
| 提出者 | Marathon Asset Management Limited(英国ロンドン、EDINET登記上の設立2019年7月31日。実質的な前身法人は1986年設立) |
| 代表者 | James Bennett(チーフ・リスク・オフィサー兼チーフ・コンプライアンス・オフィサー) |
| 事業内容 | 投資一任業。運用資産約5.6兆円、日本株保有残高は約1.5兆円以上とされる |
| 投資哲学 | キャピタル・サイクル哲学(Capital Cycle Philosophy)に基づく長期逆張り投資 |
| 保有目的 | 長期投資(投資一任契約に基づく顧客の資産運用のため) |
| 重要提案行為等 | 記載なし |
| 保有株券等の数(総数) | 10,954,800株 |
| 株券等保有割合 | 5.13%(発行済213,545,376株に対して) |
| 取得資金等 | 開示なし(特例対象のため) |
| 担保契約等 | なし |
| 連絡先 | 長島・大野・常松法律事務所 弁護士 金田裕己 |
マラソンが義務発生日(2026年5月15日)に5%超を記録した時点は、セガサミーHDが前日(5月12日)に2026年3月期の本決算を開示した直後にあたる。その内容は売上高4,875億円(前期比+13.7%増)と増収を達成しながら、営業利益471億円(同▲2.1%減)、そして純損失57億円という「増収・純損失」の構図だった。純損失の主因はRovio(フィンランド・Angry Birdsのゲームデベロッパー)の減損損失計上であり、調整後EBITDAも1,666億円(前期比▲73.3%減)と大幅悪化している。
| 指標 | 2025年3月期(実績) | 2026年3月期(実績) | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,286億円 | 4,875億円 | +13.7% |
| 営業利益 | 481億円 | 471億円 | ▲2.1% |
| 純利益 | +(黒字) | ▲57.5億円 | 純損失転落 |
| 調整後EBITDA | 6,228億円 | 1,666億円 | ▲73.3% |
| ROE(2025年3月期) | 12.2%(目標ROE10%超を超過) | ||
セガサミーHDの株価は2025年6月に年初来高値3,683円を付けた後、下落を続け2026年1月には年初来安値2,413円に達した。義務発生日(5月15日)前後の水準は約2,200〜2,300円台と推定され、高値比で約36%の下落となっている。純損失の主因がRovio等の一時的減損であることは、「正常化後の収益力」と「現在の株価」の間に投資機会を見出すキャピタル・サイクル型投資家にとって典型的な参入根拠となる。アナリストの平均目標株価は3,431円(2026年2月時点)と、義務発生日前後の株価から約44%の上値余地を示唆しており、バリュエーションの割安感は数値でも裏付けられる。
2027年3月期予想は売上高増収・営業減益という二次的な不透明要素も存在するが、マラソンの長期投資哲学は短期の業績変動よりも3〜5年単位の事業収益力の正常化を重視する。自己資本比率59.1%(2025年3月期末)というネットキャッシュを維持する強固な財務基盤と、314億円規模の株主還元実績(2026年3月期)がその基盤として機能していると考えるのが自然だ。
Marathon Asset Management Limitedの実質的な前身組織は1986年にロンドンで設立された独立系資産運用会社であり、EDINET提出書類上の「設立2019年7月31日」は英国の法人再編に伴う登記上の日付に過ぎない。运用資産は約5.6兆円(374億ドル)で、日本株を約1.5兆円以上保有するアジア最大級の独立系グローバル株式運用会社の一つとして市場関係者に認知されている。JR東日本・JR西日本等のインフラ系大型株での保有実績も確認されており、日本市場では「Marathon-London」の名称で知られる。
マラソンの最大の特徴はキャピタル・サイクル哲学(Capital Cycle Philosophy)にある。個別企業の利益予想よりも産業全体の資本投下サイクル——過剰投資期・調整期・回復期——を俯瞰し、業界全体が悲観に傾き新規投資が抑制され始めた局面で集中的にポジションを構築するという逆張り長期投資だ。この手法は「伝統的なバリュー投資でも成長株投資でもない」と自ら標榜しており、3〜5年単位の超長期保有を前提とした運用スタイルと整合する。「長期投資(投資一任契約に基づく顧客の資産運用のため)」という今回の保有目的記載は、このマラソン固有の哲学を簡潔に示すものだ。
本報告書の義務発生日(5月15日)と近接する期間に提出された他の大量保有報告書と保有目的を比較すると、アクティビスト色の段階が鮮明になる。オアシス・マネジメント(市光工業等)は「ポートフォリオ投資および重要提案行為」、アセンダー・キャピタル(アイドマHD)は「重要提案行為等を行うこと」と断言形式を採用している。これに対し、マラソンの「長期投資(投資一任契約に基づく顧客の資産運用のため)」という記述は経営介入意図を一切持たない純粋な長期バリュー投資の宣言として、スペクトルの最も消極的な端に位置する。GMO(美津濃)の「状況に応じて重要提案行為等を行うこともありうる」という条件付き中間形態とも性格が異なり、マラソンが経営陣との対話よりも市場リターンそのものに集中する運用姿勢を持つことを示している。
AUM約5.6兆円・日本株1.5兆円以上保有
キャピタル・サイクル哲学・長期逆張り
過去保有実績:JR東日本・JR西日本等
代理人:長島・大野・常松 金田裕己
2026年3月期 売上4,875億 純損失57億
発行済株式:213,545,376株
Marathon Asset Management Limitedがセガサミーホールディングスに5.13%の保有を初公示した事実は、1986年創業・AUM約5.6兆円の英国独立系長期運用会社が、Rovio等の一時的減損によって純損失に転落しながらも営業利益471億円・売上高+13.7%増収という実質的な事業収益力を維持する発行体の「正常化後の価値」に着目し、株価が年初来高値比約36%下落した局面を典型的な「キャピタル・サイクルの買い場」として捉えた逆張り長期投資として位置づけられる。重要提案行為を明記しない純粋な特例報告という形式は経営介入意図の不在を示すが、外国人機関投資家として5%超を保有する事実そのものが株主構成の厚みを増す効果を持ち、今後の変更報告書の動向——保有継続か積み増しか——がマラソンのコンビクション強度を測る最初の定量指標となると見るのが自然だ。

