ゴールドマンSがTOKYO BASEを5.92%保有、トレーディング名義で参入
大量保有報告書(特例対象)

ゴールドマン・サックス・インターナショナルがTOKYO BASEを5.92%保有
トレーディング名義の新規参入、関連会社からの貸株30,740株も確認
発行体 株式会社TOKYO BASE(3415)
提出者 ゴールドマン・サックス・インターナショナル(GSI)
報告義務発生日 2026年4月15日
提出日 2026年4月22日
上場市場 東京証券取引所プライム市場
根拠条文 金融商品取引法第27条の26第1項(特例対象)

保有株数
260.2万株
2,602,477株

株券等保有割合
5.92%
発行済43,959,482株対比

推定保有時価
約11.7億円
義務発生日付近株価で試算

報告形態
新規(初回)
直前報告書なし

事実整理

本報告書は金融商品取引法第27条の26第1項(特例対象株券等)に基づき、2026年4月22日に関東財務局長へ提出された。提出代理人はゴールドマン・サックス証券株式会社(代表取締役社長・居松秀浩)が務め、事務連絡担当者は同社コントローラーズ部の三須太貴である。報告義務発生日は2026年4月15日であり、義務発生から7日以内の法定期間内に適正に開示されている。大量保有者の実体はゴールドマン・サックス・インターナショナル(Goldman Sachs International、英国法人)であり、ロンドンのプラムツリー・コート25シュー・レーンに本拠を置く。

発行体名称 株式会社TOKYO BASE(3415)
提出者(大量保有者) ゴールドマン・サックス・インターナショナル(Goldman Sachs International)
提出者所在地 Plumtree Court, 25 Shoe Lane, London EC4A 4AU, United Kingdom
設立年月日 1988年6月2日
代表者 Anthony Gutman / Kunal Shah(Co-Chief Executive Officer)
事業内容 証券業
保有目的 有価証券関連業務の一部としてのトレーディング・有価証券の借入等
保有株数 2,602,477株(普通株式のみ、潜在株券等ゼロ)
発行済株式総数 43,959,482株(2026年4月15日現在)
株券等保有割合 5.92%
担保契約等 ゴールドマン・サックス証券株式会社(関連会社)から30,740株を株券消費貸借により借入
トレーディング目的保有の特性

保有目的が「有価証券関連業務の一部としてのトレーディング・有価証券の借入等」とされている点は、本保有がゴールドマン・サックスの自己勘定または顧客向けマーケットメイク・デリバティブヘッジ等のトレーディング活動の結果として積み上がったものであることを示す。長期の戦略的保有を意図するFMR LLCやオービスとは保有の性格が根本的に異なり、ポジションの増減が市場の需給やデリバティブのデルタ変動に連動して高頻度で変化しうる点に留意が必要である。また、関連会社(ゴールドマン・サックス証券株式会社)からの30,740株の借入は、空売りや証券貸借業務との関連から生じた契約上の借入ポジションを反映したものと解釈される。

取得主体の分析:GSIのトレーディング主体としての性格

ゴールドマン・サックス・インターナショナル(GSI)は、ゴールドマン・サックス・グループの欧州・中東・アフリカ地域における中核的な証券業務法人であり、株式・債券・デリバティブのマーケットメイク、エクイティファイナンス、ヘッジファンドへのプライムブローカレッジサービスを主要業務とする。1988年に設立され、ロンドンを拠点として英国金融行為規制機構(FCA)の監督下に置かれている。

本報告書における保有目的の記載「有価証券関連業務の一部としてのトレーディング・有価証券の借入等」は、ゴールドマン・サックスが国内外の多数の銘柄に対して定型的に使用する文言であり、個別銘柄への投資判断を反映したものではなく、トレーディングデスクの業務遂行上の結果として保有割合が5%を超えた事実を開示するものである。日本株市場においてゴールドマン・サックス・インターナショナルは定期的に複数銘柄の大量保有報告書や変更報告書を提出しており、流動性が相対的に低い中小型株においては、マーケットメイク業務やETFのリバランスに伴うブロック取引が計算上の保有割合を一時的に押し上げる事例が少なくない。

特例対象報告書の特性上、60日間の売買ログは本書面に添付されない。このため、どのような取引過程を経て5.92%という保有水準に至ったかは開示情報からは確認できない。直前の報告書に記載された保有割合の欄も空欄であり、今回が初回の開示となる。

