ベイリー・ギフォード2社連名、ユニ・チャームに5.62%保有公示


大量保有報告書(特例対象・2社連名) / 8113

ベイリー・ギフォード2社連名、ユニ・チャームに合計5.62%の保有を初公示——「25年以上保有」の超長期成長投資で知られるスコットランド1908年創業の独立系機関投資家が参入
2026年12月期通期予想は売上1.01兆(+6.8%)・純利益865億(+32.6%)という着実な成長継続局面。株価924円・時価総額1.59兆円という「長期成長株」への参入として位置づけられ、ベイリー・ギフォードの「50年後の成長企業への投資」という哲学とアジア・新興国展開という長期テーマの接点が明確だ。
発行体 ユニ・チャーム株式会社
証券コード 8113(東京証券取引所)
提出者 Baillie Gifford & Co 他1社
報告義務発生日 2026年5月15日
提出日 2026年5月22日
根拠条文 金融商品取引法第27条の26第1項(特例)
発行済株式総数 1,862,502,957株(2026年5月15日現在)
直前報告書 該当なし(新規)

合計保有株数
104,670,305
株(2社合計・ADR566株含む)

合計保有割合
5.62%
発行済1,862,502,957株に対して

通期純利益予想
865億円
2026年12月期 前期比+32.6%

時価総額(義務発生日)
1.59兆円
株価924円(5/15時点)

提出者2社の保有内訳
提出者名 保有株数 保有割合 所在地
Baillie Gifford & Co(パートナーシップ) 11,451,266 0.61% スコットランド・エジンバラ(設立1908年)
Baillie Gifford Overseas Limited(株式会社) 93,219,039 5.01% スコットランド・エジンバラ(設立1983年)
合計 104,670,305 5.62%

パートナーシップ本体(Baillie Gifford & Co)の保有が0.61%・海外運用子会社(Baillie Gifford Overseas)が5.01%という内訳は、グローバルからの機関投資家資金を受け入れる海外運用子会社が主体となり、英国国内ファンドが補完する形でユニ・チャーム株を積み上げた構造を示している。なお、普通株式に加えてADR(米国預託証券)2,405株が含まれている点は、ユニ・チャームのADRが米国市場でも取引されていることを反映する。

事実整理
筆頭提出者 Baillie Gifford & Co(スコットランド・エジンバラ、パートナーシップ、設立1908年1月1日)
共同提出者 Baillie Gifford Overseas Limited(スコットランド・エジンバラ、設立1983年9月29日)
代表者(両社共通) グラント・ミークル(マネージャー)
事業内容 投資運用業
保有目的(両社共通) 投資一任契約に基づき、顧客資産で本件株式を保有している
重要提案行為等 記載なし
担保契約等 該当なし(両社とも)
連絡先 アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 弁護士 膝舘朗人
取得主体の分析
ベイリー・ギフォード——1908年設立・「50年後の成長企業」を現在の価格で買う超長期投資家

Baillie Gifford & Coは1908年にスコットランド・エジンバラで設立されたパートナーシップ型の独立系資産運用会社であり、117年以上の歴史を持つ。運用資産は約2,000億英ポンド(約37〜40兆円)規模と推定される世界有数の独立系機関投資家だ。テスラ・アマゾン・スペースX等の超長期成長投資で知られ、「投資の時間軸は25〜30年以上」という運用哲学を公言している。同社は「エクスポネンシャル(指数関数的)成長」が可能な企業への集中投資を行い、一般的な機関投資家が保有する数年単位のポジションとは本質的に異なる超長期のコンビクション投資を展開する。

日本株への投資においても、ベイリー・ギフォードは成長性・競争優位・長期的な市場機会の三つを評価軸とし、四半期業績の変動よりも10〜20年後の企業価値を評価する長期投資家として知られる。今回のユニ・チャーム案件において重要提案行為の記載が一切ないことは、ベイリー・ギフォードの運用哲学と完全に一致している。同社にとって経営陣への介入は「投資テーマが間違っていた場合に売却する」という撤退判断であり、関与型のエンゲージメントは彼らの主要な株主機能ではない。

発行体の業績——「アジア新興国展開」という超長期成長テーマの実証
2026年12月期:売上1兆円超・純利益+32.6%成長の継続
指標 2025年12月期(実績) 2026年12月期1Q 2026年12月期(通期予想)
売上高 9,449億円 2,342億円(+2.9%) 1兆107億円(+6.8%)
コア営業利益 315億円(+8.5%)
純利益 651億円 198億円(▲20.7%) 865億円(+32.6%)
年間配当 18円 22円予定(増配)
ペットケア売上 2026年1Q +6.6%と好調。新興国でのペット化トレンドが成長ドライバー
1Q純利益▲20.7%の読み解き——一時要因と構造的成長の分離

2026年12月期1Qの純利益が前年同期比▲20.7%となっている点は一見ネガティブだが、コア営業利益は+8.5%増と本業の収益力は改善している。純利益の減少は税引前利益の構成(為替影響・投資損益等の一時項目)によるものと推定される。通期純利益予想+32.6%という会社予想は、一時的な減益要因の剥落後に本業収益が通期を通じて貢献することを織り込んだものであり、ベイリー・ギフォードがこの1Q数字を見て投資仮説を変更するとは考えにくい。

