グロースパートナーズがクロスフォー株28.59%を保有

新株予約権と転換社債で組まれた「実質支配型・業務資本提携」の正体

2026年1月9日、関東財務局に提出された大量保有報告書により、グロースパートナーズ株式会社および同社代表の古川徳厚氏が、株式会社クロスフォーの株式等を合計28.59%保有していることが明らかになった。

本件の最大の特徴は、保有目的が明確に「発行者との業務資本提携を目的とした保有」と記載されている点にある。

これは単なる財務投資でも、アクティビズムでもない。

資本政策そのものに深く入り込む「事実上の経営関与型スキーム」と評価すべき案件だ。

28.59%という「支配に限りなく近い数字」

28.59%という保有比率は、形式上は過半数に届かない。

しかし実務的には、

  • 株主総会での議決に大きな影響力を持つ

  • 他の株主の意思決定を事実上左右できる

  • 経営陣にとって無視不可能な存在

という、「実質支配」に極めて近い水準である。

しかもこの比率は、普通株の市場買付によるものではない。

新株予約権と転換社債型新株予約権付社債という、将来の希薄化を前提にした金融手段を通じて構築されている点が重要だ。

大量保有報告書の事実整理

提出書類から読み取れる主な内容は以下の通りである。

  • 報告義務発生日:2026年1月5日

  • 提出日:2026年1月9日

  • 提出者:グロースパートナーズ株式会社、古川徳厚

  • 発行体:株式会社クロスフォー

  • 発行済株式総数:17,845,000株

  • 保有株式等総数:7,142,800株相当

  • 保有割合:28.59%

  • 保有目的:発行者との業務資本提携を目的とした保有

保有内訳の中心は以下の2点で構成されている。

  • 第6回新株予約権:2,142,800株相当

  • 第1回無担保転換社債型新株予約権付社債:5,000,000株相当

いずれも第三者割当による市場外取得であり、クロスフォーの資本政策と一体化したスキームであることが分かる

グロースパートナーズとは

グロースパートナーズは、2022年設立の投資・経営支援会社で、「投資+経営コンサルティング+業務提携」を一体で行う点を特徴としている。

同社の事業内容を見ると、

  • 金融業

  • 企業戦略の立案支援

  • 経営コンサルティング

  • 投資および投資関連コンサル

と、単なるファンドとは異なる性格が明確だ。

今回のスキームでも、提出者らが組合員となる Growth Partners LLP が無限責任組合員を務めるGP上場企業出資投資事業有限責任組合(GPファンド) を通じて、資本・経営の両面から関与する構造が取られている。

クロスフォーという企業の「選ばれやすさ」

クロスフォーは、ジュエリー関連事業を中心とする企業で、一定のブランド力と技術を持つ一方、

  • 事業規模が比較的小さい

  • 成長戦略の再構築が課題

  • 外部資本との連携余地が大きい

という特徴を持つ。

このような企業は、「業務提携型の資本参加」を行う投資家にとって、極めて入りやすい器となる。

なぜ新株予約権と転換社債なのか

今回のスキームで注目すべきは、普通株ではなく潜在株式を主軸にしている点だ。

これにより、

  • 初期のキャッシュアウトを抑え

  • 経営改善の進捗を見ながら段階的に支配力を高め

  • 同時に希薄化リスクを既存株主に転嫁できる

という、投資家側に極めて有利な構造が成立する。

さらに本引受契約には、

  • 第三者への株式発行・処分時の優先引受権(事前通知・引受確認)

  • 譲渡制限(取締役会承認要件)

が盛り込まれており、クロスフォーの将来の資本政策に対して、実質的な拒否権を持つ構造となっている。

「業務資本提携」という言葉の重み

形式上、重要提案行為は「該当事項なし」とされている。

しかし、

  • 28.59%という高い保有比率

  • 潜在株式を通じた支配力

  • 資本政策に関する優先的関与条項

これらを総合すれば、本件を単なる「提携」と軽視することはできない。

実態は、「業務提携」という名を借りた、資本主導型の経営関与と見るのが現実的だ。

論評

本件は、クロスフォー一社の問題にとどまらない。

スタンダード市場においても、

  • 新株予約権

  • 転換社債

  • 優先的引受権

を組み合わせることで、過半数を取らずに実質支配を確立するスキームが成立することを示している。

グロースパートナーズの 28.59% は、単なる持株比率ではない。

それは、日本市場における「支配の設計可能性」を如実に示す数字である。

クロスフォーの経営が、この資本関係を成長のテコにできるのか、それとも主導権を失う入口となるのか。

この案件は、業務資本提携の名の下で進む実質支配の是非を問いかけている。

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