
| 第1提出者 | Evo Fund(エボ・ファンド)、ケイマン諸島法人、設立2006年12月22日。代表:リチャード・チゾム(取締役) |
| 第2提出者 | Evolution Capital Management LLC(米国ネバダ州クリスタル・ベイ、設立2002年5月16日。代表:リチャード・チゾム(CEO)) |
| 実質保有者 | Evo Fund単独で2,007,700株(5.05%)。Evolution Capitalは「共同保有者間で引渡請求権等の権利が存在するもの」として全額控除され保有株数0・0.00% |
| 保有目的 | 純投資であり、状況に応じて発行者の経営陣に対して経営の助言を行う場合がある |
| 重要提案行為等 | 該当なし |
| 取得資金 | 0円(借株2,007,700株。自己資金・借入なし) |
| 借株先 | 有限会社神田コンサルティング1,980,000株・BNPパリバ・ロンドン支店9,300株・ステート・ストリート・バンク・アンド・トラスト・カンパニー18,400株 |
| 連絡先 | アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 弁護士 加納さやか |
本報告書を正確に理解するには、大量保有報告書(借株5.05%)と同日に開示された2つの予定取得を一体として読む必要がある。Evo Fundは2026年6月1日付で(1)第3回転換社債型新株予約権付社債(CB・額面300,000,000円・行使価額90.9円)と(2)第8回新株予約権(100,000個・対価600,000円・1個当たり100株=1,000万株相当)を第三者割当で取得する予定だ。この三層構造の組み合わせを整理すると以下のようになる。
第一層:借株2,007,700株(5.05%) — 取得資金0円でロングポジションを確保。これは主にCBのデルタ・ヘッジポジション、あるいは保有目的宣言のための基準株数として機能する可能性がある。借株先の主体が「有限会社神田コンサルティング(1,980,000株)」という点は、この株主がEvo Fundのスキームに事前に協力している(あるいはEvo Fund関連の法人である)可能性を示唆する。
第二層:第3回CB(額面3億円・行使価額90.9円) — CB1個当たり204,570,794.40円という単価で計2個(計算上)を取得。行使価額90.9円は義務発生日前後の市場株価(約157〜180円台)から約40〜50%ものディスカウントを意味する。この深いディスカウントは、CBが転換された場合に大量の株式が低単価で市場に供給されることを意味しており、既存株主への重大な希薄化リスクを内包している。
第三層:第8回新株予約権(100,000個・1,000万株相当) — 対価わずか600,000円(1個あたり6円)で1,000万株相当の新株予約権を取得する。発行済39,762,949株の約25.1%に相当する潜在株数であり、CB転換株数と合算した場合の希薄化は既存株主の持株比率を大幅に圧縮する。
| 年月日 | 種類 | 数量(株) | 割合 | 市場区分 | 区分 | 単価 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026年5月18日 | 株券(普通株式) | 1,980,000 | 4.98% | 市場外 | 取得 | 借株(有限会社神田コンサルティング) |
| 2026年5月20日 | 株券(普通株式) | 27,700 | 0.07% | 市場外 | 取得 | 借株(BNPパリバ+ステート・ストリート) |
| 指標 | 2026年3月期(実績) | 2027年3月期(予想) |
|---|---|---|
| 売上高 | 96.8億円(+3.8%増収) | 111.6億円(+15.3%予想) |
| 純利益 | ▲8.2億円(純損失) | +0.1億円(黒字転換目標) |
| 純資産 | 1.86億円(急激な悪化) | — |
| 自己資本比率 | 大幅低下(30%を大きく下回る) | — |
| 事業 | 居酒屋「アカマル屋」等を首都圏に展開。水産の6次産業化(漁業〜加工〜販売)を推進中。水産事業への先行投資が損失の主因 | |
SANKO MARKETING FOODSは居酒屋「アカマル屋」「金の蔵」等を首都圏中心に展開する外食企業だ。水産の6次産業化(漁業から加工・流通・販売まで一貫して手掛けるモデル)という野心的な新事業への先行投資が純損失8.2億円の主因であり、純資産がわずか1.86億円にまで縮小している。この財務脆弱性がEvo Fundの参入を引き寄せた構造的背景となっている。財務基盤が弱体化した企業は銀行融資に頼りにくく、Evo Fundのような深いディスカウントのCBや修正条項付き新株予約権を受け入れざるを得ない資金調達の選択肢に追い込まれやすい。
Evo Fundはケイマン諸島に設立された投資ファンドであり、Evolution Capital Management LLC(米国ネバダ州)をジェネラルパートナーとして、代表者のリチャード・チゾム氏が両法人のトップを務める。Evo Fundは日本の上場企業への転換社債型新株予約権付社債(CB)・修正条項付き新株予約権(MSワラント)の引き受けを通じた資金調達支援に特化したファンドとして市場関係者に広く認知されており、財務悪化・資金調達難の小型株を投資対象として繰り返し参入する。
Evo Fundのパターンは概ね一定している。発行体が資金繰りに窮した局面で、深いディスカウントのCBまたは修正条項付き新株予約権を第三者割当で引き受け、転換・行使により株式を取得した後に市場で売却するという「下り坂のエスカレーター」型の収益モデルだ。今回のSANKO MARKETING FOODS案件でも、借株による5.05%確保はCBのデルタ・ヘッジポジションとしての役割を担っていると解釈するのが最も整合的だ。
Evo FundがSANKO MARKETING FOODSに5.05%の保有を公示した事実は、有限会社神田コンサルティングからの借株1,980,000株を中核とする全額借株・取得資金0円というCBアービトラージ型投資の典型的な構造として位置づけられる。6月1日付の第3回CB(行使価額90.9円・市場株価比▲40〜50%ディスカウント)と第8回新株予約権(1,000万株)の取得予定は、純資産1.86億円・純損失8.2億円という財務的苦境に立つ発行体が外部資金を必要とした帰結として読み解くべきものであり、既存株主にとっての希薄化リスクの規模と発行体の資金調達コストの高さが、この案件の本質的な論点となると見るのが自然だ。
