Capistrano、モリ工業に5.02%—株式分割後の小口分散型・推定単価1,037円


大量保有報告書(新規) / 5464

Capistrano Investment LLC、モリ工業に5.02%の保有を公示——毎日小口分散型10回の取得、推定平均単価1,037円、株式分割後の段階的蓄積を初めて開示
195万株・取得資金20億2,223万円(全額自己資金)。2025年4月1日の1:5株式分割で取得した分割調整株68万2,800株を含む。減収減益が続くが自己資本比率80.5%というモリ工業への、ワイオミング州拠点の持株会社による純投資型参入を読み解く。
発行体 モリ工業株式会社
証券コード 5464(東証スタンダード・鉄鋼)
提出者 Capistrano Investment LLC(カピストラーノ インベストメント エルエルシー)
報告義務発生日 2026年5月27日(令和8年5月27日)
提出日 2026年6月3日(令和8年6月3日)
根拠条文 金融商品取引法第27条の23第1項
発行済株式総数 38,831,900株(2026年5月27日現在)
直前報告書 該当なし(新規)

保有株数(総数)
1,950,000
株(法第27条の23第3項本文・直接保有)

株券等保有割合
5.02%
直前割合 ─(初報)

取得資金
20億2,223万円
全額自己資金(借入ゼロ)

推定平均取得単価
約1,037円
20.2億円 ÷ 195万株

事実整理
提出者 Capistrano Investment LLC(カピストラーノ インベストメント エルエルシー)、米国ワイオミング州法人、設立2021年2月10日。CEO:ピーター・ジャクボウスキー(Peter Jakubowski)。事業内容:持株会社
連絡先 株式会社ホライズン・データ・ワークス 代表取締役 越光勉(03-6450-3714)
保有目的 純投資
重要提案行為等 該当事項なし
保有株数 1,950,000株(法第27条の23第3項本文・直接保有)
株券等保有割合 5.02%(初報)
取得資金 自己資金20億2,223万2千円(借入ゼロ)
株式分割調整株 2025年4月1日付1:5株式分割により682,800株を取得(残高682,800株と記載)
60日間の取得合計 215,000株(市場内取得10回)。残り1,735,000株は60日以前に取得
担保契約等 該当事項なし
本報告書の位置づけ——株式分割対応と長期蓄積の複合構造
1:5株式分割の取得682,800株を含む「長期買い増し・分割調整型」の初報

本報告書の解読において最も重要な記載は取得資金欄の注記だ。「令和7年4月1日付で株式分割(1:5)により、普通株式682,800株を取得。残高は682,800株」という一文は、Capistrano Investmentが2025年4月1日の株式分割以前からモリ工業株を保有していたことを示している。分割前保有株数は682,800÷5=136,560株と推計され、これに60日間の追加取得215,000株と分割以前の長期蓄積分を合算して195万株・5.02%に到達した計算になる。すなわち本報告書は「2025年4月以前からの長期蓄積+1:5分割調整+その後の追加買付」という複合的な経緯の末に5%超の報告義務が初めて発生したことを示す初報と読むべきものだ。

保有目的は「純投資」のみで重要提案行為等は「該当事項なし」と記載されており、スペクトル上の最消極端に位置づけられる。また、保有株全量が法第27条の23第3項本文(直接保有・投資一任契約等を介さない)に計上されており、第3号(投資一任)ではない点もオアシス等の機関投資家案件と異なる特徴だ。

平均取得単価の試算

取得資金20億2,223万円÷保有株数195万株=推定平均取得単価約1,037円。義務発生日(2026年5月27日)前後の株価は1,020〜1,080円水準で推移しており、試算値と整合する。2025年4月の1:5株式分割前の株価換算(約5,000〜5,500円)と分割後の取得を組み合わせた場合、長期平均では分割前株式を約5,000円前後で取得し分割後は1,000〜1,100円台で追加買付した可能性が高い。

