
| 提出者 | Capistrano Investment LLC(カピストラーノ インベストメント エルエルシー)、米国ワイオミング州法人、設立2021年2月10日。CEO:ピーター・ジャクボウスキー(Peter Jakubowski)。事業内容:持株会社 |
| 連絡先 | 株式会社ホライズン・データ・ワークス 代表取締役 越光勉(03-6450-3714) |
| 保有目的 | 純投資 |
| 重要提案行為等 | 該当事項なし |
| 保有株数 | 1,950,000株(法第27条の23第3項本文・直接保有) |
| 株券等保有割合 | 5.02%(初報) |
| 取得資金 | 自己資金20億2,223万2千円(借入ゼロ) |
| 株式分割調整株 | 2025年4月1日付1:5株式分割により682,800株を取得(残高682,800株と記載) |
| 60日間の取得合計 | 215,000株(市場内取得10回)。残り1,735,000株は60日以前に取得 |
| 担保契約等 | 該当事項なし |
本報告書の解読において最も重要な記載は取得資金欄の注記だ。「令和7年4月1日付で株式分割(1:5)により、普通株式682,800株を取得。残高は682,800株」という一文は、Capistrano Investmentが2025年4月1日の株式分割以前からモリ工業株を保有していたことを示している。分割前保有株数は682,800÷5=136,560株と推計され、これに60日間の追加取得215,000株と分割以前の長期蓄積分を合算して195万株・5.02%に到達した計算になる。すなわち本報告書は「2025年4月以前からの長期蓄積+1:5分割調整+その後の追加買付」という複合的な経緯の末に5%超の報告義務が初めて発生したことを示す初報と読むべきものだ。
保有目的は「純投資」のみで重要提案行為等は「該当事項なし」と記載されており、スペクトル上の最消極端に位置づけられる。また、保有株全量が法第27条の23第3項本文(直接保有・投資一任契約等を介さない)に計上されており、第3号(投資一任)ではない点もオアシス等の機関投資家案件と異なる特徴だ。
取得資金20億2,223万円÷保有株数195万株=推定平均取得単価約1,037円。義務発生日(2026年5月27日)前後の株価は1,020〜1,080円水準で推移しており、試算値と整合する。2025年4月の1:5株式分割前の株価換算(約5,000〜5,500円)と分割後の取得を組み合わせた場合、長期平均では分割前株式を約5,000円前後で取得し分割後は1,000〜1,100円台で追加買付した可能性が高い。
| 年月日 | 種類 | 数量 | 割合 | 市場区分 | 区分 | 単価 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3月30日 | 普通株式 | 10,000 | 0.03% | 市場内 | 取得 | ─ |
| 2026年3月31日 | 普通株式 | 5,000 | 0.01% | 市場内 | 取得 | ─ |
| 2026年4月17日 | 普通株式 | 11,000 | 0.03% | 市場内 | 取得 | ─ |
| 2026年4月23日 | 普通株式 | 9,000 | 0.02% | 市場内 | 取得 | ─ |
| 2026年4月24日 | 普通株式 | 20,000 | 0.05% | 市場内 | 取得 | ─ |
| 2026年4月27日 | 普通株式 | 11,700 | 0.03% | 市場内 | 取得 | ─ |
| 2026年5月8日 | 普通株式 | 98,300 | 0.25% | 市場内 | 取得 | ─ |
| 2026年5月11日 | 普通株式 | 15,000 | 0.04% | 市場内 | 取得 | ─ |
| 2026年5月22日 | 普通株式 | 5,000 | 0.01% | 市場内 | 取得 | ─ |
| 2026年5月27日 | 普通株式 | 30,000 | 0.08% | 市場内 | 取得 | ─ |
