
| 第1提出者 | Evo Fund(ケイマン諸島法人、設立2006年。代表:リチャード・チゾム(取締役)) |
| 第2提出者 | Evolution Capital Management LLC(米国ネバダ州、設立2002年。同リチャード・チゾム(CEO)) |
| 実質保有者 | Evo Fund単独で5,689,700株(6.72%)。Evolution Capitalは全額控除で0株・0.00% |
| 保有目的 | 純投資であり、状況に応じて発行者の経営陣に対して経営の助言を行う場合がある |
| 取得資金 | 0円(借株5,689,700株) |
| 借株先① | 藪考樹氏より4,070,800株 |
| 借株先②③ | BNPパリバ・ロンドン支店100,000株、ステート・ストリート・バンク1,518,900株 |
| 予定取得(6月1日付) | 第三者割当:第39回新株予約権600,000個(6,000万株相当)対価1,800,000円(1個3円) |
| 第39回新株予約権 | 当初行使価額33円(MSワラント型・修正条項付)・下限行使価額17円 |
| 最大調達想定額 | 33円ベースで約19.66億円・17円ベースで約10.1億円 |
| 調達資金の使途 | 全額ソラナ(Solana)追加取得 |
| 連絡先 | アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 弁護士 加納さやか |
本件は、財務資金調達型MSワラントの従来的スキームと、暗号資産トレジャリー事業化という新型の組み合わせとして日本市場での先例的事例となっている。WIZEは2026年4月に社名を株式会社WIZEへ変更し「第二の創業」と位置づけ、ソラナ(Solana)を軸とするWeb3事業を成長戦略の核に据えた。今回の調達資金を全額ソラナ追加取得に充当するという開示は、「上場企業がMSワラントという既存手段を活用して暗号資産トレジャリーを積み上げる」という経路の日本版事例として注目される。
借株の筆頭として藪考樹氏(CEO・代表取締役)名義の4,070,800株が挙げられている点は、このスキームにおいて最も異例な要素だ。通常の借株は証券会社・カストディ銀行(BNPパリバ・ステート・ストリートのような第三者)から行われるが、本件では経営トップ個人の持株4,070,800株が借株として提供されている。藪考樹氏はWIZEの第38回新株予約権(46円固定)も個人として割り当てを受けており、発行体のソラナ戦略への深いコミットメントを持つ。CEO自らが持株をEvo Fundに貸し付けてMSワラントファイナンスを実現するという構造は、「経営陣が自らリスクを取って新株予約権発行を支援した」という演出的な意味合いも含んでいる。
借株残り1,618,900株はBNP(100,000株)とステート・ストリート(1,518,900株)という機関投資家からの調達であり、これらは標準的な証券貸借市場での借株だ。
| 年月日 | 種類 | 数量(株) | 割合 | 区分 | 単価 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年5月15日 | 株券(普通株式) | 4,070,800 | 4.81% | 取得(市場外借株) | 藪考樹氏より |
| 2026年5月20日 | 株券(普通株式) | 1,618,900 | 1.91% | 取得(市場外借株) | BNPパリバ+ステート・ストリートより |
| 指標 | 2026年12月期1Q(実績) | 潜在的希薄化の規模 |
|---|---|---|
| 売上高 | 6.89億円(前年同期比▲3.9%) | 第39回新株予約権行使で最大6,000万株の新株発行。発行済84,638,408株の70.9%相当。既存株主持株比率は最大58.6%まで希薄化する可能性 |
| 営業損失 | ▲0.89億円 | |
| 経常損失 | ▲2.05億円(暗号資産評価損が主因) | |
| 時価総額(義務発生日前後) | 約20〜30億円(株価25〜37円台) |
第39回新株予約権の600万個(6,000万株相当)が全行使された場合の潜在希薄化は、現発行済株式の70.9%に達する。行使期間は2026年6月2日から2028年6月1日の2年間であり、下限行使価額17円・当初行使価額33円というMSワラントの特性上、株価下落局面では行使価額が自動的に下方修正され、下限の17円まで低下した場合には10.1億円分の調達に対してより多くの株式が発行されることになる。
Evo FundがWIZEに6.72%の保有を公示した事実は、CEOの藪考樹氏個人名義の4,070,800株を借株として活用した全額借株・取得資金0円という特殊構造の下で、6,000万株相当(発行済の70.9%希薄化)のMSワラント型新株予約権を引き受け、調達資金の全額をソラナ暗号資産の追加取得に充当するという日本市場では前例の少ない「Web3トレジャリー転換ファイナンス」の起動を記録したものとして位置づけられる。既存株主にとっての70.9%希薄化という重大なリスクと、ソラナ価格変動という外部リスクへの依存という二重の不確実性が、この案件の本質的な論点であり、ソラナ価格の方向性と行使期間中の株価水準が最終的なリターン分配を規定すると見るのが自然だ。
