ゼナー・アセット・マネジメントがGENDA株5.62%取得

対話型アクティブファンドは何を狙っているのか

2025年12月24日、関東財務局に提出された大量保有報告書により、英国ロンドンを拠点とする投資会社 Zennor Asset Management LLP が、東証グロース上場の 株式会社GENDA の株式を 5.62% 保有していることが明らかになった。

取得比率は5%台と一見控えめだが、保有目的の記載内容や取得の積み上げ方を見る限り、本件は単なるパッシブ投資ではない。

「対話」を前提に企業価値へ関与していく、英国系アクティブファンドの典型的な入り方と評価できる。

5.62%取得というポジション

ゼナーの保有割合は 5.62%

これは大量保有報告書の提出義務が生じる最低ラインを明確に超える水準であり、市場に対する意図的なシグナルでもある。

この水準は、

  • 経営陣と正式に意見交換できる立場を確保し

  • 株主としての発言力を持ち

  • 一方で支配責任は負わない

という、対話型アクティブファンドにとって最も機動的な位置にある。

偶然到達した数字ではなく、最初から狙われた比率と見るのが妥当だろう。

大量保有報告書の概要

大量保有報告書に記載された主な内容は以下の通りである。

  • 報告義務発生日:2025年12月17日

  • 提出日:2025年12月24日

  • 保有割合:5.62%

  • 保有株数:10,453,000株

  • 保有目的:
    投資一任契約に基づく顧客資産の運用を主目的としつつ、
    状況に応じて経営陣との意見交換や重要提案行為等を行う可能性あり

  • 重要提案行為等:該当なし

この「保有目的」の書きぶりは極めて重要だ。

純投資を基本としながらも、対話・提案の余地を明確に残している点に、ゼナーの投資スタンスが端的に表れている

ゼナーアセットマネジメントとは

ゼナー・アセット・マネジメントは、2002年設立の英国系投資顧問会社で、中小型株を中心としたアクティブ運用を得意とするファンドである。

同社の投資戦略を整理すると、以下の特徴が浮かび上がる。

  • インデックス連動ではなく、裁量的・集中投資

  • 企業価値と市場評価の乖離を重視

  • 敵対的なアクティビズムよりも、経営陣との建設的対話(エンゲージメント)を重視

  • 資本政策・ガバナンス・成長戦略の改善を通じた中期的価値向上を狙う

ゼナーは、短期的な株価操作や支配を目的とするファンドではない。
一方で、「何も言わずに保有する」タイプでもない

一定の持分を確保したうえで、
経営陣との対話を通じて企業の方向性に影響を与える

これが、ゼナーの基本戦略である。

GENDAとは?なぜ選ばれたのか

GENDAは、アミューズメント施設やエンターテインメント関連事業を中核とし、M&Aを通じて事業規模を拡大してきた成長企業だ。

東証グロース市場に上場し、「成長ストーリー」を前面に掲げてきた一方で、事業拡大に伴う資本効率や統治体制については、市場の評価が固まりきっていない側面もある。

GENDAの構造を整理すると、

  • M&A主導で事業を拡大する成長モデル

  • 規模拡大に比して利益構造・資本効率は改善余地が残る

  • 支配株主が存在せず、株主構成は比較的分散

という特徴が見えてくる。

これは、ゼナーの投資戦略と極めて相性が良い。

  • 成長余地があり

  • 経営陣との対話による方向修正が可能で

  • 支配を取らずとも影響力を行使できる

GENDAは、対話型アクティブ投資が最も機能しやすい企業類型に該当すると言える。

株式取得の特徴

本件で用いられているのは、普通株式のみであり、新株予約権などの潜在株式は含まれていない。

  • 市場内・市場外取引を併用

  • 顧客資金による取得

  • 借入を用いない運用

これらは、短期的な資本操作ではなく、中期的な企業価値向上を前提とした投資であることを示唆している。

「純投資」と「対話」の境界線

大量保有報告書上、重要提案行為は「該当なし」とされている。

しかし同時に、「状況に応じて意見交換や重要提案行為等を行う可能性」が明記されている。

これはすなわち、

今は動かないが、動く権利は確保している

という立場表明に他ならない。

本件は、純投資とアクティブ関与の境界線上に位置している。

論評

本件は、敵対的アクティビズムではなく、対話型アクティブファンドが日本市場でどこまで機能するのかを測る試金石である。

GENDAの経営陣が、

  • この株主の存在をどう受け止め

  • どの程度真摯に向き合うのか

その対応次第で、ゼナーの関与は「静かな助言」にも、「次の一手」にも転じ得る。

問われているのは、ファンドの姿勢だけではない。

対話を成長につなげられるかという、日本市場と経営の成熟度である。

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