取引パターン分類:毎日小口分散型(変則集中一日あり)——60日間に10回・合計215,000株の市場内買付を行う「毎日小口分散型」だ。3月末・4月・5月と均等に分散しているが、5月8日だけ98,300株と突出した取得量となっており「変則集中一日あり」の変形パターンと分類できる。全10回の1回あたり平均取得株数は21,500株であり、市場への影響を意識した分散取得の意図が明確に読み取れる。処分は60日間でゼロ件だ。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期(確定) | 前期比 | 2027年3月期(会社予想) |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 461.6億円 | 432.9億円 | ▲6.2% | 443億円(+2.3%) |
| 営業利益 | 54.0億円 | 43.8億円 | ▲18.9% | 41億円(▲6.4%) |
| 経常利益 | 57.2億円 | 48.8億円 | ▲14.7% | 46億円(▲5.7%) |
| 当期純利益 | 41.3億円 | 33.6億円 | ▲18.6% | 32億円(▲4.7%) |
| 自己資本比率 | — | 80.5% | 高水準維持 | — |
| ROE | — | 低下傾向(一般目安8%未満) | 悪化 | — |
| 配当(分割後1株) | — | 36円 | — | 34円(配当性向40.3%) |
| 時価総額(取得時) | 約395〜420億円(株価1,020〜1,080円、2026年5月末) | |||
| 52週高値・安値 | 高値1,350円(分割後ベース)/ 安値890円。義務発生日前後1,020〜1,080円 | |||
モリ工業は2026年3月期に売上高▲6.2%・営業利益▲18.9%と二期連続の減収減益を記録し、次期2027年3月期の会社予想もさらに減益(営業利益▲6.4%)というネガティブな業績トレンドが続いている。一方で自己資本比率80.5%という極めて強固な財務体質は、「稼ぐ力が低下しているにもかかわらず余剰資本が積み上がる」という構造的な資本効率の低さを意味し、東証のPBR・ROE改善要請と連動した純投資型バリュー投資の対象として典型的な外観を呈している。なお2025年4月の1:5株式分割を実施しており、分割後の株価帯への参入しやすさも外国人投資家の取得を後押しした可能性がある。
Capistrano Investment LLCはアメリカ合衆国ワイオミング州シェリダンを本拠とし、2021年2月10日に設立された外国会社(持株会社)だ。代表者であるピーター・ジャクボウスキー(Peter Jakubowski)氏の経歴・運用規模・他の日本株投資実績について公開情報は乏しく、設立から約4年という比較的短い歴史の法人だ。ワイオミング州は米国の中でも法人設立・維持コストが低く匿名性が保ちやすい法域として知られており、プライベートな投資家や家族オフィス的な運用主体が法人格の維持に活用するケースが多い。
事務上の連絡先として記載された「株式会社ホライズン・データ・ワークス(代表取締役 越光勉)」は東京都港区に所在する日本法人であり、外国人投資家の日本株投資に関する行政手続きや連絡対応を受託する機能を担っているものと推定される。EDINET上でCapistrano Investmentはモリ工業以外の大量保有報告書を確認できず、本件が日本株への初の公式参入記録となる。過去の保有銘柄・運用哲学・AUMについては公開情報から把握することができない。
設立2021年2月
CEO:P.ジャクボウスキー
持株会社
代表取締役 越光 勉
行政手続き受託(推定)
保有5.02% / 195万株
自己資本比率80.5%
本報告書を通読して浮かび上がるのは、ワイオミング州の非公開持株会社が2025年4月の1:5株式分割を前後して段階的に積み上げてきた「毎日小口分散型10回の市場内取得」という蓄積パターンだ。推定平均取得単価約1,037円・取得資金20.2億円(全額自己資金・借入ゼロ)という資金調達の純粋さと、保有目的「純投資」・重要提案行為「該当なし」という最消極的な開示スタンスは、制度内アクティビズムとは一線を画した「財務的余裕のある企業への長期バリュー投資」という性格を示している。売上高・営業利益の二期連続減少という逆風局面に対して自己資本比率80.5%・配当利回り約3%という安全網を根拠に購入したという判断構造は明快であり、東証が推進する資本効率改善の文脈で発行体が自社株買い・増配に動けばキャピタルゲインが実現し、動かなければ配当収益を受取り続けるという構造が成立しており、「減益・高財務体質・株式分割後の割安放置」という三条件が揃ったタイミングへの参入と見るのが自然だ。
