フィデリティ5社がアズワン株5.50%を保有開示
大量保有報告書 / 特例報告

フィデリティ5社連名でアズワン株5.50%——15期連続増配・過去最高益の理化学機器卸に大手運用会社が5%超を蓄積
報告義務発生日:2025年9月15日 / 提出日:2026年6月5日 / 発行体:アズワン株式会社(東証プライム・7476)
発行体 アズワン株式会社(7476)
上場市場 東京証券取引所 プライム
提出者 フィデリティ Mgmt & Research Company LLC 他4社
根拠条文 法第27条の26第1項(特例報告)
報告義務発生日 2025年9月15日
提出日 2026年6月5日
発行済株式数 75,352,540株(2025年9月15日現在)
担保契約等 全5社「該当なし」

総保有株数
4,145,707株
5社合計

株券等保有割合
5.50%
直前割合:記載なし(初回)

取得資金
顧客資金・投資一任
自己資金による直接取得なし

推定平均取得単価
算出困難
特例報告のため取引明細なし

事実整理
発行体名称 アズワン株式会社(AS ONE Corporation)
証券コード 7476(東証プライム)
事業内容 ラボラトリー・インダストリー・メディカル介護向け機器・備品・消耗品の卸売(1933年創業、大阪市西区)
提出者① Fidelity Management & Research Company LLC(米デラウェア州、設立2020年1月)
提出者② FIAM LLC(米デラウェア州、設立2004年10月)
提出者③ Fidelity Institutional Asset Management Trust Company(米ニューハンプシャー州、設立2005年10月)
提出者④ FMR Investment Management (UK) Limited(英ロンドン、設立2006年9月)
提出者⑤ フィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチ・ジャパン株式会社(東京都港区、設立2009年10月)
保有目的 グループの資産運用・管理機能(①②)/信託・投資一任契約に基づく顧客資産運用(③)/事務・運営目的(④⑤)
重要提案行為 記載なし
担保契約等 5社全て「該当なし」
本報告書の位置づけ
フィデリティ5社の法人別分散保有——シーティーエスとの比較

本報告書はシーティーエス(4345)への同日提出と同じくフィデリティ・グループ各法人の連名形式を取るが、アズワン向けでは⑤のフィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチ・ジャパン株式会社が加わった5社連名という点が異なる。保有目的スペクトルは最消極型(純投資・事務運営)であり、重要提案行為の記述は一切ない。5社の持分内訳を見ると、主力のFidelity Management & Research Company LLC(①)が2,375,251株(3.15%)と全体の57%超を占めており、アクティブ運用ファンドの比重が相対的に高いことが窺える。

シーティーエス(4345・時価総額約330〜340億円)との対比では、アズワン(7476・時価総額約1,600〜1,900億円)はより大型であり、フィデリティが5.50%という大きな比率まで積み上げた背景には、アズワンの事業モデルが長期的なポートフォリオ適合性を持つとの判断があったと考えられる。

提出者 保有株数 保有割合
FMR Company LLC(主力運用) 2,375,251株 3.15%
Fidelity Inst. AM Trust Co. 766,949株 1.02%
FMR Inv. Mgmt. (UK) Ltd 450,000株 0.60%
FIAM LLC 364,507株 0.48%
FMR Japan株式会社 189,000株 0.25%
合計 4,145,707株 5.50%
取引ログ分析

特例報告であるため個別取引明細は非開示。推定取得単価の試算:報告義務発生日は2025年9月15日であり、この時期のアズワン株価は2,400〜2,500円前後(2025年9月30日終値2,455円、IRBankデータ)で推移していた。仮に義務発生日前後の2,400円近辺で4,145,707株を保有していたとすれば、時価評価は約99億円となる。その後2026年6月現在の水準(2,130〜2,140円)は義務発生日比で約12〜13%の下落となっており、報告書提出時点(2026年6月5日)での含み損の可能性も念頭に置く必要がある。義務発生日から提出日まで約8.5ヶ月を要しているが、特例報告においては変更が生じた時点での報告が義務付けられており、初回報告における発生日と提出日のタイムラグは必ずしも問題ではない。

発行体の業績と株価
業績サマリー(アズワン・東証プライム7476)

