Long Corridorが借株でReYuu株14%超保有、複合貸借構造を解剖


大量保有報告書(新規) / 9425

Long Corridor AM、ReYuu Japanに14.07%の保有を公示——取得資金0円・借株一括100万株、SEACASTLEとバリューアップ・ファンドを巻き込んだ二層貸借構造の解剖
発行済株式の14.07%を取得資金ゼロの借株一括で即日確保。SEACASTLEは今回の貸株元かつ第2回新株予約権の割当先を兼ね、バリューアップ・ファンドとの2024年10月設定の先行貸借契約と交差する複合的な資本構造を読み解く。
発行体 ReYuu Japan株式会社
証券コード 9425(東証スタンダード・情報通信業)
提出者 Long Corridor Asset Management Limited
報告義務発生日 2026年5月26日
提出日 2026年5月28日
根拠条文 金融商品取引法第27条の23第1項
発行済株式総数 7,106,900株(2026年5月26日現在)
直前報告書 該当なし(新規)

保有株券等総数
1,000,000
株(全額借株・取得資金0円)

株券等保有割合
14.07%
直前割合 ─(初報)

取得資金
0円
全額借株・現金支払いゼロ

発行体時価総額(取得時)
約15〜16億円
52週高値1,413円比▲82%

事実整理
提出者 Long Corridor Asset Management Limited(ロング コリドー アセット マネジメント リミテッド)、香港法人、設立2018年2月28日。代表:ジェームズ シンジュン ツー(Director)
保有目的 純投資(提出者は投資一任契約に基づき投資権限を有する)
重要提案行為等 該当なし
保有株数 1,000,000株(全量が法第27条の23第3項第3号・投資一任)
投資一任ファンド LCAO(Long Corridor Alpha Opportunities Master Fund)740,000株、M246(MAP246 Segregated Portfolio)80,000株、BEMAP(BEMAP Master Fund Ltd.)180,000株
取得方法・資金 2026年5月25日 100万株 市場外 借株取得。取得資金合計0円
借株元(第1層) SEACASTLE SINGAPORE PTE. LTD.(契約締結日:2026年5月19日)LCAO 74万株・M246 8万株・BEMAP 18万株
担保契約等(第2層) バリューアップ・ファンド投資事業有限責任組合よりLCAO 85万株・M246 15万株(契約日:2024年10月31日。貸借期間:2025年4月15日〜2027年4月30日)
連絡先 Long Corridor Global Asset Management 山本かおり(東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング9階)
本報告書の位置づけ——借株一括型・取得資金0円の法的構造と二層貸借スキームの解剖
取得資金ゼロで14.07%を即日確保——借株一括型の特殊構造

本件最大の特徴は、発行済株式の14.07%に相当する100万株のポジションを、現金支払いを一切行わずに「借株」によって2026年5月25日の1日で形成した点にある。取得は市場外取引であり、貸株者はSEACASTLE SINGAPORE PTE. LTD.だ。取得資金欄はブランクで「取得資金合計0円」という異例の様式となっており、Long CorridorがSEACASTLEから100万株を借り受ける貸借取引を締結することで「現金コストゼロで大量保有者になる」という構造的特殊性を持つ。

借株(株式貸借取引)による保有は法第27条の23の「保有」に含まれ、Long Corridorは議決権行使が可能な大量保有者として報告義務を負う。ただし返却義務が存在し、議決権の行使パターンや転売の動機が通常の株式取得とは構造的に異なる点に注意が必要だ。

二層の貸借構造——SEACASTLEとバリューアップ・ファンドの交差

第1層(今回取得):SEACASTLEからの100万株(2026年5月19日契約) — LCAOが74万株・M246が8万株・BEMAPが18万株を借り受け、Long Corridorが投資一任権限に基づき報告者として一体で開示。貸借期間の記載はなく、2026年5月25日に全量を一括で「市場外取得」として処理している。

第2層(担保契約等):バリューアップ・ファンドからの100万株(2024年10月31日契約) — LCAOが85万株・M246が15万株を、2025年4月15日から2027年4月30日の2年間の貸借期間で借り受けている先行契約。今回の第1層とは別立ての契約であり、Long Corridorのファンドは合計2つの異なる貸株元からReYuu株への経済的エクスポージャーを持つ構造になっている。

