株式会社ビーアンドピー(第32期)

設備投資と販促に賭ける“攻めの印刷業”

企業概要

株式会社ビーアンドピー(B&P)は、デジタル印刷とグラフィック制作を主軸とし、大判出力/サイン/ディスプレイ/パッケージ/オンデマンド印刷などの領域を総合的にカバーする“印刷ソリューション企業”である。

大阪本社を中心に、東京・名古屋・福岡の主要都市に拠点を展開。最新鋭のデジタル印刷機器・3Dプリンター・自社加工設備を保有し、広告・展示会・内装など、多用途の印刷物を“短納期かつ高品質”で提供できる点が最大の特徴。

また、販促物の企画・設計から制作・施工まで一貫対応することで、従来の印刷業とは異なる付加価値型モデルを構築しており、リピート率の高い法人顧客を多数抱える。

 業績サマリー(第32期)

指標 実績 前期比/補足
売上高 52.45億円 +4.3% 増収(前年比)
営業利益 4.79億円 ▲2.9% 減益
経常利益 4.75億円 ▲2.6% 減益
純利益 3.23億円 +4.0% 増益(販促補助金が寄与)
自己資本比率 63.3% 健全水準維持
現預金残高 約7.8億円 資金繰りに問題なし

➡ 増収は確保したものの、利益は横ばい~微減。本業の収益性には若干の陰りも。

事業動向

“販促特化の印刷ビジネス”で独自地位を確立

  • 主力顧客は広告代理店・小売業・イベント運営会社・メーカー広報部門

  • 特にSP(セールスプロモーション)領域での印刷+施工の一貫提供が評価される。

  • 売上高の安定性は高いが、季節波動・大型案件依存の特性も残存

  • 自社加工設備への依存度が高く、稼働率に業績が直結する構造

財務構造と投資姿勢

地味に見えて“攻め”を続ける印刷会社

  • 固定資産の増加:大型機材更新や設備増強による投資姿勢継続。

  • 営業CFは黒字維持だが、減価償却費+内部留保でPLを下支え

  • 借入依存は少なく、自己資本比率は60%超を安定維持

  • 他方、今期は営業利益がやや圧縮されており、投資先行感が強い構造となっている。

外部環境と競争

“紙”に囚われない印刷業か否か

  • 業界全体は、印刷需要の減少・内製化・電子化により縮小傾向。

  • B&Pは紙媒体から販促支援・空間デザインへと軸をずらしており、業態転換は進行中

  • ただし、競合他社との技術差・施工力の差別化は時間とコストがかかるフェーズに。

この企業の「印刷」は、印刷ではない

株式会社ビーアンドピーは、もはや“印刷会社”ではない。
同社が追求するのは、販促物のクリエイティブ統合業者としての立場だ。

だが、その業態転換は“時間がかかる挑戦”でもある。

  • 機械投資が収益化されるまでのタイムラグ

  • 案件ごとの利益変動性

  • サービス業への転換に伴う人件費・間接費の上昇


この企業の「攻め」は、産業の境界を壊す一手なのか──
それとも、時代の変化に追いつくための“延命的投資”なのか

次の設備投資が、どれだけのリターンを生むか。その答えが、2年以内に現れる。

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