2026年3月期本決算(2026年5月13〜14日発表予定):売上高1,106億9,800万円(前期比+6.7%)、営業利益128億3,800万円(同+10.7%)と増収増益を達成し、各利益が過去最高を更新(ヤフーファイナンスAI要約)。直前の2025年3月期は売上高1,037億円(前期比+8.6%)、営業利益115億円(同+11.1%)と過去最高を達成済みで2期連続の最高益更新となる。15期連続増配を実現。ROE実績12.55%(2025年5月時点)、PBR実績2.09〜2.38倍、自己資本比率66.5〜69.4%。次期(2027年3月期)会社予想の経常利益:126億9,000万円(前期比+5.1%)。

株価:年初来高値2,500円(2026年1月13日)、年初来安値2,084円(2026年4月24日)、2026年6月5日時点では2,137.5円。義務発生日(2025年9月15日)前後の水準2,400〜2,455円と比較して、現在の株価水準は約12%下落しており、52週高値2,500円比では約14%の調整圏にある。時価総額は2026年5月時点で約1,564〜1,766億円。

アズワンは理化学機器・産業用機器・介護用品を中心に1,400万点超の商品カタログを持つ独自の卸売プラットフォームビジネスである。顧客(主に大学・研究機関・製造業・医療介護施設)の多様なニーズに対して、独自カタログ(プロダクトライン)とウェブ販売を組み合わせた「カタログ・コマース型」の高収益ビジネスモデルを確立している。業績の継続的改善とROE改善傾向は、日本の中堅卸売企業の中でも評価されやすいプロファイルを形成している。

なぜこの銘柄なのか
連続最高益更新
2期連続過去最高益
2025年・2026年3月期と2期連続で全利益項目が過去最高を更新。フィデリティが義務発生日(2025年9月)以降も保有を継続している可能性が高く、業績トレンドへの確信が垣間見える。

15期連続増配
配当成長の継続性
15期連続増配は経営の安定性と株主還元への一貫したコミットメントを示す。フィデリティのような長期保有型機関投資家が好む安定したインカムゲインの積み上げが可能。

高い自己資本比率
66.5〜69.4%
無借金に近い財務構造と高い自己資本比率は、景気下振れ局面でのダウンサイドリスクを限定する。フィデリティのリスク管理視点でも選好されやすい財務プロファイルである。

研究・産業インフラへの需要
ラボ・インダストリー部門が売上の84%
日本の製造業・研究機関向けの消耗品需要は景気変動に比較的強く、デジタル化・グリーン化の潮流が新たな消耗品・機器需要の底上げにつながっている。

シナリオ分析
Scenario A
業績持続・長期保有継続
2027年3月期以降も増収増益・増配基調が続く場合、フィデリティは保有を継続または積み増す。義務発生日から8.5ヶ月後の遅れた初回開示は保有長期化の傍証でもある。

Scenario B
リバランスによる縮小・5%割れ
ファンドへの解約・リバランス需要により5%を下回った場合に変更報告書が提出される。現在の株価が義務発生日比12%下落している点は、浮動的なリバランス需要を示唆する一因となり得る。

Scenario C
成長鈍化による評価見直し
研究開発投資の縮小や製造業の設備投資抑制が消耗品需要を圧迫した場合、業績成長の鈍化がバリュエーション(PBR2倍台)の圧縮をもたらし、フィデリティがポジションを縮小する。

論評
フィデリティ5社が連名で提出したアズワン向け大量保有報告書は、報告義務発生日(2025年9月15日)から約8.5ヶ月を経た2026年6月5日の提出という特例報告に特有のタイムラグを含みながら、理化学機器卸の国内最大手が持つ「2期連続過去最高益・15期連続増配・自己資本比率70%近辺」という三点セットへの長期的な評価を体現している。義務発生日以降の株価は年初来高値2,500円から2,084円まで下落しており、現在の2,130円台は高値比約15%の調整圏にある。これはフィデリティの含み損益が義務発生時点から悪化した可能性を示唆しているが、特例報告の性質上、頻繁な変更報告書の提出は実務的に少なく、目先の株価変動に左右されないスタンスを維持しているものと見るのが自然だ。

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