ジェリービーンズグループ【決算分析】

経営難からの脱却を目指すジェリービーンズグループ

株式会社ジェリービーンズグループ(旧アマガサ)は、主に30代から40代の女性をターゲットにしたノンレザー素材を使った婦人靴ブランド「JELLY BEANS」を展開している企業である。

 

しかし、過去数年の業績は低迷が続き、2025年1月期まで9期連続で純損失を計上するなど、経営危機に直面している。

財務指標の詳細分析

売上高推移

決算期 売上高 前年比
2021年1月期 23億8,500万円
2022年1月期 15億6,800万円 -34.2%
2023年1月期 13億9,400万円 -11.0%
2024年1月期 9億1,900万円 -34.0%
2025年1月期 8億3,100万円 -9.6%

売上高の急激な減少が止まらず、特に2024年以降の減少幅は企業経営に深刻な影響を及ぼしている。

利益状況(2025年1月期)

種別 金額
営業損失 5億1,900万円
経常損失 5億3,200万円
純損失 5億2,000万円

営業損失と経常損失はそれぞれ5期連続で赤字を計上しており、損失額も巨額となっている。

財務状況

財務指標 2021年1月期 2025年1月期 変化率
自己資本比率 4.7% 27.1% +22.4ポイント
純資産額 2億600万円
総資産額 13億7,200万円 6億2,800万円 -54.2%

キャッシュ・フローの状況(2025年1月期)

キャッシュ・フロー 金額
営業活動 -6億2,100万円
投資活動 -100万円
財務活動 +5億7,400万円
期末現金残高 2億6,500万円(2021年期末:8億6,700万円)

キャッシュ・フロー面でも財務活動による資金調達頼りであることが鮮明となっており、自力での資金創出能力が低下している。

再建策と課題

同社が掲げる再建策の詳細とその課題は以下のとおりである。

  1. EC事業へのシフトと店舗運営の効率化
    • 不採算店舗の撤退を進め、直営店舗数を削減。
    • EC販売に注力し、販促活動の強化を実施するも、材料費や円安によるコスト増加が収益性改善の障害となっている。
  2. 販売戦略と在庫管理の徹底見直し
    • 在庫回転率向上を目指し、販売期間内での完売を目標とする。
    • しかし、販売減少が継続し在庫水準の最適化は依然難航している。
  3. 新規事業展開
    • SDGs関連商品やスポーツアパレル販売の準備を進めるも、現時点では費用が先行し、収益化の目途が立っていない。
  4. 財務基盤の強化
    • 第三者割当増資で累計32億円を調達。追加資本調達を検討するも、株主価値希薄化のリスクが増大。

サステナビリティと人的資本の課題

  • サステナビリティへの体系的対応が遅れており、環境・社会面での評価改善が求められる。
  • 人的資本では店舗削減に伴い人員削減が進み、長期的な戦略的人材育成が未整備である。

今後の見通し

財務体質の改善や新規事業の軌道化など、短期的な収益性回復は依然厳しい状況である。

さらに追加資本調達による株式希薄化リスクが高まっており、投資家に対する訴求力も低下している。抜本的な収益構造改革と効果的な経営施策が早急に求められる状況である。

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