フィデリティ投信、ヘリオス株を5.29%取得

創薬ベンチャーに再び注目集まる兆し

◼︎ 投資巨人フィデリティ、再びバイオの本命へ接近

2025年4月15日付で提出された大量保有報告書によれば、フィデリティ投信株式会社は、創薬ベンチャーである株式会社ヘリオス(東証:4593)の株式を5,364,700株(保有割合5.29%)取得したことが明らかとなった。

今回の大量保有は、名義上はフィデリティではなく、顧客の選択したカストディアンバンクまたは信託銀行名義とされており、実質的にはファンド経由の機関投資家マネーによる参入であると推察される。報告書内では、「投資信託約款および投資一任契約等に基づく顧客財産の運用」が保有目的として記されている。

◼︎ ヘリオスとは何者か?──“再生医療の希望”から“市場失望”へ

ヘリオスはかつて「再生医療の星」として名を馳せた企業だ。iPS細胞技術をベースとした再生医療のパイオニアとして知られ、特に「加齢黄斑変性」や「脳梗塞急性期」に対する細胞医療で注目を浴びた。

しかし、開発の進捗遅延や競争環境の激化、治験の成否による期待と落胆の波が続き、株価はピークから大きく下落。投資家の間では「夢を追うにはリスクが大きすぎる」という見方も広がっていた。

◼︎ フィデリティの保有意図──バリュー?それともゲームチェンジ?

今回のフィデリティによる大量取得は、単なるファンドの分散投資では片付けられない“戦略的意図”が感じられる。

  • ヘリオスの株価は長期低迷中だが、現在は時価総額が希薄化し、買収リスクが高まっている局面ともいえる。
  • フィデリティはこれまでにも中小型バイオベンチャーの“底値買い”を行い、後の企業再編やM&Aにより利益を得てきた実績がある。

つまり、今回の保有は「リスクを織り込んだ上での再浮上シナリオへの賭け」とも受け取れる。

また、2025年4月時点での発行済株式総数は101,461,600株であり、今回の取得によって単独でも主要株主に浮上した可能性も否定できない。

◼︎ 市場への影響──再生医療バブルの再点火か?

このニュースは、低迷を続けてきた再生医療セクターに再び機関投資家の視線が戻ってきた兆しとも捉えられる。

  • 他の機関投資家の追随があるかが、今後の株価動向を左右する鍵となる。
  • ヘリオスが抱えるパイプラインの進展、特に脳梗塞治療薬のフェーズ更新などがトリガーとなる可能性も。

市場では、“見限られたバイオ”が再び脚光を浴びるリバーサルシナリオへの期待感も高まりつつある。

◼︎ 総括──沈黙を破る“ファンドの一手”、次のシグナルは?

今回の動きは、単なる「数%の保有」ではなく、戦略的買い増しの第一歩であると捉えるべきだろう。

フィデリティの背後には、情報優位と戦略的投資手法に長けたアクティブマネジメントの力学がある。バイオベンチャーにとっては、資金調達とパートナーシップ戦略の見直しが喫緊の課題となる中、フィデリティの動きは今後の「業界再編の呼び水」となる可能性も秘めている。

ヘリオスがこのシグナルをどう活かすのか──その一挙手一投足から目が離せない。

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