保有目的の比較軸:「純投資」宣言の意味と過去投資先との整合性

Long Corridorの保有目的は「純投資(提出者は投資一任契約に基づき投資権限を有する)」と記載されており、重要提案行為等は「該当なし」だ。これはオアシスの「既に提案中」とは対極に位置する最消極的な文言であり、スペクトルの最消極端(マラソン型の純投資宣言)に分類される。ただし、Long CorridorはエイチIs(160億円投資)・Def consulting(約19.94%取得)・グランディーズ・オンコセラピー・サイエンスといった過去の関与先においても一貫して「純投資」を表明しており、同社の文言と行動の整合性については注意深い観察が必要だ。

直近60日間の取得・処分状況
年月日 種類 数量(株) 割合 市場区分 区分 単価
2026年5月25日 株式(普通株式) 1,000,000 14.07% 市場外 取得(借株) ─(借株のため単価なし)

取引パターン分類:借株一括型・市場外・即日14%超形成——1件・市場外・借株・1日で完結する「借株一括型」に分類される。単価の記載が存在しないため平均取得単価の試算は不可能だが、2026年5月25日前後の株価(約230〜250円水準)を基準にすると、市場価値換算で約2.3〜2.5億円相当のポジションが現金拠出なしで形成されたことになる。

発行体の業績と株価——高成長・連続赤字・52週高値比▲82%
2025年10月期:売上高32%増の高成長も赤字幅は拡大、株価は高値から急落
指標 2024年10月期 2025年10月期(確定) 前期比 2026年10月期(予想)
売上高 47.3億円 62.6億円 +32.3% 修正公表済み(詳細未確認)
営業利益 赤字(▲86百万円) 赤字(損失拡大) 悪化
当期純利益 ▲86百万円 損失拡大 ▲224百万円(予想)
自己資本比率 58.8% 改善
PBR 約1.07〜1.79倍(2026年5月時点)
時価総額 約15〜25億円(2026年4〜5月)
52週高値・安値 高値1,413円 / 安値247円
取得日前後の株価 約230〜260円。高値1,413円比▲82%。時価総額15億円前後
MSワラント型CBとの連動——2026年5月の複合的資本調達

Long Corridorによる借株取得(5月25日)の直前である2026年5月20〜21日に、ReYuu Japanは転換価額修正条項付新株予約権付社債(MSワラント型CB)の発行を開示・訂正している。加えて2025年7月の第2回新株予約権(SEACASTLE SINGAPOREへ47,070個)の割当も確認されており、今回の借株の貸株元であるSEACASTLEが「新株予約権の割当先」も兼ねている点は看過できない。一社が貸株元と資本提供者の二つの役割を同時に担う構造は、既存株主の観点から複合的なリスクとして注意深く観察すべき構造だ。

取得主体の分析
Long Corridor AM——Nine Masts出身・James Tu率いる香港クロスボーダー型ファンド

Long Corridor Asset Management(LCAM)は2018年2月に香港のセントラル(Three Exchange Square)に設立された投資運用会社だ。実質的な運用の歴史はさらに長く、創業メンバーが2013年にNine Masts Capital内に設定した「Alpha Opportunities Fund」に遡り、2019年のスピンアウトを経て独立法人化した。代表のJames Xinjun Tu(ジェームズ・シンジュン・ツー)は設立前にオアシスマネジメントおよびNine Mastsで投資責任者を務めた人物であり、イベント投資・アクティビスト寄りのアプローチに深い経験を有する。EDINET上の設立年月日(2018年2月28日)と実質的な運用開始(2013年)には5年超の差がある。

