
株価の過小評価を軸に長期保有の姿勢を鮮明化
サマリー
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ダルトン・インベストメンツがセンコーグループHD株を10,709,100株(約1070万株)まで買い増し
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保有比率は5.01% → 6.10%へ上昇(+1.09pt)
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大量保有目的は「株価の過小評価を是正するための長期投資」
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市場内での連続取得(10月〜11月に計60万株近く取得)、明確に株価下支えの買い行動
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コーポレートガバナンス改善・独立取締役選任・自社株買い等の重要提案行為の可能性を明記
米国ダルトン・インベストメンツの日本企業投資
提出者は米ネバダ州の投資顧問会社 ダルトン・インベストメンツ(Dalton Investments, Inc.)。
代表はジェームズ・ローゼンワルド三世。日本企業へのディープバリュー投資に定評があり、ガバナンス改善・資本政策是正を伴うアクティビスト型の長期投資を行うことで知られる。
今回の提出書類でも “株価が過小評価されている” と明示しており、典型的なバリュー投資としてセンコーGHDに対し買い増しを進めている。
センコーGHD株を1070万株超へ
保有比率は6.10%に到達
ダルトンの保有状況は以下の通り
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保有株式:10,709,100株
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発行済株式:175,692,457株
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保有比率:6.10%
直前の報告書では保有比率が 5.01%。
この1%超の増加は、大量保有報告書の提出基準(1%以上変動)を満たす規模であり、明確な意図を伴う買い増しであると言える。
市場内で60万株近くを積み上げる“静かな圧力”
今回特徴的なのは、すべて市場内取引で淡々と買い進めている点である。
以下は10月〜11月に行われた主な買い付け
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10/1:42,000株
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10/2:87,300株
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10/3:21,800株
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10/14:62,500株
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10/29:160,900株
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11/4:52,400株
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11/17:219,600株
これらの合計は60万株近く。
特に10/29・11/17の20万株級の取得は、明確に株価形成へ影響し得る規模である。
これは典型的な
「株価が割安だと判断したバリュー投資家が、機関投資家らしく静かに買い増す」
という行動様式だ。
保有目的に“株価の過小評価”を明記
長期保有とガバナンス改善をセットで示唆
提出書類には、保有目的として以下が記されている。
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株価が過小評価されているため長期保有する
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財務・戦略・取締役会の意思決定を注視し追加取得する可能性
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株主価値向上のために建設的な対話を求める
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透明性・独立性の高い取締役構成を求める可能性
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増配・自社株買いなど資本政策の改善提案の可能性
つまり、ダルトンは
“割安株を長期で保有しつつ、必要に応じて経営と対話し改善を求める”
というスタンスを明確にしている。
日本企業のガバナンス改革に積極的な海外ファンドらしい立ち位置だ。
取得資金は173億円超
すべて顧客資金を原資に
取得資金として記載されているのは
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その他(顧客資金):17,364,490千円(約173億円)
借入ゼロ。
投資顧問業らしく、運用顧客の資金を原資に買い増しを行っている。
これはファンド運用として一般的だが、173億円規模の資金がセンコー株式に追加投下されているという事実は、海外バリュー投資家がセンコーGHDの割安性に強い確信を持っていることを示す。
“静かに買い増す海外バリュー投資家”の存在
今回のダルトンによる買い増しは、一見すると地味だが構造的には重要なシグナルを含む。
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全て市場内で淡々と買い増し
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株価の過小評価を明確に指摘
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長期保有を前提にしつつ、ガバナンス改善も辞さない姿勢
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実際に保有比率は6%超えの“主要株主ライン”へ突入
これは、“日本企業の株価が世界基準では割安だ”という海外投資家の見立てと、“必要なら経営に改善を求めていく”という現代アクティビズムの典型例だ。
センコーGHDにおいても、資本政策・取締役会構成・株主還元などに対する提案が今後表面化する可能性は十分にある。