直近60日間の取得・処分状況
年月日 種類 数量 割合 市場区分 区分 単価
2026年3月30日 普通株式 10,000 0.03% 市場内 取得
2026年3月31日 普通株式 5,000 0.01% 市場内 取得
2026年4月17日 普通株式 11,000 0.03% 市場内 取得
2026年4月23日 普通株式 9,000 0.02% 市場内 取得
2026年4月24日 普通株式 20,000 0.05% 市場内 取得
2026年4月27日 普通株式 11,700 0.03% 市場内 取得
2026年5月8日 普通株式 98,300 0.25% 市場内 取得
2026年5月11日 普通株式 15,000 0.04% 市場内 取得
2026年5月22日 普通株式 5,000 0.01% 市場内 取得
2026年5月27日 普通株式 30,000 0.08% 市場内 取得

取引パターン分類:毎日小口分散型(変則集中一日あり)——60日間に10回・合計215,000株の市場内買付を行う「毎日小口分散型」だ。3月末・4月・5月と均等に分散しているが、5月8日だけ98,300株と突出した取得量となっており「変則集中一日あり」の変形パターンと分類できる。全10回の1回あたり平均取得株数は21,500株であり、市場への影響を意識した分散取得の意図が明確に読み取れる。処分は60日間でゼロ件だ。

発行体の業績と株価——減収減益続くも自己資本比率80.5%の財務堅牢
2026年3月期:売上高▲6.2%・営業利益▲18.9%と大幅減益、次期も増収減益予想
指標 2025年3月期 2026年3月期(確定) 前期比 2027年3月期(会社予想)
売上高 461.6億円 432.9億円 ▲6.2% 443億円(+2.3%)
営業利益 54.0億円 43.8億円 ▲18.9% 41億円(▲6.4%)
経常利益 57.2億円 48.8億円 ▲14.7% 46億円(▲5.7%)
当期純利益 41.3億円 33.6億円 ▲18.6% 32億円(▲4.7%)
自己資本比率 80.5% 高水準維持
ROE 低下傾向(一般目安8%未満) 悪化
配当(分割後1株) 36円 34円(配当性向40.3%)
時価総額(取得時) 約395〜420億円(株価1,020〜1,080円、2026年5月末)
52週高値・安値 高値1,350円(分割後ベース)/ 安値890円。義務発生日前後1,020〜1,080円
減収減益・高自己資本という「資本効率改善余地」のある構造

モリ工業は2026年3月期に売上高▲6.2%・営業利益▲18.9%と二期連続の減収減益を記録し、次期2027年3月期の会社予想もさらに減益(営業利益▲6.4%)というネガティブな業績トレンドが続いている。一方で自己資本比率80.5%という極めて強固な財務体質は、「稼ぐ力が低下しているにもかかわらず余剰資本が積み上がる」という構造的な資本効率の低さを意味し、東証のPBR・ROE改善要請と連動した純投資型バリュー投資の対象として典型的な外観を呈している。なお2025年4月の1:5株式分割を実施しており、分割後の株価帯への参入しやすさも外国人投資家の取得を後押しした可能性がある。

取得主体の分析
Capistrano Investment LLC——ワイオミング州設立2021年・情報が乏しい非公開持株会社

Capistrano Investment LLCはアメリカ合衆国ワイオミング州シェリダンを本拠とし、2021年2月10日に設立された外国会社(持株会社)だ。代表者であるピーター・ジャクボウスキー(Peter Jakubowski)氏の経歴・運用規模・他の日本株投資実績について公開情報は乏しく、設立から約4年という比較的短い歴史の法人だ。ワイオミング州は米国の中でも法人設立・維持コストが低く匿名性が保ちやすい法域として知られており、プライベートな投資家や家族オフィス的な運用主体が法人格の維持に活用するケースが多い。

事務上の連絡先として記載された「株式会社ホライズン・データ・ワークス(代表取締役 越光勉)」は東京都港区に所在する日本法人であり、外国人投資家の日本株投資に関する行政手続きや連絡対応を受託する機能を担っているものと推定される。EDINET上でCapistrano Investmentはモリ工業以外の大量保有報告書を確認できず、本件が日本株への初の公式参入記録となる。過去の保有銘柄・運用哲学・AUMについては公開情報から把握することができない。

