
| 提出者 | いちごアセットマネジメント・インターナショナル・ピーティーイー・リミテッド(Ichigo Asset Management International, Pte. Ltd.) |
| 所在地 | シンガポール(1 North Bridge Road, #06-08 High Street Centre) |
| 設立年月日 | 2006年5月21日 |
| 代表者 | ナヴェイド・エジャズ・ファルーキ(Partner/CEO) |
| 事業内容 | 投資顧問業 |
| 保有目的 | 純投資。「日本株の長期投資に特化した独立系機関投資家であり、投資先企業の中長期的な価値創造を尊重し、投資を通じて支えることにより、日本社会に貢献することを投資理念としている」と明記 |
| 重要提案行為等 | 記載なし |
| 保有株券等の数(総数) | 11,954,000株 |
| 株券等保有割合 | 9.43%(発行済126,780,856株に対して) |
| 担保契約等 | いちごトラスト・ピーティーイー・リミテッドとの投資一任契約に基づく運用 |
| 連絡先 | 三浦法律事務所 弁護士 中村朋暉 |
本報告書には2つの際立った特徴がある。第一は保有割合9.43%という水準だ。今回のバッチで提出された同一発行体への大量保有報告書(ウエリントン5.08%)と合算すれば、2社合計で14.51%超という外国人機関投資家の集中保有が生じている。Sansan株式の単純計算で約6社に1株強を、2社の外国人機関投資家が保有していることになり、今後の株主総会での議決権行使・経営陣へのエンゲージメントにおいて実質的な影響力を持つ水準だ。
第二は保有目的欄の記載が「純投資」に留まらず、「日本株の長期投資に特化した独立系機関投資家であり、投資先企業の中長期的な価値創造を尊重し、投資を通じて支えることにより、日本社会に貢献することを投資理念としている」という企業哲学・使命宣言として展開されている点だ。大量保有報告書の法定様式において保有目的欄にこれほど詳細な投資哲学を記載するケースは稀であり、いちごが日本市場での長期的な信頼関係を意識した開示姿勢を取っていることを示している。
担保契約等欄には「提出者は、発行者の株主であるいちごトラスト・ピーティーイー・リミテッド(Ichigo Trust Pte. Ltd.)との間で投資一任契約を締結し、同社から投資運用に関する権限を委託されている」と記載されている。つまり、Sansanの株式を実際に保有しているのはいちごトラスト(シンガポールの信託会社)であり、いちごアセットマネジメント・インターナショナルは運用権限の受託者として報告義務を負う立場にある。いちごトラストは外国籍ユニット・トラストから100%出資を受けており、その背後には日本株長期投資ファンドへの出資者(機関投資家・個人投資家等)が存在する複層的な資金構造となっている。
いちごアセットマネジメント・インターナショナル・ピーティーイー・リミテッドは2006年にシンガポールで設立された投資顧問会社であり、日本の不動産・再生可能エネルギー・資産運用を展開するいちご株式会社(東証プライム:2337)グループの一員だ。いちごグループは「いちごアセットマネジメント株式会社(日本法人)」が投資助言を担い、「いちごアセットマネジメント・インターナショナル(シンガポール法人)」がグローバルからの資金を受け入れる体制を持つ。グループ代表のScott Callon会長(米国出身、日本在住)は日本株の長期投資に特化した独立系機関投資家としての活動で知られており、コーポレートガバナンス改革・資本効率向上を提唱する「建設的な株主」としての姿勢を長年一貫して維持してきた。
Sansanの直近業績(2026年5月期3Q累計)は売上392.6億(+26.1%増)・調整後営業利益60.9億(+131.1%増)・ARR459億・Bill One+40.7%という高成長フェーズにあることは前述の通りだ(詳細はウエリントン案件の記事を参照)。義務発生日(2026年5月15日)に、いちご9.43%とウエリントン5.08%という2社が独立に大量保有報告書を提出したという事実は偶然の一致として扱うべきだが、その結果として生じた合算14.51%超という外国人機関投資家の集中は、Sansanの株主構造に対して看過できない変化をもたらしている。
| 提出者 | 保有株数 | 保有割合 | 保有目的 |
|---|---|---|---|
| いちごアセットマネジメント・インターナショナル | 11,954,000 | 9.43% | 純投資・長期・日本社会への貢献 |
| ウエリントン3社(WM Japan主導) | 6,442,958 | 5.08% | 投資一任契約に基づく純投資 |
| 2社合算 | 18,396,958 | 14.51% | — |
Scott Callon会長グループ
日本株長期投資に特化
投資一任権限をいちごAMIに委託
連絡:三浦法律事務所 中村朋暉
ARR459億 / 調整後営業利益+131.1%
いちご9.43%+ウエリントン5.08%=14.51%超
いちごアセットマネジメント・インターナショナルがSansanに9.43%の保有を公示した事実は、「日本株の長期投資に特化した独立系機関投資家として日本社会に貢献する」という投資哲学を保有目的欄に明記した異例の申告が示す通り、単なる財務投資を超えた深いコミットメントとして位置づけられる。同日のウエリントン3社(5.08%)との合算で14.51%超という外国人機関投資家の集中は、2026年5月期に調整後営業利益+131%という「収益レバレッジの転換点」を通過したSansanの中長期的な価値創造ストーリーに対して、二社の独立した判断が同じ答えに到達したという事実として読み解くことができ、今後の株主総会でのエンゲージメントと中計の進捗が、この集中投資の成否を分ける最初の分岐点となると見るのが自然だ。

