日)直近60日間の取得・処分状況

借株の構造は二層に分かれている。第1層は2026年5月19日にSEACASTLE SINGAPORE PTE. LTD.と締結した契約に基づき、LCAOが74万株・M246が8万株・BEMAPが18万株を借り受け、Long Corridorが投資一任権限に基づき報告者として一体で開示したものだ。第2層は2024年10月31日にバリューアップ・ファンド投資事業有限責任組合と締結した先行契約であり、LCAOが85万株・M246が15万株を2025年4月15日から2027年4月30日の貸借期間で借り受けている。第1層とは別立ての契約であり、Long Corridorのファンドは合計2つの異なる貸株元からReYuu株への経済的エクスポージャーを持つ構造となっている。

さらに、今回の借株の貸株元であるSEACASTLEは、2025年7月のReYuu Japan第2回新株予約権(47,070個)の主要割当先でもある。一社が貸株元と資本提供者の二つの役割を同時に担う構造は、既存株主の観点から複合的な論点をはらんでいる。また、Long Corridorによる借株取得(5月25日)の直前である2026年5月20〜21日に、ReYuu Japanは転換価額修正条項付新株予約権付社債(MSワラント型CB)の発行を開示・訂正しており、複合的な資本調達局面での参入であることが確認される。

出典:大量保有報告書(EDINET)、ReYuu Japan各種開示資料

第4章

論点の整理

本報告書から導かれる主要な論点は以下の3点に整理される。

論点 内容 着眼点
① 借株による「純投資」宣言の整合性 保有目的は「純投資」・重要提案行為等「該当なし」と記載されているが、Long Corridorは過去の投資先(Def consulting・オンコセラピー・サイエンス等)においても一貫して同文言を使用している。借株一括・即日14%超形成という手法と「純投資」宣言の整合性は継続的な検証が必要だ。 変更報告書における保有目的の変化・重要提案行為等への変更の有無
② SEACASTLEの二役構造 SEACASTLEは今回の借株の貸株元(100万株、2026年5月19日契約)であると同時に、2025年7月の第2回新株予約権(47,070個)の主要割当先でもある。貸株・新株予約権という二経路で発行体に関与する一社の存在は、資本構造上の影響力集中という観点から注視が必要だ。 新株予約権の行使状況、SEACASTLEの保有動向、発行体との取引関係の開示
③ バリューアップ・ファンドとの先行関係の意味 2024年10月31日締結・2027年4月30日までの2年間の貸借契約は、Long Corridorがすでに数年来ReYuu株へのエクスポージャーを構築していたことを示す。今回のSEACASTLEからの第1層借株との関係(重複・並立・代替のいずれか)は報告書の記載のみでは判然とせず、構造の全容把握には追加開示が必要だ。 バリューアップ・ファンドの実態・第2層100万株と今回保有100万株の経済的関係

出典:大量保有報告書(EDINET、提出日2026年5月28日)および関連開示資料をもとに論評編集部が整理

バリューアップ・ファンドとの2024年10月締結の先行貸借契約・SEACASTLEからの2026年5月の新規借株・同社への新株予約権割当という三本の糸が交差する構図は、ReYuu Japanの資本構造に複数の経路からアクセスを確立したクロスボーダー型の資本参加として読み解くのが自然だ。

論点 → 監視

この保有を、どう追うか

変更報告・追加取得の有無を継続して記録する。保有目的に動きがあれば、企業カルテに反映する。SEACASTLEの新株予約権行使状況およびバリューアップ・ファンドとの第2層契約の動向も併せて追跡する。

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