なぜモリ工業なのか——参入根拠の4軸
ステンレス管・条鋼の専業優位
ステンレス管国内トップクラスの専業メーカー
モリ工業はステンレス管・ステンレス条鋼・加工品・鋼管の製造販売が主力であり、国内ステンレス管市場でトップクラスのシェアを持つ専業メーカーだ。インフラ・化学プラント・食品・医療向けの需要は長期安定的であり、一時的な業績悪化が構造的な市場失墜ではないとCapistranoが判断している可能性がある。

財務的余裕とバリュエーション
自己資本比率80.5%・PBR1倍前後
自己資本比率80.5%という極めて高い水準は、同業他社と比較しても突出して保守的な財務構造を意味する。PBRはほぼ1倍前後で推移しており、純資産に対してほぼ等価で株式を取得できるバリュー投資的な水準だ。ROEが低下傾向にある点は「余剰資本の非効率さ」を示す一方、財務安定性という観点では下値余地が限定される。

株式分割後の参入機会
1:5分割でロット単位が1株=1,000円台へ
2025年4月1日の1:5株式分割により、株価が5,000円台から1,000円台へ移行した。外国人投資家・個人投資家が参入しやすい価格帯への移行は流動性向上を伴うことが多く、Capistranoはこの流動性改善局面を段階的な取得拡大の好機として活用したと読み解ける。

配当利回りと減益局面の一時性
配当性向40%・予想配当34円(利回り約3.1%)
2027年3月期の会社予想配当は年34円(配当性向40.3%)であり、株価1,080円に対する予想配当利回りは約3.1%だ。販売数量減少と材料費・人件費・運送費の上昇という当面のコスト圧力が一時的な業績悪化要因と見れば、利回り3%超の配当を受け取りながら業績回復を待つバリュー投資の構造が成立する。

関係者構造図
取得主体
Capistrano Investment LLC
米国ワイオミング州
設立2021年2月
CEO:P.ジャクボウスキー
持株会社

国内連絡先
株式会社ホライズン・データ・ワークス
東京都港区
代表取締役 越光 勉
行政手続き受託(推定)

発行体
モリ工業株式会社(5464)
東証スタンダード
保有5.02% / 195万株
自己資本比率80.5%

シナリオ分析
Scenario 01 — 業績回復・株価上昇
材料費・人件費の転嫁が進み減益局面を脱却
会社予想通りに2027年3月期に増収が実現し、2028年3月期以降に減益が止まれば株価は52週高値1,350円を奪回する。Capistranoは配当利回りを受け取りながらキャピタルゲインを確保して保有を縮小するシナリオ。

Scenario 02 — 自社株買い・増配要求へ発展
「純投資」から「経営への助言」へ転換
自己資本比率80.5%という余剰資本への不満が高まれば、Capistranoは保有比率を引き上げつつ増配・自社株買いの要求に転じる可能性がある。ただし現時点での開示文言(純投資)は最消極端に位置する。

Scenario 03 — 業績悪化継続・ポジション解消
減益が続き株価が安値を更新するリスク
材料費高騰と需要停滞が続き業績悪化が長期化すれば、Capistranoはポジションを解消して撤退。ただし自己資本比率80.5%という財務的余裕は下値の安全網として機能する。

論評

本報告書を通読して浮かび上がるのは、ワイオミング州の非公開持株会社が2025年4月の1:5株式分割を前後して段階的に積み上げてきた「毎日小口分散型10回の市場内取得」という蓄積パターンだ。推定平均取得単価約1,037円・取得資金20.2億円(全額自己資金・借入ゼロ)という資金調達の純粋さと、保有目的「純投資」・重要提案行為「該当なし」という最消極的な開示スタンスは、制度内アクティビズムとは一線を画した「財務的余裕のある企業への長期バリュー投資」という性格を示している。売上高・営業利益の二期連続減少という逆風局面に対して自己資本比率80.5%・配当利回り約3%という安全網を根拠に購入したという判断構造は明快であり、東証が推進する資本効率改善の文脈で発行体が自社株買い・増配に動けばキャピタルゲインが実現し、動かなければ配当収益を受取り続けるという構造が成立しており、「減益・高財務体質・株式分割後の割安放置」という三条件が揃ったタイミングへの参入と見るのが自然だ。

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