なぜユニ・チャームなのか——超長期視点の三角形
アジア新興国展開という「25年テーマ」
東南アジア・インド・中国でのシェア拡大
ユニ・チャームはオムツ・生理用品・ペットケア製品において東南アジア・インド・中国・中東等の新興国市場で高いシェアを持つ。これらの地域は経済発展・人口増加・中間層拡大という構造的な成長ドライバーを持ち、ベイリー・ギフォードが最も得意とする「10〜20年後の市場拡大をゲストで評価する」フレームワークと完全に一致する。ユニ・チャームの新興国展開は1990年代からの息の長い投資であり、その蓄積が現在の高い参入障壁を形成している。

ペットケアという新成長エンジン
2026年1Q +6.6%・アジアのペット化トレンド
アジア新興国でのペット飼育率の上昇(「ペット化トレンド」)はユニ・チャームのペットケアセグメントに新たな成長ドライバーをもたらしている。乳幼児向け製品市場が少子化で縮小するリスクをペットケアの成長で補完するという事業ポートフォリオの進化は、長期的な事業価値の持続可能性を高める。

「乾いた眼」という市場の定番消費財
消耗品の繰り返し購買が収益を安定化
オムツ・ナプキン・ペットシーツといったユニ・チャームの主力製品は消耗品であり、一度顧客に採用されると繰り返し購買が発生する「サブスクリプション的な消費財」だ。このリピート購買型の収益構造は、ベイリー・ギフォードが重視する「長期にわたって複利的に成長できる事業」の条件を満たしている。

売上1兆円突破という成長マイルストーン
2026年12月期に1兆107億円の見通し
2026年12月期に売上1兆円を突破する見通しは、ユニ・チャームのグローバル展開が「質的転換点」を超えたことを示す象徴的なマイルストーンだ。1兆円企業としての規模効果・調達力・ブランド認知度のさらなる向上が、次の10年の成長加速を支える基盤となると評価することは自然だ。

関係者構造
筆頭提出者(0.61%)
Baillie Gifford & Co
スコットランド・エジンバラ / 1908年設立
AUM約37〜40兆円 / 超長期成長投資
連絡:アンダーソン・毛利・友常 膝舘朗人

+
共同提出者(5.01%)
Baillie Gifford Overseas Limited
スコットランド・エジンバラ / 1983年設立
グローバル機関投資家資金の受け皿
93,219,039株(ADR1,839株含む)

発行体
ユニ・チャーム株式会社(8113)
東証プライム / 衛生用品・ペットケア
時価総額1.59兆円 / 売上1兆円突破へ
発行済株式:1,862,502,957株

シナリオ分析
Scenario 01 — 超長期保有継続
アジア新興国の成長とともに20年以上の株主として伴走
ベイリー・ギフォードの「25〜30年保有」という運用哲学に沿い、東南アジア・インド等の新興国中間層の拡大とともにユニ・チャームの売上・利益が長期にわたって複利的に成長するシナリオ。変更報告書による大きな変動はなく、保有が継続される。この場合、今回の大量保有報告書はベイリー・ギフォードのユニ・チャームへの「投資開始宣言」として長期的に記憶されるものとなる。

Scenario 02 — 追加投資
ペットケア・インド展開の加速を受けたポジション積み増し
ペットケアセグメントの高成長継続とインド市場での本格拡大が数字で確認される局面で、ベイリー・ギフォードが保有を積み増す変更報告書を提出するシナリオ。超長期投資家として「テーマの確信が深まれば集中度を高める」という姿勢は過去の投資事例(テスラ等)でも見られており、5.62%から7〜8%への引き上げは十分ありうる展開だ。

Scenario 03 — 投資仮説の棄損・縮小
アジア新興国での競合激化・成長期待の剥落
中国・東南アジア市場での現地メーカーや海外競合の台頭により、ユニ・チャームの市場シェアが構造的に低下するシナリオ。ベイリー・ギフォードが「アジア新興国での競争優位が維持できない」と判断した場合、株価水準にかかわらず保有を縮小する。ただし、ベイリー・ギフォードの運用スタイルは投資仮説が「間違っていた」と確信するまで売却しないことで知られており、このシナリオの現実化には相当な証拠の積み上げが必要だ。

論評

ベイリー・ギフォード2社がユニ・チャームに5.62%の保有を公示した事実は、1908年設立・AUM約37兆円のスコットランド独立系超長期投資会社が、2026年12月期に売上1兆円突破・純利益+32.6%成長という着実な業績を背景に、東南アジア・インド等のアジア新興国での衛生用品・ペットケア展開という「25年以上視野に入る長期成長テーマ」への参入として位置づけられる。テスラ・アマゾン等への超長期集中投資で知られるベイリー・ギフォードが日本の消費財企業に5%超の大量保有を公示した事実は、ユニ・チャームが彼らの基準において「指数関数的な成長が期待できる少数の企業」の一つと認定されたことを意味しており、今後の変更報告書が「確信の深化(保有増加)」か「撤退シグナル」かを発信する最初の指標となると見るのが自然だ。

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