LCAMは香港本社のほか東京・丸の内ビルディングに「Long Corridor Global Asset Management」の国内拠点を置き、金融庁への登録を通じて日本株への制度的アクセスを確保している。資金は主にLCAO(ケイマン籍)・M246(Lighthouse系)・BEMAP(Blackstone傘下)という複数のファンド顧客資金で構成される。日本における過去の主要な大量保有開示にはエス・サイエンス(5721)、Def consulting(4833・約19.94%取得)、グランディーズ(不動産)、オンコセラピー・サイエンス(医薬品・11.51%保有)等が確認されており、スタンダード市場の小型・マイクロキャップへの継続的関与と複雑な新株予約権・借株スキームの活用が投資スタイルの特徴だ。

なぜReYuu Japanなのか——参入根拠の4軸
高成長セクター
リユースモバイル端末・前期比32%増収
中古スマートフォン市場は世界的拡大局面にあり、ESG(廃棄削減)観点での法人・自治体需要も伸長しやすい。売上高32%増は損失継続中も「投資フェーズの高成長企業」として読む余地を与えている。

借株による参入効率
時価総額15億円・発行済710万株の超小型株
市場での大口買付が困難な超小型株に対し、借株・市場外取引を活用すれば現金コストゼロで14%超のポジションを即日形成できる。Long Corridorはこの手法を今回も活用した。

バリューアップ・ファンドとの先行関係
2024年10月から続く二年間の貸借関係
バリューアップ・ファンドはLCAO・M246に対して2024年10月から2027年4月までの2年間、100万株の貸借を設定している。このファンドが既にReYuu株を保有していたことは、Long Corridorとの間で数年来の資本関係が構築されていることを示唆する。

SEACASTLEとの多面的連携
貸株元かつ第2回新株予約権の割当先
SEACASTLEは今回の借株の貸株元(100万株)であるとともに、2025年7月のReYuu Japan第2回新株予約権(47,070個)の主要割当先でもある。貸株・新株予約権という二経路で関与する一社のポジションは、既存株主にとって注視すべき構造だ。

関係者構造図
取得主体
Long Corridor AM Ltd.
香港 / 2018年設立
James Xinjun Tu CEO
ファンド:LCAO・M246・BEMAP

貸株元(第1層)
SEACASTLE SINGAPORE PTE. LTD.
100万株(2026年5月19日契約)
同社は第2回新株予約権(47,070個)の割当先も兼務

発行体
ReYuu Japan(9425)
保有14.07% / 100万株
バリューアップ・ファンドも
第2層で100万株を貸出中

シナリオ分析
Scenario 01 — 純投資継続・株価回復
リユースモバイル需要拡大→損益転換→ポジション維持
リユースモバイル市場の成長でReYuu Japanが損益分岐点を超えて利益転換。Long Corridorは借株ポジションを維持しつつ株価回復益を享受し、転換社債・新株予約権への参画も視野に利益確定する。

Scenario 02 — 複合的資本参加へ発展
借株起点→CB引受・新株予約権行使に拡大
借株保有を起点として、CB引受・新株予約権行使など資本構造の上流へ参入を拡大する。SEACASTLEとの協調的な資本関与が続き、ReYuu株の実質的な経済的エクスポージャーが一段と高まる。

Scenario 03 — 借株返却・ポジション解消
株価回復見込みなし→貸株返却・撤退
株価回復見込みが薄れた場合、Long Corridorは借株を返却してポジションを解消する。発行体の赤字継続・新株予約権行使による希薄化が重なり、株価は一段安となるリスクが残る。

論評

本件を一言で評するなら、「取得資金ゼロで発行済株式の14%超を即日確保する借株一括型スキームの典型例」である。Long Corridorが保有目的に「純投資」を掲げ重要提案行為等を否定している一方で、報告書に記載された株式貸借の二層構造とSEACASTLEとの複合的関与——貸株元かつ新株予約権割当先という二経路——は、単なるパッシブ投資という説明に収まらない複雑な利害関係の存在を示唆している。バリューアップ・ファンドとの2024年10月締結の先行貸借契約・SEACASTLEからの2026年5月の新規借株・同社への新株予約権割当という三本の糸が交差する構図は、ReYuu Japanの資本構造に複数の経路からアクセスを確立したクロスボーダー型の資本参加として読み解くのが自然であり、今後の追加開示と株主総会動向の注視が必要と見るのが自然だ。

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