
| 発行体名称 | 株式会社インターネットイニシアティブ(3774)東証プライム市場 |
| 提出者 | オアシス マネジメント カンパニー リミテッド(Oasis Management Company Ltd.) |
| 設立年月日 | 2011年6月16日(ケイマン諸島法人) |
| 代表者 | フィリップ・メイヤー(General Counsel) |
| 所在地 | ケイマン諸島、グランド・ケイマン、ウグランド・ハウス |
| 保有目的 | ポートフォリオ投資および重要提案行為 |
| 重要提案行為等 | 株主価値を守るため、重要提案行為を行うことがある |
| 保有株数(総数) | 13,723,994株(全額ファンド資金) |
| 発行済株式等総数 | 183,448,852株(2025年12月31日現在) |
| 株券等保有割合 | 7.48% |
| 直前の報告書の保有割合 | 記載なし(初回大量保有報告書) |
| 取得資金合計 | 36,441,482千円(全額ファンド資金・自己資金ゼロ・借入なし) |
| 担保契約等 | 該当なし |
| 提出代理人 | 祝田法律事務所 弁護士 川村一博(東京都千代田区丸の内3-4-1新国際ビル9階) |
本報告書は金融商品取引法第27条の23第1項に基づき、2026年5月7日に関東財務局長へ提出された初回の大量保有報告書だ。報告義務発生日は2026年4月24日であり、義務発生から13日以内の適正提出となる。直前の報告書に記載された保有割合は空欄であり、今回が初回の大量保有報告書である。
本報告書の最大の特徴は、60日間の取得ログに記録された取得が事実上2日間に集中している点だ。2026年3月13日に市場内で100株を取得した後、約6週間の沈黙を経て、4月23日に市場内6,800株・市場外300,000株(単価2,817円)、翌4月24日に市場外4,880,209株(単価2,761円)という大規模な取得を実行し、一気に7.48%という第三位株主水準に到達した。3月13日の100株取得は「地均し」として捉えるべきであり、本格的な参入は4月23〜24日の2日間と解釈するのが自然だ。総取得資金364億円のほぼ全額がこの2日間に集中しており、オアシスが長期的な分散取得を選ばず、機動的な大規模買い付けによる電撃参入を選択したことを示している。
| 年月日 | 種類 | 数量(株) | 割合 | 区分 | 取得/処分 | 単価 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026年3月13日 | 株券 | 100 | 0.00% | 市場内 | 取得 | 非開示 |
| 2026年4月23日 | 株券 | 6,800 | 0.00% | 市場内 | 取得 | 非開示 |
| 2026年4月23日 | 株券 | 300,000 | 0.16% | 市場外 | 取得 | 2,817円 |
| 2026年4月24日 | 株券 | 4,880,209 | 2.66% | 市場外 | 取得 | 2,761円 |
60日ログに記録された4件のうち、実質的な本体は4月23〜24日の市場外取引2件だ。4月24日の4,880,209株・単価2,761円という単一取引は、金額にして約134.7億円に相当する。これはオアシスが事前に特定の売り手(機関投資家または既存大株主)と相対交渉を行い、ブロック取引として一括取得したことを示しており、証券会社の仲介による相対取引がその背景として想定される。なお、取得資金総額364億円を保有総数13,723,994株で割ると平均取得単価は約2,653円と試算される。報告書提出時点前後の株価(2,733〜2,900円台)水準でのコスト感は市場参加者にとって重要な参照点となる。
オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッドは、香港のセントラルを実質的な拠点とする資産運用会社であり、創設者のセス・フィッシャー(Seth Fischer)が2002年に設立した。日本、韓国、中国など東アジア市場における株主価値の解放を専門とし、企業との書簡交換・メディアへの情報公開・株主提案・訴訟提起まで多岐にわたる手法を駆使する「戦闘的アクティビスト」として市場での評価を確立している。
同社の代表的な日本案件として、大正製薬HDへの介入(MBO価格の不当性を公開書簡で指摘し価格引き上げを要求)、ツルハHDへの介入(低価格MBO案件での公開圧力)、花王への介入(ガバナンス改革要求)、KADOKAWA(8.86%取得)、ニデック(6.74%取得、永守氏の企業支配への懸念表明)などが挙げられる。IIJへの参入直前にはプラスアルファ・コンサルティング(8.02%取得、2026年4月23日義務発生)の大量保有報告書も同日付で提出されており、複数案件を同時並行で仕掛ける「多面展開」の手法が今回も確認できる。本報告書の提出代理人が祝田法律事務所・川村一博弁護士という点も、オアシスの過去の日本案件と一貫しており、組織的な日本市場介入の体制が整っていることを示している。
株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は1992年創業、国内初の商用インターネット接続サービスを開始した総合IT企業だ。ネットワークサービス及びシステムインテグレーション(SI)事業とATM運営事業の2セグメントで構成され、直近(2026年2月期第3四半期)は売上収益2,493億円(前年同期比+8.7%増)・営業利益244億円(+17.9%増)と増収増益を継続している。ROE約15%・自己資本比率約45%という財務的健全性を持ち、時価総額は約5,000億円規模(株価2,900円台、発行済約1.83億株)だ。
オアシスがIIJに着目した核心的な論点は、株主構造の特殊性にある。IIJの筆頭株主はKDDIとNTTグループが各11.5%程度を保有する「二極体制」であり、両者は事業上の競合相手でもある。この構造は、NTTが2023年に保有株を一部売却し、KDDIが筆頭株主として並立した経緯を持つ。さらに創業者の鈴木幸一会長(KS Holdings経由での間接保有)が経営の実権を握る「創業者支配×競合他社による大株主二極構造」という複合的なガバナンス課題がある。加えてIIJはNASDAQ上場廃止(ADR)という資本市場上の変化も抱えており、少数株主にとっての市場流動性と価値実現の機会が従来より制約される局面にある。オアシスが「株主価値を守るため」と宣言している文脈は、こうした構造的な課題に対する外部圧力の行使として読み解くことが適切だ。
