
| 提出者名 | 保有株数 | 保有割合 | 所在地 |
|---|---|---|---|
| Wellington Management Company LLP | 377,838 | 0.30% | 米国MA州ボストン(本体) |
| Wellington Management Japan Pte Ltd | 4,747,088 | 3.74% | 東京都千代田区(日本営業所) |
| Wellington Management Singapore Pte. Ltd. | 1,318,032 | 1.04% | シンガポール |
| 合計 | 6,442,958 | 5.08% | — |
日本拠点(WM Japan)が全保有の73.7%(4,747,088株・3.74%)を占め、シンガポール拠点が1,318,032株(1.04%)、グループ本体のLLPが377,838株(0.30%)を保有する。これは「世界本社が決めたグローバルポートフォリオへの組み入れ」というより、「日本現地チームがSansanへの投資テーマを主導し、シンガポール・本体が追随する」という方向性の分担を示していると解釈するのが自然だ。前回のトリケミカル研究所案件(WM Japan85.4%)と比較すると、シンガポールとの比率がより均等であることは、アジア広域でのBtoB SaaS投資テーマとしてSansanが評価されていることを示唆している。
Sansanの2026年5月期は、SaaS企業特有の「売上成長が一定規模を超えた後に利益の伸びが加速するレバレッジ効果」が数字として顕在化した転換点に当たる。3Q累計(2025年6〜2026年2月)の実績は売上高392.6億円(前年同期比+26.1%増)、調整後営業利益60.9億円(同+131.1%増)と、利益の伸びが売上の伸びを5倍近く上回る急速な収益性改善を示している。
| 指標 | 2026年5月期3Q累計 | 前年同期比 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 392.6億円 | +26.1% | 前年から安定成長継続 |
| 調整後営業利益 | 60.9億円 | +131.1% | 利益レバレッジが顕在化 |
| Sansan単体売上 | — | +19.3% | ストック売上+17.3% |
| Bill One売上 | — | +40.7% | 新規受注額は四半期最高更新 |
| ARR(2025年11月末) | 459億円 | — | 中計600億円目標に向け進捗 |
| 中計CAGR目標 | 22〜27%(2025〜2027年5月期)。2027年5月期調整後営業利益率18〜23%を目指す | ||
Sansanの株価は52週高値2,211円(直近1年での高値水準)から安値994円まで約55%下落した後、義務発生日(5月15日)前後には1,300〜1,400円台まで回復していた。業績は過去最高ペースで成長中であるにもかかわらず株価が高値から大幅に調整した要因は、SaaS株全般への高PERへの警戒感と、株式報酬関連費用(ストックオプション費用)が会計上の「営業利益」を大きく押し下げることへの投資家の誤解にある。ウエリントンがSaaSへのエクイティ投資評価に「調整後営業利益」を正しく使用できる機関投資家であることは明らかであり、「報告営業利益(低い)と調整後営業利益(高い)の乖離が生む割安感」こそが参入根拠の本質と解釈するのが自然だ。
アナリストの平均目標株価は2,031円(5人中全員が「買い」推奨)であり、義務発生日前後の株価から50%以上の上値余地が示唆されていた。この水準感がウエリントンの判断と整合することは、外部のバリュエーション評価からも裏付けられる。
Wellington Management Company LLPは1928年に米国ボストンで創業し、40年以上にわたってパートナーシップ制(自社株式を非公開とした独立経営)を継続している。「CIOを置かないブティックの集合体」型の組織設計を採用しており、各運用チームが独自の投資哲学と調査機能を持つ。日本株については、ウエリントンは日本版スチュワードシップ・コードへの署名機関として、投資先企業との建設的なエンゲージメントと独自の議決権行使方針を実施している。
今回の特例報告書において重要提案行為の明記はなく、保有目的は純投資に限定されているが、ウエリントンの議決権行使方針は資本効率・取締役会構成・情報開示の質について独自基準を定めており、Sansanの経営陣に対して間接的なガバナンス規律として機能し得る。SaaS企業特有のストックオプション制度・経営者報酬のあり方についても、ウエリントンは業界標準を踏まえた方針を持っていると考えられる。
日本市場専門・スチュワードシップ重視
全保有の73.7%を主導
本体LLP:グローバル配分の補完
合計1,695,870株
ARR459億 / Bill One+40.7%成長
中計目標:売上600億・利益率18〜23%
ウエリントン・マネージメント3社がSansanに5.08%の保有を公示した事実は、1928年創業・世界最大規模の非公開独立系資産運用会社のアジア現地チームが、2026年5月期に調整後営業利益が前年同期比131%増という「利益レバレッジの転換点」に達したSansan——ARR459億・Bill One+40.7%の高成長と低解約率による経済的護城河を持つ日本BtoB SaaS代表銘柄——に、株価が52週高値から38%下落した局面でポジションを構築した構図として位置づけられる。ストックオプション費用による会計上の「見た目の低利益」と実態の調整後営業利益の乖離を正確に評価できる機関投資家にとってのみ成立する割安感を、ウエリントン日本チームが現地調査によって発見したという読み解きが最も実態に近く、今後の変更報告書の動向とARRの成長継続が投資仮説を検証する指標となると見るのが自然だ。

