【決算分析】株式会社テイツー(第35期:2024年3月〜2025年2月)

テイツーの実力と限界が露呈した決算

 企業概要

株式会社テイツーは、岡山を拠点とするリユース専門企業であり、書籍・トレカ・ゲーム・ホビーのリユース販売に加え、ECとBtoB領域にも進出している。

直営・FC合わせて170店舗超を展開し、TAYSなど独自のITツールを活用したオリジナル戦略を持つ。

 業績サマリー(第35期)

指標 金額 前期比・備考
売上高 364.8億円 +3.6% 増収
営業利益 9.1億円 ▲31.6% 減益
経常利益 9.2億円 ▲35.4% 減益
当期純利益 5.0億円 ▲11.8% 減益
営業CF +14.6億円 前年比大幅改善
投資CF ▲14.4億円 関係会社株取得等
自己資本比率 45.9% 前年比▲0.9pt

減益決算の実態

“拡大”と“利益の失速”の分岐点

  • 売上は増収継続(4期連続)ながらも、営業・経常・最終利益すべてが減益

  • 利益減少の主因は以下:

    • トレカ事業の粗利低下

    • 人件費・物流費などの販管費上昇

    • 積極的な出店・設備投資によるコスト増

  • 特別損失として減損損失1.54億円を計上、収益性の薄い資産が表面化した。


セグメント別・商品別の売上構造

“トレカバブル”の剥落

商材分類 売上(億円) 前年比 コメント
トレカ(新品+中古) 148.8 △0.3% 伸び悩み/粗利率は低下傾向
ゲーム(同上) 128.3 △0.6% 中古増、新品減で相殺
ホビー(同上) 30.9 +31.4% 商材多様化の主役に急浮上
その他/レンタル 2.6 ▲大幅減 収益貢献度は低下傾向
  • 売上構成比で中古52.3%/新品46.5%という、業界平均に対し新品比率の高さが特徴的。

  • 特にホビー商材の拡大が構造変化の兆しとなっている。

キャッシュフロー構造

営業CFは回復、だが資金余力は減退

区分 金額(百万円) コメント
営業CF +1,462 税前利益+仕入債務増が寄与
投資CF ▲1,436 関連会社株取得・出店・DX投資等
財務CF +15 借入と返済の均衡/やや強引なバランス
現金残高 2,815 前期比+42百万円(実質横ばい)
  • 投資は継続されているものの、営業キャッシュが一時的に跳ねただけの可能性もあり

  • 中長期での成長投資余力には注意が必要

成長戦略のリアル

“出店拡大”と“人材不足”のジレンマ

  • テイツーは「360度リユース」として5領域戦略を標榜:

    • ① 店舗拡大:イオンモール中心に小型出店を加速

    • ② EC強化:「ふるいちオンライン」が通期黒字化

    • ③ BtoB:「TAYS」「トレカ自販機」等の外販・特許取得

    • ④ グローバル:提携先と海外販路開拓(TORICOなど)

    • ⑤ IP活用:イベント連携・限定商品の販売

  • だが、「出店=人材負担」の構造に限界が見え始めており、平均年収481万円・平均勤続11.5年の人材戦略が今後の鍵に。

「リユースの覇者」か、「トレカ依存の終焉」か

テイツーの成長戦略は明快だ。だが、その実行力と収益力には明確な“壁”が現れた。

  • 売上増加=利益拡大、という健全成長の法則が崩れた今期

  • とくに、トレカに依存したモデルの限界と、人材・出店の持続性に疑問符が付く。

論評社は問う。
この会社は、「再成長」できるリユースの核を見出せるのか──
それとも、「バブルの残り香」にすがるだけなのか。

次期、真価が問われる。

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