ブラックロック・ジャパンによる楽天グループ株の大量保有報告書

ブラックロック・ジャパンによる楽天グループ株の大量保有報告書(2025年3月)

1. 概要

ブラックロック・ジャパン株式会社(代表取締役社長:有田浩之)は、楽天グループ株式会社(証券コード:4755)の株式について大量保有報告書を提出した。
報告義務発生日は2025年3月14日、提出日は2025年3月19日である。

本報告書では、ブラックロック・ジャパンおよび関連する共同保有者が楽天グループの株式を合計5.05%保有していることが明らかになった。

2. 提出者の概要

ブラックロック・ジャパン株式会社

  • 所在地: 東京都千代田区丸の内一丁目8番3号
  • 設立: 1988年3月11日
  • 事業内容: 第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資運用業、投資助言・代理業、宅地建物取引業
  • 代表者: 有田浩之(代表取締役社長)
  • 保有目的: 純投資(投資一任契約による顧客の資産運用および投資信託約款に基づく資産運用)

共同保有者

共同保有者 保有株数(株) 保有比率(%)
ブラックロック・ジャパン株式会社 28,899,600 1.34
ブラックロック・アドバイザーズ・エルエルシー 3,412,894 0.16
ブラックロック・フィナンシャル・マネジメント・インク 3,646,300 0.17
ブラックロック(ネザーランド)BV 3,954,343 0.18
ブラックロック・ファンド・マネジャーズ・リミテッド 6,217,554 0.29
ブラックロック・アセット・マネジメント・アイルランド・リミテッド 12,975,101 0.60
ブラックロック・ファンド・アドバイザーズ 29,313,600 1.36
ブラックロック・インスティテューショナル・トラスト・カンパニー 20,343,401 0.94
合計 108,762,793 5.05

3. ブラックロックはなぜ楽天グループを選んだのか?

ブラックロックの楽天グループ株の大量保有には、単なるポートフォリオ分散以上の意図があると考えられる。
特に、楽天のフィンテック・モバイル事業の成長性、日本市場への積極投資、そしてグローバルな資産運用戦略の一環としての動きが背景にあると推測される。

(1) フィンテック・モバイル事業の成長性

楽天グループは近年、フィンテック事業(楽天銀行、楽天証券、楽天ペイ)を急速に拡大させ、特に楽天証券は個人投資家層からの支持を集め業界の競争構造を塗り替えている。

また、楽天モバイルは5G普及に伴い、収益性改善の兆候を見せており、長期的な利益創出の可能性が高まっている。

ブラックロックはこれらの事業が今後さらに成長することを見込んでいる。

(2) 日本市場への積極的な投資

ブラックロックは近年、日本市場への戦略的投資を強化しており、特にフィンテックやデジタル経済への投資比率を高めている。

楽天グループは日本のデジタル決済市場の主要企業として存在感を示しており、日本政府のデジタル政策推進も追い風となっている。

ブラックロックは、楽天を通じて日本の成長市場への投資機会を拡大したい考えとみられる。

(3) グローバルな資産運用戦略の一環

楽天グループは日本国内のみならず東南アジア市場への進出を積極的に進めており、グローバルな視点でも投資価値が高い企業である。

また、楽天の事業多角化(Eコマース、フィンテック、物流、モバイル)は、市場リスクを分散し、安定した投資成果を生む可能性があるため、ブラックロックの投資戦略に合致している。

4. 投資家目線でのメリット・デメリット

メリット

  • ブラックロックの長期投資姿勢が楽天株価の安定化につながる可能性がある。

  • 機関投資家からの信頼感が向上し、市場における楽天の企業価値が高まる。

  • フィンテック分野を中心に業績拡大の期待感が高まる。

デメリット

  • 保有比率の変動や売却があった場合、短期的に株価変動リスクが生じる可能性がある。

  • ブラックロックの経営戦略への影響が不透明なため、経営方針の自由度が制約される可能性がある。

  • 楽天モバイル事業の黒字化など経営課題が解決されない場合、市場評価に悪影響を与える懸念がある。

5. 今後の見通しとまとめ

ブラックロックによる楽天株式の大量保有は、日本のフィンテック市場、楽天の成長可能性に対するポジティブな評価を市場に示した。

楽天グループは今後もフィンテックやモバイル事業の収益改善を進める必要があり、それらが実現できれば株価の安定化につながるだろう。

一方で、ブラックロックの保有動向は注視が必要であり、今後も定期的なモニタリングと分析が重要となる。

 

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