なぜこの企業なのか:TOKYO BASEの事業構造と株価水準

株式会社TOKYO BASEは、日本発ブランドを世界に発信するセレクトショップ事業とオリジナルブランド事業を両輪とするファッション企業である。主力業態のSTUDIOUS(ステュディオス)を筆頭に、THE TOKYO、KEY TIMEZ、UNITED TOKYO、PUBLIC TOKYOなど複数の業態・ブランドを国内外合計100店舗超(国内82店舗、海外18店舗)で展開している。代表取締役CEOの谷正人のもと、「アパレル販売員の年収を業界最高水準へ」という人材戦略を前面に打ち出す点でも注目を集め、販売員への売上10%還元モデルが外部に広く報道されている。

事業面では2026年3月に新業態「KEY TIMEZ(キータイムズ)」を始動し、表参道・新宿・大阪・難波に加えて香港への出店も決定するなど、次の10年を担う主力事業の立ち上げが進行中である。KEY TIMEZはSTUDIOUSが強みとするモード・綺麗めゾーンとは異なるカジュアル市場への本格参入を意味し、市場規模の拡大とともに新規顧客層の取り込みを狙う戦略的な業態拡張である。海外事業については黒字化が実現しており、グローバル展開の加速を支える財務基盤が整いつつある。

業績面では、2026年1月期第3四半期累計(2〜10月)の連結経常利益が前年同期比44.5%増の9.6億円に拡大し、通期計画17.5億円に対する進捗率が3年平均(47.3%)を上回る55.1%を達成している。株価は年初来高値482円(2026年1月7日)から義務発生日(4月15日)付近の水準まで調整が進んでおり、時価総額は約184億円(4月24日時点)と小型株の範疇に留まる。PBRは2.94倍、ROEは24%(予想)というファンダメンタルズに対し、10年来高値(2,070円)からの大幅な下落余地が現在の株価水準に積み上がっている構造は、流動性を重視するトレーディング目的の参加者にとっても取引機会として映りやすい水準にある。

関係者構造
大量保有者
Goldman Sachs International
英国ロンドン拠点。証券業。トレーディング・借入目的で2,602,477株(5.92%)を保有。初回報告。

提出代理人・貸株関連会社
ゴールドマン・サックス証券株式会社
東京・虎ノ門ヒルズ。代表取締役社長・居松秀浩。書類提出代理兼、30,740株の貸株元。

発行体
株式会社TOKYO BASE(3415)
東証プライム。発行済43,959,482株。時価総額約184億円。KEY TIMEZ始動、海外事業黒字化が進行中。

市場への示唆:3つのシナリオ
シナリオ A
トレーディングポジションの短期解消
GSIのトレーディングデスクがポジション調整・ヘッジ解消・貸株返済等によって保有割合を5%未満に引き下げ、変更報告書が提出されるケース。トレーディング目的の保有は業務上の必要性に応じて短期で変動しやすく、今回の5.92%が一時的なピークである可能性は十分にある。TOKYO BASEのような時価総額200億円未満の小型株では、ブロック取引一件で保有割合が閾値を越えやすい。

シナリオ B
継続保有とKEY TIMEZ業績反映による株価回復
GSIのポジションが維持される一方、KEY TIMEZの立ち上がり業績が2027年1月期の決算で確認され、株価が年初来高値圏(480円超)へ回帰するケース。ROE24%・PBR3倍未満という水準は、成長小売株としての再評価余地を示しており、外国証券会社のポジション保有がその需給面での支えとなる可能性がある。

シナリオ C
プライムブローカー経由のヘッジファンド参入
GSIのプライムブローカレッジ業務を通じてヘッジファンドがTOKYO BASE株のロングポジションを構築し、GSI自身がそのデルタヘッジとして株式を保有しているケース。この場合、実質的な投資主体はGSIではなく最終顧客であり、ヘッジファンドの投資判断がTOKYO BASEの成長ストーリーを評価した戦略的な意思決定を反映している可能性がある。ただし本報告書の開示内容からは最終的な意思決定主体を特定することはできない。


論評

ゴールドマン・サックス・インターナショナルによるTOKYO BASE株5.92%の大量保有は、FMR LLCやオービスのような長期投資家の参入とは性格を異にするトレーディング起源の保有として読み解くべきであり、単純に強気シグナルと解釈することには慎重さが求められる。一方で、時価総額200億円未満の流動性限定的な小型アパレル銘柄にゴールドマン・サックス・インターナショナルという世界最大級の証券会社がトレーディングポジションを構築するに足る流動性が生じているという事実は、KEY TIMEZ始動と海外事業黒字化という二つのポジティブな事業変化を市場参加者が織り込み始め、TOKYO BASE株に対する関心が国際的な証券業務の射程に入ってきたことを意味すると見るのが自然だ。

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